大河ドラマ「おんな城主 直虎」 第3回 おとわ危機一髪 感想

カテゴリ:おんな城主 直虎
日時:2017/01/22 22:37

今回も、史実ではない創作エピソードなので、今川家の顔見せ回だと思って見ればいいでしょう。

ドラマは前回ラストシーンからスタート。髪の毛をそぎ落とし、出家すれば誰の嫁にならなくてもよいと主張するとわ。とわなりの名案というわけですが、小野はヘソを曲げて駿府に言いつけに行く始末。さらに事態は悪化します。

そして今川からメールが到着。とわを人質に差し出せと要求します。南渓は、いっそとわの出家を認めさせるというプランを開陳。太原雪斎にそれを認めさせれば、というあたりに勝算を見いだしている様子です。確かに、「雪斎様を口説き落とせればもう勝ったも同然」(南渓談)でしょう。

そしてとわたちが駿府に出立。と思ったら鶴丸が何者かに拉致られます。首謀者はすぐに井伊直平と判明。愉快なじいさまです。

駿府に到着したとわたちが入った屋敷は、関口家。佐名の嫁ぎ先です。今回登場の佐名は井伊と徳川をつなぐキーパーソンです。

佐名は直平の娘で南渓の妹。人質として今川に差し出され、今川義元のお手つきとなった後、関口親永に嫁ぎます。いわゆるお手つきの下げ渡しというやつです。そして佐名が産んだのが瀬名。徳川家康の正室、築山殿です。とわとお友達になって今後も登場するので、瀬名はその死までドラマで描かれることでしょう。 そして、関口家ですからその家の娘である瀬名が出てくるのは不思議ではありません。こうしてとわと瀬名が初対面。瀬名は、今川氏真龍王丸(氏真)の妻となって今川を手に入れると、初対面の女児にアンビシャスを開陳。いわゆる玉の輿狙いですが、この時代にはまだ「玉の輿」という言葉はありません。玉の輿の「玉」は、徳川家光の側室で徳川綱吉を産んだお玉(桂昌院)のことだからです(諸説あります)。

次に佐名が登場しますが、冷たくあしらって去っていきます。その態度を不思議に思ったとわは、たけに理由を尋ねます。そして語られる、佐名の運命……。

たけ「佐名様は今川に人質として送られそこで太守様のお手つきとなったのです」
とわ「そのお手つきというのはきつくか? 痛くされたのか?」
たけ「そこまでは存じ上げませんが、何度も何度もそれはもう数え切れぬほどでございましょう」
とわ「数え切れぬほど!」
たけ「その揚げ句……飽きたら雑巾のように捨て置かれたのでございます」

と、会話は成立しているけど互いのイメージは乖離しているというありがちなパターンです。ここは、とわはまだまだ何にもしらない子供なんだね、というお話です。

一方、南渓は雪斎と交渉するも、あまり色よい返事はもらえません。とわに首尾を問われて適当に濁すと、佐名宛のメールをとわに託します。とわがメールを佐名に渡すと、それを読んだ佐名は激怒。それを聞いた南渓は「まずまず」という反応。

とわ「まことですか?」
南渓「恐らく」

大丈夫かこのおっさん。

雪斎との交渉が不首尾だったこともとわに見抜かれ、言うことがどんどん適当になります。

南渓「昔あるところにの」
とわ「我は明日の話をしておるのじゃ!」
南渓「太守様がお倒れになるかもしれぬし、今川館が燃えて落ちるかもしれぬ。諸行無常じゃ」

そして今川館へ。

南渓「焼け落ちんかったの」

とわが広間で待たされていると、寿桂尼様登場。佐名メールが効いたのか、ちょっと好意的です。縁側の妻戸が開けられると、庭では蹴鞠大会。まあざっくり言うとリフティングです。

龍王丸に勝てば何でも褒美がもらえると聞き、とわが参戦。龍王丸とサシのリフティング対決です。リフティング初チャレンジのとわですが、右往左往する演出とはうらはらに、このとわ……上手くね? あんな適当キックなのに2度3度蹴り続けられるんだから大したものです。普通は明後日の方向に一発蹴って終了でしょう。

それからは、「何度も何度も挑戦し続けるとわ」の描写が続きます。ここはとわの粘りというより、それを受け入れて相手してやる龍王丸を褒めるべき。龍王丸的には、この訳の分からんへたくそな小娘の挑戦を受けてやる義理もメリットもないし、楽しくもないでしょう。龍王丸がなぜ相手し続けたのか、全く分かりません。

で、たまたま龍王丸がミスったら、今度はしつこく褒美を迫るとわ。

龍王丸「こんなもの勝ったとは言わぬ!」

負け惜しみ的な扱いをされてましたが、龍王丸の気持ちも分かるな……。今川のプリンス様に相手してもらっただけでも感謝しろ的な気持ちだったことでしょう。

さらに食い下がるとわ。龍王丸の取り巻きに「厚かましいにもほどがあろう!」とか言われてましたが、いや、マジでこれはちょっと……厚かましくね?

そこへついに義元が登場。すると、義元にまで取りなしを直訴する始末です。

ここで雪斎が動きます。「よい闘いをした者には褒美をとらせるのが武門の習い。とわ姫には褒美をつかわすのが筋かと存じます」

寿桂尼様がすかさずアシスト。「龍王にも見本を示さねばなりませぬしね」

そしてあっさりとわに帰宅許可。ノベライズ通り(脚本通り?)、義元は雪斎とアイコンタクトしつつ退場。「一女とわの出家をもって本領安堵とす」という義元の安堵状をゲットしてめでたしめでたし。

一方、雪斎はとわを援護した真意を明かします。「井伊はとわ姫を人質に取られるならばと小野の息子を人質に捕らえたそうで。仕置きが過ぎ謀反となるのはご本意ではございますまいかとあのようなまねを致しました」というわけで、直平のアグレッシブな行為がプラスに作用したようです。ひいじいちゃん、やったね。

今回はこのように、大河の名物ともいえる「ちょっと人とは違う主人公のひたむきな行動が大物に気に入られる」という王道エピソードです。ただし、今回寿桂尼様に気に入られたかのように見えるとわですが、今後寿桂尼様が何かと便宜を図ってくれるかというとさにあらず。それどころか、これから井伊にとって、とわにとって苛酷な仕打ちを仕掛けてくるのが寿桂尼様です。それん、今回ゲットした安堵状がとわをしばることになるので、実は大してプラスにはなっていないところがミソです。

ノベライズを読んで評価している点の1つが、桶狭間以降も今川家が存在し、ちゃんと活動しているところ。桶狭間以降は空気扱いが一般的な今川家をちゃんと描くなら、貴重なドラマとなるでしょう。

それにしても、ノベライズでは面白かったあのエピソード、どうやって映像化するんだろう。「うわ、そういうことか!」と驚いたけど、映像であのどんでん返し感を演出するのはムリなのではなかろうか……。

2017年 大河ドラマ「おんな城主 直虎」キャスト(配役)
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