大河ドラマ「真田丸」 第46回 砲弾 感想

カテゴリ:真田丸
日時:2016/11/20 22:26

信繁への信頼を深めた秀頼が、斜め上方向に頑張って母離れを志すも、茶々に全否定されて信繁との間にも溝ができるという、人間関係のターニングポイント。イチイチ反応が面白い塙団右衛門とか、相変わらずかっこいい信尹とか、老獪な家康とか、えらいことになった信之とか、見どころはあるものの地味な回となりました。

真田丸の戦い(12月4日)の惨状から、徳川家康は力攻めを断念します。代わって、鬨の声を上げる嫌がらせ作戦に変更。本多正純の「夜を徹して鉄砲を撃ち込む」案は「弾がもったいない」という理由で却下していましたが、実際には夜(酉、戌、寅の刻の3回)に鬨の声を上げて鉄砲を撃ち込んだようです。

一方、真田丸の戦いでスイッチが入っちゃった豊臣秀頼は、茶臼山の家康本陣を攻めたがります。攻め手の損害度外視の秀頼さんに、真田信繁は優しく諭します。

信繁「ただ戦に勝てばよいというものではございませぬ。いかに味方の命を損なわぬか」

秀頼「父上が残されたこの城を守り、父上が築かれた安寧の世を守り、そしていずれ父上を超えたい」

おお、若者らしい野心が芽生えてきましたね。あの父を超えるのは大変そうですが。 秀頼「気になることがあれば何でも申せ。私は言われて伸びる男ぞ」

自分で言うなって感じですが素直で好ましい。このセリフがちょっとかわいく聞こえるのは、中川大志だからかな。

そして信繁から大切なアドバイス。

信繁「もっとご自身のお言葉の重みを知って頂きとうございます。(中略)最後に断を下すのはあくまでも大坂城の主たる殿様でございます。お上様ではございませぬ」

ここで徳川の嫌がらせ作戦が発動。鬨の声と太鼓の音にみんなビックリ。牢人たちまで、確認は必須とはいえ浮き足立っているご様子です。

きり「本当に攻めてくるときは、あんなのんきな声は出しません」

誰よりもきりが落ち着いてるんだな、これが。

徳川方が動かないことを確認し、信繁は茶々にご報告。その帰り、茶々の妹で、うたのおねえさんをしていた初(京極高次室)と遭遇。そういえば、三女(徳川秀忠室)もお歌関係でしたね。

初登場時はいかにも「はいだしょうこ」なしゃべりでしたが、あれは姉妹トークだったからか。今回は落ち着いたトーンで意味深なことを語ります。

初「心のどこかでこの城が焼け落ちるのを待っているような。私たちのも母も、城と共に命を絶ちました。姉も自分が同じ運命であると半ば信じています」
信繁「そのようなことはひと言も……」
初「本心を語る人ですか?」

本作の茶々は割と複雑なキャラですからね。

そのころ、大坂城に兵糧を運び込むことで平野長泰と同心した真田信之は、いよいよ江戸を出発……しようとしたら出浦昌相に止められます。その制止を振り切って行こうとする信之ですが、そのとき昌相が何かを投げた!

信之「うわっ」

結局、真田は手を引き、長泰だけで実行することに。何だ、何があった?

信之の体にまとわりつく、何だかわけのわからないねばねばしたもの。

信之「何なんだこれは!」

ホントに、何なんだあれは。

城内で後藤又兵衛らがイラ立っていたころ、徳川秀忠も総攻めを命じない家康にイライラ。

家康「将軍様は戦の何たるかを分かっておらんようだ」
本多正信「戦というものはただ勝てばよいというものではございませぬ。いかに兵を損なわずに城を落とすか。そこが肝要」

信繁と全く同じことを語らせています。

そこで考えたのが、真田信尹による信繁調略作戦。しかし、家康の命令を速攻で断る信尹。この叔父上、相変わらずかっこいいな。

「寝返れば10万石」という家康の言葉に、何か思うところがあったのか(ドラマ・ストーリーによると「幸村に会ってみたくなったのだ」)、引き受けたらしい信尹さん。矢文で渡りをつけて入城。信繁とばば様の通夜以来の再会を果たします。

かるーく飲みながら一族の近況を語り合うと、「さて帰るか」とサクっと立ち上がる信尹。家康からのメールを手渡すものの、「寝返ったときの褒美が書いてある。読まんでいい」。

