大河ドラマ「江~姫たちの戦国~」 最終回 希望

日時:2011/11/27 23:02

ついに江も最終回(第46回)。天地人は途中で脱落しましたが、今年は「逃げちゃだめだ」と念じつつ、何とか完走しました。

江 最終回の最大の見所は、何といっても「平清盛」と「坂の上の雲 第3部」の予告です。平清盛は朝廷のドロドロも期待できそうな感じ。コーンスターチがこれ見よがしなのがいささか気になりますが、まぁいいでしょう。来年の今頃、どんな感想を書いているかは分かりませんが、取りあえず期待して第1回を待ちたいと思います。

坂の上の雲は、海戦シーンのクオリティがすばらしい。黄色い煙突の戦艦は、クニャージ・スワロフかなぁ。主砲をぶっぱなしてる三笠もかっこいい。乃木の描き方が原作通りなのかどうかなど気になる点はありますが、日露戦争史ではなく「坂の上の雲」ですしね。

あー、楽しみ。胸が熱くなるな。

そういえば、「平清盛」と「坂の上の雲 第3部」の予告の前に何かやってましたね。もはやものすごくどうでもいい気分ですが、一応ざっと流しておきましょうか。 アバンでは草刈正信が虫の息。秀忠に「隠し事を明かせ」と言い残して死亡します。保科正之のことかー!

取りあえず、正信の死によりこの時点ではまだ1616年であることが分かります。

世嗣ぎについては、前回の適当な和解の結果、史実通り竹千代に決定。もう、どうでもいいや、って感じの展開です。

で、何とな~く竹千代問題が解決したので「次は千」と。そこになぜか現れる龍子さん。この人が出てくると、「何かやらかしてくれないかな」と期待してしまいます。もちろん、やります。安定のクオリティ。

龍子「お嫁に出してさしあげるのよ」「夫で付いた傷は夫で癒す。それが一番よ」

初「姉上様は少しも変わりませんね」

初が代わりにツッコんでくれました。

龍子「それが若さの秘訣かしら」

一瞬、脚本家の顔が脳裏をよぎってイラっとしました。

で、何とな~く秀忠と千が和解して、千は本多忠刻に嫁ぎます。父娘で何やら感動させようとする別れの会話をしていましたが、もうどうでもいいや、って感じです。

元和3年(1617年)、秀忠上洛。池田新太郎幸隆、後の光政に播磨姫路召し上げと因幡鳥取への転封を命じます。この唐突感は一体何でしょうか。秀忠の大名取りつぶし、除封・転封政策の萌芽を描かきたかったんだろうね、と視聴者に思わせてる時点でドラマとしては失敗ですねぇ。

一方、江戸城ではなぜか福が初に秀忠の隠し子(正之のことかー!)を伝えています。福のキャラの変化にはついていけません。ちなみに、バックの池&橋は、約240年後に

あぶないではないか

が行われるところですかい?

福と初のうわさ話を盗み聞きしていた江。この人、ブレませんね-。で、案の定へそをまげます。ま、正室に内緒で他の女に手を付けるのはルール違反なので、「話を通しておかなかった」点については怒って当然ではありますが。

江と秀忠の会話により、なつが生んだ子(長丸?)は2歳で死亡していたことが判明。

秀忠が詫びても許さない江を、初と民部卿局がなだめます。が、この人たち、怒りのポイントがズレてます。江に言わせると、高次の一件も「側室にを生ませました」だそうで。まるで側室に子を生ませるのは悪いかのようなセリフ。むしろ、夫の子を生んでくれたことを感謝すべきでしょ。

「男の勝手な振る舞い」とか言い出す始末ですしね。現代だったらごもっともですが、子作りも「家の存続」のための手段にすぎなかった時代に、何を言ってるんでしょうか、このバカ女どもは。

そこへ、なぜか登場する佐治一成。この人、別のドラマでも元カレやってますな。そしてなぜか佐治一成と近況を語り会う江。あー、このシーン見たことあります。御台所になった篤姫と再会したナヨゴローもこんな感じでしたね。引き出しが少ない脚本家って、哀れですね。しかし、今夫の浮気を元夫に愚痴る御台っていかがなものか。

佐治「信長公に会いたくば躊躇することなく出向かれ、臆することなく秀吉公にも立ち向かわれたとか」

それは、江にとっては蒸し返されたくない厨二病的邪鬼眼的黒歴史なのでは。信長や秀吉への行為は、凄いというよりどうみても頭がおかしい人の行状です。普通だったら、思い出したら布団に頭をつっこんで足をバタバタさせたくなります。

隠し子の件も、「お心の命じるままに動かれてはいかがでしょう」(佐治)

佐治の無責任なエールに励まされ、隠し子(保科幸松)に会うと決断した江。史実の江は、正之のことなんか知らずに死んだと思うのですが。さらに、江の死後も親子としては対面していないはずの秀忠まで幸松と会っちゃいます。もう、何が何やら。このエピソードが大奥誕生の発端とは、片腹痛い。

