大河ドラマ「おんな城主 直虎」 第14回 徳政令の行方 感想

カテゴリ:おんな城主 直虎
日時:2017/04/09 22:22

今回は、井伊直虎の数少ない史実エピを何やらいい感じに改変して、美談に仕立て上げました。次回以降も、まあこんな感じで出だしは直虎の短慮で失敗するも、持ち前の行動力でいい感じに解決するというお話が続きます。

井伊直虎の施策を阻むため、中野直之と奥山六左衛門を抱き込んだ小野政次は、瀬戸村、祝田村の旧所有者であるしのとあやめに、曲解ぎみに直虎の意向を伝えます。

一方、直虎は今川対策への協力を南渓に依頼します。今川の分国法「仮名目録」の条項を利用するつもりなのですが、この時点では詳細は明かされません。

相変わらずキレっぱなしの直之は、政次を後見に推薦します。しかしコイツ、反抗期の中学生がわめいているというか、子犬がキャンキャン鳴いているようにしか見えません。脚本はともかく、この俳優に魅力を感じません。

あー、この小物俳優ウゼえと思っていたら、政次登場。やっと場が締まりました。で、今川からの徳政令発布の下知を差し出します。

ここで、直虎と瀬戸方久による猿芝居開始。もっとわざとらしい演技くさーい演出をしてくるかと思いましたが、割とあっさり演出。要は、瀬戸、祝田村を龍潭寺に寄進してしまった。寺の領地は守護不入、つまり公権力は手出しができない。龍潭寺領になった瀬戸、祝田村には今川といえども徳政令を迫ることはできません、というわけです。

もちろん今川からの下知をかわすための方便であることは明らか。これをもって今川が「じゃあしょうがない」と言うわけもなく、時間稼ぎにしかなりません。 今川の下知に逆らう直虎に、直之がまたもキャンキャン吠えます。ウゼえ。弱い犬ほどよく吠えると申しますが……この直之、腕は立つという設定です。中学生にしか見えませんが。もっといい役者いなかったの?

直虎「方久に土地を預けるのは、これからの井伊のためじゃ!」

お、六左衛門に刺さりました。

そして翌朝。徹夜で瀬戸村、祝田村の代わりの土地を探していた直虎が目を付けたのは、母・祐椿尼の化粧料。

祐椿尼「えっ?」

「化粧料」は、その女性の財産(お金や土地など)。「母上はもう御出家にございますし」と正論を突きつけられて反論しづらいものの、自分の財産を他人あげちゃいますという娘に祐椿尼が驚くのも無理はありません。

そこへ、方久が拉致られたという知らせが入り、飛び出す直虎。瀬戸村にダッシュ。が、誰もいません。逃散か……。

逃散は、村民が領主に要求したり抵抗するための抵抗手段。領主としては村の働き手がいなくなってしまうのは困るので、それなりに効果があったようです。いくつかの条件を満たしていれば、逃散は合法と認められていました。合法となるには、争点となっている年貢以外は納めている必要があります。本ドラマの農民たちは、この条件を満たしているのか……。合法と認められない場合、領主は田畑を差し押さえることもできちゃうのですが。

で、直虎は農民たちを探して何年さまよったのやら、異常にホコリまみれになってしまいました。心が折れた直虎は、要求通り蜂前神社にやってきて、徳政令を認める書状を書き始めます。

そこに現れた亀。……亀だ。そして、書状の上に居座ります。「どけ」とか言ってますが、亀は大して大きくないので、本当にどかしたければドラッグ&ドロップすれば済むことです。

亀の行動を亀次郎、直親からのメッセージのように受け取り、徳政令受け入れを思い直します。そして、逃散した瀬戸村の百姓に代わって夜間田植え開始。

それを見てなおも反発する甚兵衛に、直虎様はすばらしい演説を垂れます。史実では今川が出した徳政令を2年も拒み、最終的には徳政令を飲まされた直虎ですが、ドラマではわずか数分のすばらしい演説によって全て解決。債権者である銭主側についた直虎 vs. 今川に頼って徳政令を願った農民&蜂前神社禰宜(ねぎ)&小野政次という構図は史実と同じながら、史実とドラマでは結果が真逆。徳政令を発布することもなく、農民たちは納得して村に帰還。

六左衛門も大感激して直虎に心服します。しかし、コイツも問題ありすぎ。

六左衛門が自ら語った能力は以下の通り。
・政のことは明るうなく(前回)
・武術はからきし(今回)
・馬も下手(今回)

……お前、何ならできるんだ?

六左衛門「実の父からも愛想を尽かされるほどの出来損ないにございます」

俺も愛想が尽きたわ。

で、方久はすっかり忘れられていました、というムロツヨシらしいオチが付く、と。

もちろん、それでは済みませんよということで、寿桂尼様から呼び出しがかかって今回はおしまい。

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