大河ドラマ「花燃ゆ」 第29回 女たちの園 感想

カテゴリ:花燃ゆ
日時:2015/07/19 22:56

日本の歴史の分岐点で、くっだらない話を展開する『花燃ゆ』。ラテ欄によると今回のキャッチは「奥御殿には秘密がいっぱい!」。どこのバカだ、こんな頭の悪いキャッチを考えたのは。一瞬血圧が上がりましたが、考えてみたら『花燃ゆ』のクオリティにはお似合いです。

男たちが毛利家を残すため身を削って働いている一方、奥御殿では総触れ開催。毛利家の奥向きについては特に知識がないのであの描写の善しあしは分からないのですが、とにかく「大奥モノっぽくしたい」という、製作サイドの浅ましい熱意だけは伝わってきました。午前様の都美子さんは倹約に努めていて毛利家の奥向きは質素で、ゆえに都美子さんは賢妻の誉も高いのですが、あまりそんな感じはしませんでしたね。

そして、都美子と銀姫の陳腐な応酬。都美子はマジなのか皮肉なのか分からない微妙な口調。対して銀姫は思いっきりイヤミったらしく。松坂慶子は何年たっても松坂慶子のまま。全然うまくないのに、不思議とヘタって感じがしない妙な人です。

敬親「長州はこれよりいささか険しき道をたどることになるゆえな」

久坂松陰門下生のせいでな! 俺たちの美和さまは人ごとのような顔をしてましたが。 そして前回に引き続き、園山の不可解な人事が発動します。山口から萩に城移りするため、美和と鞠をリストラ担当者に任命するのです。何で? 人が多すぎるというなら、まず美和を解雇すればいいのに。

これに激しく反発したのが、銀姫さん。「幕府への恭順の姿勢を示すため山口から萩に戻る」という椋梨の意図を見抜きつつ、椋梨ごときに指図されたくないというのです。知能は高いけど発想が幼稚というところでしょうか。総触れで敬親がわざわざ諭したというのに、彼女には刺さらなかったようです。このとき、銀姫は数え22歳。道理の分からぬ小娘という年でもないでしょうに。

あ、美和と同い年か。この時代の22歳といえば立派な大人だろうに……。美和さまやら銀姫やら、この脚本家は「女性はバカだ」と貶めたいのかな。

すると前回に引き続き、

美和「おそれながら

と平伏。『篤姫』の「何じゃと!」「勝を呼べ!」「そうであったか」にならいたいのか?

そうこうしていると、リストラ計画を聞きつけた女中一同が美和を直撃。

志乃「その差配をなぜ美和様がされるのです

全くです。私も知りたい。

働きの悪い者から切っていこうという鞠の提案を、対案もなく拒否して考え込む俺たちの美和さま。女中リストラなどというつまらない話を引っ張ってないで、他に何かやることはないのか、このドラマ。

「めんどくせーのをあてがっとけ」という日出の策謀により、御蔵番の国島を訪ねる美和さま。すると、いきなり倒れる国島。いやー、偶然ですね。

前回、宇和島に行くといって去っていた小田ムダは、しれっと評定にご出席。宇和島藩との連携交渉に行って失敗したご様子です。時系列をねじ曲げて、村田蔵六(大村益次郎)をスカウトしに行ったのかと思ってヒヤヒヤしたぜ。

もちろん、村田蔵六は既に「がスカウトして」長州に仕えており、明倫館で講義したり四カ国艦隊攻撃の後始末なんかをやっていたはず。

それにしても、この期に及んでまだ「攘夷」とか行ってる小田ムダの発言の空虚さよ。コイツのセリフはいつも中身がないので存在自体がムダ。すると周布さんが突然勇ましいことを言い出します。そんな周布さんに、頭脳が冴え渡る小田ムダは未来人的先見の明から倒幕を示唆するのでした。さすが小田ムダさん、アグレッシブだぜ。

一方、リストラ計画は一向に進展せず。下の者から説得しようと言う鞠の提案を、美和さまは対案もなく拒否られます。一番イラっとするタイプですね。こういうヤツとは一緒に仕事したくないなぁ。

周布さんが縁側で飲んでいると、椋梨がアポなし家庭訪問。

椋梨「徳川という大樹の下、お家が末なごう安泰であるよう力を尽くすのみ」

保守的で飛躍もないけど、相変わらず正論です。善しあしの問題じゃなくて、1つの考え方として安定感がある。松陰門下生どもが「結局何がしてーんだよ」的な言動を繰り返していたので、相対的にまともに見えます。

さて、この椋梨の訪問の意図は?

