大河ドラマ「おんな城主 直虎」 第9回 桶狭間に死す 感想

カテゴリ:おんな城主 直虎
日時:2017/03/05 21:51

「視聴者を泣かせたい」という、実のない熱意が盛大に空転する第9回。ホイルスピンで生じた白煙が目にしみて、別の意味で泣けてきます。第1回ラストと同様、次回のネタバレをしちゃうのも意味不明です。ダメだこりゃ。

次郎法師と千賀が「例の井戸」で話していると、今川大敗のお知らせ。

一方、松平元康今川義元討ち死にの知らせを受け、岡崎への帰還を決意。岡崎城にいるはずの今川の城代も逃げ去り、あっさり成功。

元康「も、戻れてしまったの」

よかったね。

翌日、生死不明だった井伊直盛が首だけになって無言のご帰宅。首を持ち帰った孫一郎から直盛の最後が語られます。

直盛「どうせ死ぬなら、織田の輩の手柄ではなく、井伊の役に立ちたい。わしの首を掲げ、お前は織田のふりをし、戦場を抜けよ。そうすれば、井伊の武者の一人は助かるではないか」

う~ん……。

孫一郎「ならばならばそれがしの首を殿が掲げ……」
直盛「お前たちはまだまだこれからじゃ!」

で、重臣の息子を生かすために殿が犠牲になるという、全くもって意味不明な理由で直盛が自害したというのです。どう考えても直盛が生き延びた方が井伊にとってプラスです。そもそも、こういうときに殿を無事に落とすのが家臣の務め。おとり役になって毛利元就を逃がした渡辺通の話とか知らんのか>脚本家。大河『毛利元就』でも名場面なのですが。 直盛が致命傷を受けていて、「ワシはもうダメだからせめて孫一郎だけでも」という流れであれば納得できたんですがねぇ。

千賀「お働き、まことご苦労さまでございました。おひげを整えましょうね……」

からの、直盛の死を嘆く一同の熱演は伝わってきますが、死の理由がばかばかしすぎてシラケます。今思い出してもジンとくる『毛利元就』とは大違いです。

さらに、孫一郎が「井伊谷を中野直由に任せる」という直盛の遺言を伝えます。驚く一同ですが、小野政次の解説でサクっと納得。しかし、奥山朝利だけは疑問を呈します。ここから生じた政次への疑念がムクムク成長して破局に至る、と。

まずはなつと亥之助を取り戻すと言い出す朝利。朝利からのメールを受け取った政次は、なつに意思を確認。小野にとどまるようにという千賀の指示もあり、小野にとどまりたいというなつに涙する政次。この場面は良かった。

次郎法師は、母の部屋で自分宛のメールを発見。知らなかった父のエピを知り涙する次郎法師。と、泣かせにきました。ちっとも悲しくなりませんでしたが。

そこへ、井伊直親としのがやってきて、懐妊のお知らせ。「跡継ぎができました」と断言しちゃいます。エコー検査で男子の印が写っていたのでしょうか。まあ、実際に井伊直政なんですけどね。

ノベライズでは、次郎が寺に戻って祈っていると物音。そして血だらけの政次が「奥山殿を斬ってしまった」と言ったところで終わっています。何だか分からんが急展開!というなかなか引きの強い、いい終わり方です。

ところが、ドラマでは朝利から斬りかかる場面を入れてしまっています。しかも、誠実な態度で答えていた政次に、「人質にする気だ」と邪推から生じた因縁をつけて政次をキレさせ、理路整然と反論されて逆ギレという、朝利に非があるのは明らかな描写付き。なぜこんな余計なネタバレしちゃいますかねぇ。

このドラマの演出はセンスがありません。しみじみつまらない。直親謀殺に至る展開も、きっと稚拙な演出で台無しにすることでしょう。

2017年 大河ドラマ「おんな城主 直虎」キャスト(配役)
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