大河ドラマ「功名が辻」 第32回 家康の花嫁

カテゴリ:功名が辻
日時:2006/08/13 21:52

今回の大筋は原作どおりなのだが、原作での記述はわずか6ページにすぎない。というわけで、各シーンは「新史太閤記(下)」や「豊臣家の人々」の駿河御前、そして静御前のお花畑妄想脚本で肉付けされていた。

旭輿入れ阻止に暗躍する千代ってどうよ。もちろん、こんな馬鹿げた話を司馬が書くはずがない。静御前のオリジナルである。長浜にかくまっても隠しとおせるものでもなし、千代愚かすぎ。こんな思慮の浅いバカを「賢女」とするのはいかがなものか。

ちなみに、「功名が辻」(原作)では秀吉の妹を「朝日」と表記し、その夫を佐治日向守としている。家康へ差し出すに当たって離縁させると、佐治日向守はそれを恥じて切腹してしまう。

ドラマは「豊臣家の人々」ベースになっており、名は「旭」。夫は何度も登場している野口ゴロー副田甚兵衛。離縁にまつわるエピソードや家康説得シーンなどは、ほぼ「豊臣家の人々」の記述をそのまま使っている。やはり司馬原作のあるシーンは安心して見ることができる。 旭といえば、寝室で家康と対面するシーン。「合体」とか出そうでイヤだった。「豊臣家の人々」では、ちゃんとヤッてるんだよな……。家康、漢だぜ。

そして大政所人質エピ。モーニングスター小六はどうでもいいや。旭の態度で大政所が本物であることを見極めるエピソードも「豊臣家の人々」から。佐久間信盛にしか見えない作左をわざわざ出しているくらいだから、薪を積み上げるエピソードもやるのかのう。

上洛した家康との秀長邸でのプレ対面、大坂城での正式な対面の場面は原作にもあるが、かなりあっさりしている。セリフなど、細かい描写は「新史太閤記(下)」ベースである。

この家康上洛エピをもって、司馬遼は「新史太閤記(下)」の筆を置いている。司馬遼にとって、秀吉の面白い時代はここまでということだろうか。

そういえば、ミラクル三井が井伊か。彼がカマっぽくない演技をするのを初めて見た気がするなぁ。「女王の教室」でも「おばあちゃん」役だったし。