信繁が読まずに破り捨てると、信繁をじっと見つめて去っていきます。基本ポーカーフェイスなのに、表情と雰囲気だけで語れるいい役者さんだなぁ。夏の陣の後、「最後の信繁」に会ったときにどんな演技を見せてくれるのか。これだけ信尹を出してきたのだから、最後の再会場面を描かないわけがないと思うのですが……。

そして茶臼山本陣に戻り、「調略、不首尾に終わりました」とぬけぬけと復命する信尹さん。「食えぬ男じゃ」と言うあたり、家康もおおよその事情は察した感があります。

徳川の次の一手はすぐに始まります。正純が織田有楽斎に、ふすまごしに和睦を要求します。演出が雑なのか、包囲側の正純と籠城側の有楽斎が直接会える状況がドラマでは分からなかったのですが、ドラマ・ストーリーによると「とある寺」とのこと。「とある寺」でも可能なのか?

ともあれ、秀頼に対して和睦を提案。信繁が反対するも、悲観論を展開して大蔵卿局の動揺を誘い、抱き込みます。この2人に和睦を迫られ、また秀頼陥落か? と思いきや、いったんは和睦案を退けます。おお、信繁のアドバイスがきいたか。

しかし、信繁が退出した後も有楽斎と大蔵卿局に和睦を要求され続け、苦悩の表情を浮かべる秀頼。ほれ、頑張れ右大臣。

大野治長「とうとう殿は押し切られてしまった」

だめだこりゃ。

そこで、茶々を動かすことにします。

茶々「何ゆえあの者たちは和睦したがるのです?」

なるほど、茶々は和睦に同意していないようです。そして、「まことのことを言います」という、本当にまことかどうか分からないぶっちゃけトークを展開します。

茶々「私は秀頼と一緒にいられればそれでよいのです。この城だって、手放せというのなら手放しましょう。どこか遠くの小さな国へ移って、そこで皆で暮らせればそれ以上は望みませぬ」

大坂の陣の意義を根底から覆すご意見。最初からこの方針で当たっていたら、このドラマの家康はOKしていたでしょうに。

ともかく、信繁の依頼を快諾する茶々。

翌日? 秀頼の部屋に信繁とともに乗り込んだ茶々は、「和睦はなりませぬ」と一喝。

秀頼「断を下すのは、あくまでも大坂城の主たるこの私です。そうであったな左衛門佐」

そこだけ信繁のアドバイス通りかよ! 「和睦してはなりませぬ」という信繁の進言は退けたのに。

茶々「そなたを産んだのは誰じゃ? 我こそがこの城のまことの主ぞ。断は私が下します」

これはこれでひどい。母から独り立ちしようとしていた男の子としては、これはキツい。

退出した信繁を追ってきた秀頼は、「己の言葉の重みを知れと申したのはそなたではないか」と信繁を責めます。「左衛門佐に頼んだのは私でございます。左衛門佐を責めてはなりませぬ」と庇う治長がなにげにいい。バトル向きではないけど、わたしは好きよ。

大坂城の居酒屋・与左衛門には、信繁を除く牢人たちが集合。塙団右衛門、夜討ちかけるってよ。長宗我部盛親は団右衛門の下で戦うことに不満で退出し、信繁にチクります。が、信繁は「気分を変えるのもよいかもしれんな」と黙認するつもりのご様子。不満牢人たちのガス抜きにするつもりか?

と思ったら、本町口の夜討ち会場に信繁も登場。そのまま参加しちゃいます。これは……ガス抜きしたかったのは信繁本人だったのかもしれません。

一方、カルバリン砲が大坂に到着。家康は片桐且元を呼び出し、茶々の居室の場所を訪ねます。ここで、恐らく初めて「淀殿」という呼称が登場しました。

さすがにこの情報提供を拒否する且元ですが、家康は老獪。「何も狙い撃ちしようというのではない。居場所が分かればそこを外すことができよう」と、且元を安心させます。そして「奥御殿のうち天守の南の方」という答えを引き出すと、「ではそこだけは避けるとしよう」と言って且元から離れます。

そして、「天守の南を狙え」と命じる家康。まあ、基本的にこの人は最初からこのキャラでしたね。

発射されたカルバリン砲は、天守を直撃。複数の侍女が瓦礫の下敷きになり、茶々ショック! で今回は終了。

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