椋梨「藩を固く1つに結び立ち向かうこと。そのためには礎がいる。これまでの全ての責めを負い、己をなげうってくれるものが」

なるほど、周布さんの切腹スイッチを押す役ですか。実際は、この時期周布さんの回りの人は周布が切腹しないように目を離さないようにしていた(結局、わずかな隙を突いて切腹しちゃう)そうなので、椋梨を介入させなくても死んじゃいます。

続いて、最近ではめっきり珍しくなった「史実イベント」が発生。井上聞多襲撃事件です。暗殺の得物として鎖鎌ってどうなのよって感じですが。「後に一命をとりとめた」という日本語として変(「後に」はいらんだろ)なナレであっさり終了です。兄やら母やら伊藤やらが絡んだいい話もあるのに、そういうエピはスルーして美和さまのどうでもいい捏造エピを展開してくれるのでした。

で、切腹スイッチが入った周布さんは切腹。寿から美和への伝聞という形で、周布さんの悲哀や絶望ってものが全く伝わってこない適当な切腹シーン挿入。何だこれ。取りあえず、周布さんが切腹したことで、この時点で元治元年(1864年)9月だということが分かります。前回、高杉が講和したのが8月14日なので、ほとんど時間が進んでいないことになります。

石丸さん、お疲れ様でした。またいつか、まともなコンセプト&脚本のときに出てください。今年は本当にお気の毒さまでした。

こうして俗論党(高杉によるレッテル)というか穏健保守党な椋梨が政権基盤を固めていきます。これが美和の奥勤めにも影響するのではと心配する寿ですが、そもそも美和が奥に上がったのは高杉がクーデターを起こして椋梨が死んだ後だったので、影響があるはずないんですけどね。

その美和さまはというと、国島に「誇りを知りたい」とか、訳の分からないことを言い出します。リストラ計画立案のはずが、どうしてそういう話になったのかさっぱり分かりません。美和さまと違って、私が頭悪いせいですよね、きっと。でも、この人と一緒だと仕事が進まないので、組むのは絶対イヤです。

そして、殿にらちもないことを質問するなどとまだ言い続けてます。殿も困るだろうな。まぁ、美和さまがその溢れる知性と人徳でご出世されたあかつきには、そうせい侯が私には全く刺さらない無内容なセリフをもっともらしく語らされるんでしょう。北大路さんも気の毒に。はやく退場させてあげたいのですが、敬親は老けて見えますがまだ45歳。そして死ぬのは7年後。北大路さんへの罰ゲームはまだまだ続きます。北大路さん、前世で何か悪いことしたんですか?

俺たちの美和さまのセリフは私には全く刺さらなかったのですが、国島には何やら感ずるものがあったようで、納得しちゃいます。あー、あんなんでいいんだ。

そしてなぜか始まる国島のお道具講座。国島を説得した先に何が待っているのか、全く見えなくてつらい。

そして、俺たちの美和さまはリストラ計画を放り出してお道具の棚卸しに取りかかります。そうそう、棚卸しって面倒だけど大切ですよね。私もバイト時代によくやりましたよ。で、リストラ計画はどうなったんだ?

視聴者というか私を置いてけぼりにしたまま、午前様らにリストラ計画を発表する日がやってまいりました。すると、美和さまは前回に続きまたもや上からの質問や指示に条件を付けます。こんなヤツ、当時どころか現代の会社でも許されません。上司の指示に毎回条件を付ける部下なんぞ、即「使えねー」組行きです。

美和さまは、お道具の売却と、売却益を基にした退職金制度をご提案。美和さまの「至誠」という言葉で何か変なスイッチが入っちゃった銀姫は、美和さまのリストラ計画に賛同されます。これに午前様も賛同し、めでたしめでたしよかったね、と。

岩国では、第一次長州征伐の交渉が始まります。西郷が岩国に入ったのが11月4日。これに前後して、三家老(国司親相、益田親施、福原元僴)の切腹、四参謀の斬首などの条件が固まります。ここで出てきた岩国領主の吉川経幹が、関ヶ原のときと同じく毛利家存続のために奔走することになります。

萩城では、リストラしたのに新メンバー加入の決定に一同ビックリ。別にかわいくもなんともない小娘たちをわざわざ一人一人映すという演出で時間を浪費します。他に映すべきものがあるだろ。

すると、新メンバー加入の理由を都美子に詰問する無礼な美和さま。

都美子「表ではこの毛利家を残すために日々政がなされ、殿や多くの家臣が身を削り働いておる。われらもまた同じ。お世継ぎを産み、育て、毛利家を守らねばならぬ。それこそが我らの誇り」

またもや正論。今年の大河はとにかく、理屈になってないことを口走る主人公サイド(美和さま、松陰、久坂、小田ムダ)を脇役が正論で叱るシーンが多いような。

いいぞもっとやれ。

それにしても、都美子さんのセリフは実にごもっともなんですが、敬親も元徳も養子なので、元徳の跡取りも実子にこだわらず養子だっていいじゃん、という気がしないでもありません。もちろん、実子ができればそれに越したことはないのは当然なのですが、実子がないことが毛利家の存亡に直結するわけではないので、彼女の危機感にはイマイチ共感できなかったりします。

それにしても、「大奥編」を詐称する奥御殿編になって、ますますくだらなくなったなぁ。殿や多くの家臣が身を削り働いておるというのに、服の配達と古道具整理のお話ですか。どうにもなりませんな。

2015年 大河ドラマ「花燃ゆ」キャスト(配役)
大河ドラマ「花燃ゆ」 主要人物年齢年表(松下村塾+α)
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