大河ドラマ「江~姫たちの戦国~」 第36回 男の覚悟
カテゴリ:江~姫たちの戦国~
日時:2011/09/19 22:12
今回は、意外にまともだったので拍子抜けしました。事前に流布していたあらすじから、それはもう悲惨なトンデモ展開を期待危惧していたのですが。というわけで、今回はツッコミも重箱の隅的なショーモないことが多くなってしまいました。
話は、関ヶ原後からスタート。「江」が主人公ですので、関ヶ原の主戦場は関連が薄く、こうなることは十分予想していたので「まぁ、そうだろうな」という感じです。
関ヶ原の数少ない合戦シーンは「葵」の使い回しです。そもそも葵の関ヶ原のシーンは、今後の大河ドラマで使い回す前提で異常に予算を費やしたもの。「使い回すのは当然」なのです。予算的にも、葵の映像を超えるのは不可能。中途半端な予算でショボい関ヶ原を取り直すより、「葵の映像を使い回した方が正しい」と思います。
この関ヶ原終了&秀忠遅参の知らせを江に告げたのは、天野康景。……なぜ唐突に天野康景。 今回最大のツッコミどころは、秀忠の遅参を聞いた江が
「いかにも秀忠様らしいではないか」
と言って笑うシーン。姉さん女房的余裕を表現したかったのかもしれませんが、あまりにも緊張感がなさすぎ。笑い事ではないはずです。
まず、秀忠の命が危ない。激怒した家康が切腹を命じるかもしれず、遅参の恥辱に自害する可能性だってあったはず。秀忠は無事でも、上田城攻めを進言した大久保忠隣や、秀忠を止めきれなかった本多正信が責任を問われる可能性も。誰も責任を問われなかったとしても、秀忠自身は気にしていた通り上田城攻めでは多数の犠牲を出しています。「秀忠らしい」と笑って済ませてよい事態とは思えません。
江の態度には、「秀忠が遅参の件で死ぬはずがない」という未来人的視点あるいは無思慮と、家臣や兵は一顧だにしない傲慢さが感じられてあきれるばかりです。秀忠に対してと同様、下のものにも少しは配慮しないと。柴田勝家に叩かれたことは忘却の彼方ですか。江は、もう一度勝家にボッコボコにしてもらった方がいい。
不肖の息子と異なり、働き者のパパ家康。大津城に赴いて、前回謎の軍団(正体は末次元康や立花宗茂)を籠城して食い止め、関ヶ原に行かせなかった京極高次の功績を賞賛します。さらに、この功に報いるに若狭8万5000石への加増(史実)を約束します。これに対し、
「当然にございまする」
と答える初は、前回同様大名の正室にふさわしい振る舞い。いや、すばらしい。
秀忠と家康、本多正信は、ベテラン勢の演技もあってまあ悪くはありませんでした。秀忠も珍しく現代語じゃない言葉を発してましたしね。
次の、石田三成と秀忠のシーンは別の意味でハラハラしました。家康退出後、三成と2人きりになる秀忠。秀忠が自分の陣羽織を三成に羽織らせるのではと、気になって仕方がありませんでした。本来は黒田長政の役目なのですが、この役はしばしば大河ドラマの主人公に奪われがちなのでね。
こうして処刑される三成。「死ぬ直前には必ず江が(無理やり)会いに来る」という江=死神伝説は今回なし。江が刑場にやってきて、
「なぜ柿を食わない」
と三成を詰問することもなく、三成が淀ではなく江のことを回想することもなく斬首されました。辱められなくてよかったね、三成。
三成の処刑を聞いた江はというと、
「三成はそうした男であった」
と、遠い目。あんた、彼の生前はずいぶんなじりまくったような気がしますが。家康暗殺のウワサが立ったときは、根拠もなく三成犯人説を言いふらしたり。
慶長6年(1601年)。(江の?)侍女のなつが男子を出産します。タイミング的に長丸ですね。この件を大姥局に聞かされて嘆く江ですが、秀忠帰城に際しては文句を言うでもなくちゃんと挨拶をします。意外だ。特にツッコめません。
なつの件を詫びる秀忠に、なつが生んだ男の子を竹千代と名付けるのは待ってほしいと頼む江。これもそんなに変ではないかな。それくらいのことは許されるかな、という気もします。
「この子(江のお腹の子)がおなごであったなら私を離縁していただきたいのです」
まぁ、これもこの話の流れの中であればツッコむほどのことでもないか。私からは特に文句はありません。
しかし、江が生んだのはまたしても史実通り女の子(勝姫)。が、なつと男の子(長丸とは結局誰も呼ばなかったなぁ)は城から出した、離縁はしないと宣言する秀忠。これで2人の絆はさらに強まった、ってことですかそうですか。ヌルくて見てられませんや。
なつに会いに行き、なつ親子の暮らし向きを案じ、(長丸)を「抱かせてはくれぬか」と言う江は正室らしい振る舞い。何だ、やれば普通の人格もできるじゃないか。
「次は必ずおのこを上げてみせるぞ」
と気合いを入れる江ですが、残念、次は初姫ですね。
そのころ大坂では、大野治長が初登場。淀の乳兄弟であり、顔見知りであった方が自然なのに、完全な初対面設定。不自然だろ、それ。
それより、大野治長が一瞬KING OF ZIPANGUに見えた……。似てない?
