大河ドラマ「江~姫たちの戦国~」 第30回 愛しき人よ

日時:2011/08/07 20:42

「安い少女マンガ」(「少女マンガが安い」ではない)のような展開の第30回。今回は年月の表記がありませんでしたが、諸般の描写から最初のシーンは文禄4年(1595年)の冬以前。満年齢だと、江が22歳、秀忠ヒネ忠が16歳です。

江、ヒネ忠、正信という初のスリーショット。大人の対応を見せる正信に、「この者は口がうまいのです」と、イチイチ人間関係に溝を作るようなことを言うヒネ忠。彼は賢いという設定のようですが、今のところ黙っていた方が賢く見えるタイプですね。しゃべるともの凄くバカに見えます。脚本家にそっくりですね。

このドラマにはわずかしかいない大人、正信はというと「おなごは年かさに限る」と江をフォロー。しかし、その後がいけません。年かさの美点として

寛容で穏やかで懐深く

という要素を挙げていたのですが、どれも江には当てはまらないものばかり。どさくさに紛れて江をdisっているのでしょうか。 純喫茶利休が閉店して以来、誰も茶を飲まなくなって茶湯が絶えてしまったかのようでしたが、唐突に喫茶シーン復活。家康と江、仲良く神君伊賀越えを回想します。あれは黒歴史だから思い出さない方がいいですよ。

この席で家康に男児の出産をリクエストされる江。なにげにムカついていたらしく、ヒネ忠に「私は道具ではありません」とクレームを入れます。が、家康のWANTは当時としてはごくまっとうなもの。これに文句を言うとは、江っていつの時代の人ですか? 時代劇なら時代劇らしく当時の価値観を尊重していただきたい。もちろん当時も「子を産む道具」扱いされて辛い思いをした女性も多かったでしょうが、あの描き方ではまったく心に響きませんね。低レベルな脚本です。

さらに笑わされたのが、初と高次の一件。泣き顔で登場した初を見た瞬間に、「あー、側室&忠高が発覚したんだな」と思ったら、その通りでした。底の浅い脚本です。

それだけならいいのですが、初の回想シーンによると高次が初に土下座しているではありませんか。側室に子を産ませたくらいで土下座する大名? ばかばかしいにもほどがある。時代劇の振りをして時代劇をやっていない詐欺的なドラマですね。

子ができなければ、夫に側室を勧めるのが正室のたしなみ。1587年に嫁いで8年。いまだに子を生まない(結局生めないのだが)初に高次を責める資格などないでしょう(もちろん、「当時は」ですが)。

やたらと起伏のないエピソードが続いた後、ヒネ忠をさらにヒネくれさせる事件が起こります。何と、江がいない間に彼女の荷物をヒネ忠があさるのです。そこで見たのは、ヒゲザイル秀勝のメール。このドラマはちょんまげコスプレ現代劇なので、現代風に解釈すると嫁のケータイを盗み見る夫ってところでしょうか。あの薄っぺらい脚本家の脳みそでは、その程度のイメージでしょう。そして、妻が前夫の形見を大事に保管し、夜中に取り出しては思い出し泣きしていることを悟る、と。

こうしてますますヒネくれたヒネ忠。冬、春(明けて慶長元年ってことですね)、夏と風景がうつろう中で、家庭内別居を繰り広げる江とヒネ忠。

ここで唐突に発生する火事。ウワサによると、元々の脚本では火事ではなく「地震」だったのですが、東日本大震災を憚って単なる火事に変更されたとか。

とすると、このシーンで年月日が確定します。この時期・この地域で地震といえば、慶長元年(1595年)9月5日の慶長伏見地震です。最初のシーンの時期は、ここからの逆算です。

一応夫らしく江を外に連れ出した後、燃えさかる屋敷の中に舞い戻るヒネ忠。ヒゲ勝の形見と、江が娘からかっぱらった風車を取って戻ってきます。ここでヒネ忠が死ぬわけないので(死んでもいいよ、とは思いましたが)、まったく緊迫感はありませんでしたが。

この一件で、「ヒネ忠の真心を知った」という安っすい流れで本当の夫婦になる(対外的には「励んでいた」ことになってましたが)2人。何て恥ずかしい展開でしょう。本来ならこの安いストーリーを恥じるべき脚本家が平気で、見ているこっちが恥ずかしくなるなんて、何か間違ってますね。

まったく、今回もヒドい出来でした。

次回は慶長の役、千姫誕生、秀吉の死まで3年分を詰め込むつもりでしょうか。話が薄くなりそうですが、1年を複数回に分けても結局薄いので、まぁどうでもいいような気がしてきました。

大河ドラマ「江~姫たちの戦国~」キャスト(配役)
大河ドラマ「江~姫たちの戦国~」 三姉妹年齢年表
も第30回に合わせて更新しました。よろしければご利用ください。

江の子孫については、江の家系図もどうぞ。