幸松役の子、おびえた演技はグッジョブ。

こうして、何とな~く幸松の一件が解決したので、今度は和子の入内イベントへ。もう、単に年表を消化しているだけですね。

元和6年(1620年)5月、和が入内することに。和が猫ひろしにそっくりなのが気になって気になって。

和「これより京へ参ります。にゃー!」

猫ひろしにそっくりな和を抱き、「息災でな」と涙ぐむ江ですが、これまでほとんど出てこなかった和では何も感じません。

続いて9月。家光・忠長ダブル元服。

続いて、秀忠が家光の将軍継承準備に着手します。何をするかというと、本多正純松平忠直の取りつぶし。唐突です。忠臣的に描かれていた本多正純がなぜ除封・流罪を食らうのか、視聴者は「は?」(江風に)でしょう。宇都宮城釣天井事件に触れる余裕はなかったんでしょうけど。秀吉と茶々の恋なんて退屈な話は延々とやるくせに。

元和9年(1623年)7月、家光将軍就任。江が福に大奥の統括を命じます。あー、フジ大奥の「大奥総取締」(んな役職は実在しない)ですね。

同12月。家光正室の孝子が登場(しただけ)。

寛永元年(1624年)、高台院死亡。ナレーションは、相変わらず「秀吉」と呼び捨てにするとともに、なぜかおねは「おね様」と敬称付き。ま、こんな女に育てられれば、江が礼儀知らずなのも納得です。

江と秀忠が高台院の死を悼む会話をしていることから、ここからは1624年以降のシーンとなります。江と秀忠が遠乗りに出たのがいつかははっきりしませんが、取りあえず1624年から1626年(江死亡年)の間ということになります。いずれにせよ、江は50歳をすぎた老女。そうは見えませんが、そうなんです。

秀忠「そなたは、私の希望だ

これで第1回の「江は希望じゃ」を回収したつもりでしょうか。一体、何が希望なのかさっぱり分からないのですが。老婆相手に希望も何もないでしょう。江が嫁いできた直後ならともかく。私的には「絶望」ですよ。

秀忠を残し、1人馬を駆る江。背後から忍び寄る、市(お迎え?)。臨終シーンがないと騒ぐ人も見受けられますが、このシーンは明らかに秀忠を置いて死んだ江の暗喩ですよね。功名が辻の千代の最後もこんな感じ(先に死んでいる夫・一豊に背負われているシーンでエンド)。

ちなみに、いささか悪趣味な表現ではありますが、「骨は語る 徳川将軍・大名家の人びと」には、秀忠と江の遺体写真も掲載されています。まあ、江は火葬されているし、秀忠の遺体はとんでもないことになっているので、この2人については「遺骨」的な感じはないのですが……。

というわけで、何とな~く完。こんなんでいいのかねぇ。

江死亡時の所持アイテム
南蛮服、蘭奢待、割れた呪いのハンコ、信長オキニの茶碗、黄金の猿、秀勝セット(遺髪、ラストレターなど)、完から盗んだ風車

約1年を振り返ると、とにかく酷い脚本でした。誰一人共感できる人物がいないという悲惨さ。

・織田との同盟を破った長政(悪くない)
・裏切った長政の小谷城攻撃を命じた信長(好き!)
・信長に命じられ、小谷城を攻めた秀吉(憎い仇!)
・信長を殺した光秀(好き)
・好きな信長を殺した光秀を殺した秀吉(嫌い)

で、徳川に嫁ぐと豊臣の心配ばかりする江には共感できず。一方、準主役の秀忠はというと、会ったこともないかもしれない築山殿や信康を信長の命令で殺した父には反発し、それを命じた信長はリスペクトしてるとか、意味不明。

好きでもないのに嫁ぐのですか?」など、イカれた迷言まみれ。この時代、そもそも婚姻と恋愛は別次元の概念だったはずで、時代錯誤も甚だしい。それでも、現代の価値観で押し通すというならそれもまた芸風。私の好みに合わないだけで、ドラマとしては成立したかもしれません。

このドラマがドラマとして成立していないのは、「現代の価値観にすら合っていない」という徹底した腐れっぷり。「秀勝が死んで悲しいから子どもが抱けない」など、戦国時代でも現代でもお話になりません。脚本家の人間性を疑います。

とにかく、酷いドラマでした。北村有起哉さんなど、ごく一部の役者さんを除くドラマ全関係者に、深い深い侮蔑を贈ります。

というわけで、これまで「コノ」表現は使わないように避けていたのですが、がまんできません。最後に言わせてください。

こんな大河、こう言ってやる!

さて、この時間枠を占拠していたゴミも消えたことですし、いよいよ坂の上の雲 第3部です! 楽しみだー!

大河ドラマ「江~姫たちの戦国~」キャスト(配役)
大河ドラマ「江~姫たちの戦国~」 三姉妹年齢年表
も最終回に合わせて更新しました。よろしければご利用ください。

江の子孫については、江の家系図もどうぞ。