・大河ドラマ「江~姫たちの戦国~」キャスト(配役)
・大河ドラマ「江~姫たちの戦国~」 三姉妹年齢年表
も第36回に合わせて更新しました。よろしければご利用ください。
江の子孫については、江の家系図もどうぞ。
話は、関ヶ原後からスタート。「江」が主人公ですので、関ヶ原の主戦場は関連が薄く、こうなることは十分予想していたので「まぁ、そうだろうな」という感じです。
関ヶ原の数少ない合戦シーンは「葵」の使い回しです。そもそも葵の関ヶ原のシーンは、今後の大河ドラマで使い回す前提で異常に予算を費やしたもの。「使い回すのは当然」なのです。予算的にも、葵の映像を超えるのは不可能。中途半端な予算でショボい関ヶ原を取り直すより、「葵の映像を使い回した方が正しい」と思います。
この関ヶ原終了&秀忠遅参の知らせを江に告げたのは、天野康景。……なぜ唐突に天野康景。 今回最大のツッコミどころは、秀忠の遅参を聞いた江が
「いかにも秀忠様らしいではないか」
と言って笑うシーン。姉さん女房的余裕を表現したかったのかもしれませんが、あまりにも緊張感がなさすぎ。笑い事ではないはずです。
まず、秀忠の命が危ない。激怒した家康が切腹を命じるかもしれず、遅参の恥辱に自害する可能性だってあったはず。秀忠は無事でも、上田城攻めを進言した大久保忠隣や、秀忠を止めきれなかった本多正信が責任を問われる可能性も。誰も責任を問われなかったとしても、秀忠自身は気にしていた通り上田城攻めでは多数の犠牲を出しています。「秀忠らしい」と笑って済ませてよい事態とは思えません。
江の態度には、「秀忠が遅参の件で死ぬはずがない」という未来人的視点あるいは無思慮と、家臣や兵は一顧だにしない傲慢さが感じられてあきれるばかりです。秀忠に対してと同様、下のものにも少しは配慮しないと。柴田勝家に叩かれたことは忘却の彼方ですか。江は、もう一度勝家にボッコボコにしてもらった方がいい。
不肖の息子と異なり、働き者のパパ家康。大津城に赴いて、前回謎の軍団(正体は末次元康や立花宗茂)を籠城して食い止め、関ヶ原に行かせなかった京極高次の功績を賞賛します。さらに、この功に報いるに若狭8万5000石への加増(史実)を約束します。これに対し、
「当然にございまする」
と答える初は、前回同様大名の正室にふさわしい振る舞い。いや、すばらしい。
秀忠と家康、本多正信は、ベテラン勢の演技もあってまあ悪くはありませんでした。秀忠も珍しく現代語じゃない言葉を発してましたしね。
次の、石田三成と秀忠のシーンは別の意味でハラハラしました。家康退出後、三成と2人きりになる秀忠。秀忠が自分の陣羽織を三成に羽織らせるのではと、気になって仕方がありませんでした。本来は黒田長政の役目なのですが、この役はしばしば大河ドラマの主人公に奪われがちなのでね。
こうして処刑される三成。「死ぬ直前には必ず江が(無理やり)会いに来る」という江=死神伝説は今回なし。江が刑場にやってきて、
「なぜ柿を食わない」
と三成を詰問することもなく、三成が淀ではなく江のことを回想することもなく斬首されました。辱められなくてよかったね、三成。
三成の処刑を聞いた江はというと、
「三成はそうした男であった」
と、遠い目。あんた、彼の生前はずいぶんなじりまくったような気がしますが。家康暗殺のウワサが立ったときは、根拠もなく三成犯人説を言いふらしたり。
慶長6年(1601年)。(江の?)侍女のなつが男子を出産します。タイミング的に長丸ですね。この件を大姥局に聞かされて嘆く江ですが、秀忠帰城に際しては文句を言うでもなくちゃんと挨拶をします。意外だ。特にツッコめません。
なつの件を詫びる秀忠に、なつが生んだ男の子を竹千代と名付けるのは待ってほしいと頼む江。これもそんなに変ではないかな。それくらいのことは許されるかな、という気もします。
「この子(江のお腹の子)がおなごであったなら私を離縁していただきたいのです」
まぁ、これもこの話の流れの中であればツッコむほどのことでもないか。私からは特に文句はありません。
しかし、江が生んだのはまたしても史実通り女の子(勝姫)。が、なつと男の子(長丸とは結局誰も呼ばなかったなぁ)は城から出した、離縁はしないと宣言する秀忠。これで2人の絆はさらに強まった、ってことですかそうですか。ヌルくて見てられませんや。
なつに会いに行き、なつ親子の暮らし向きを案じ、(長丸)を「抱かせてはくれぬか」と言う江は正室らしい振る舞い。何だ、やれば普通の人格もできるじゃないか。
「次は必ずおのこを上げてみせるぞ」
と気合いを入れる江ですが、残念、次は初姫ですね。
そのころ大坂では、大野治長が初登場。淀の乳兄弟であり、顔見知りであった方が自然なのに、完全な初対面設定。不自然だろ、それ。
それより、大野治長が一瞬KING OF ZIPANGUに見えた……。似てない?
・大河ドラマ「江~姫たちの戦国~」キャスト(配役)
・大河ドラマ「江~姫たちの戦国~」 三姉妹年齢年表
も第36回に合わせて更新しました。よろしければご利用ください。
江の子孫については、江の家系図もどうぞ。