大河ドラマ「おんな城主 直虎」 第6回 初恋の別れ道 感想

カテゴリ:おんな城主 直虎
日時:2017/02/12 22:22

今回は、次郎法師と直親が夫婦になることを諦めるというだけのお話。直親の退屈なキャラ造形に対し、複雑な思いをちらつかせる政次が興味深い。一応、今川が尾張侵攻を進めている話も出てきて、桶狭間が近づいていることもにおわせていますが。

亀之丞、元服して直親となる。以後、みんな「直親様」「直親様」と諱を連呼します。まあ、気にしないことにしてはいるのですが。

直親のいい子っぷりに大人たちも大盛り上がりですが、直親が次郎法師の還俗問題を持ち出して微妙な空気に。

微妙な立場に揺れる次郎法師に、南渓が昔話を始めます。道威が中と伯に2個ずつまんじゅうを与えた。中は1つ食べてもう1つを子どもにやった。伯は1つ食べ、もう1つは持ち続けてカビさせた。そして道威は伯を残した。それはなぜか? 次郎法師が自分なりの答えを出すのが今回のテーマです。

一方、直親は小野家を家庭訪問。聖人君子でもあるまいに、小野に一物あると思っている小野兄弟はビックリ。そして、直親の聖人君子っぷりに微妙な表情の政次さん。高橋一生はこういう屈折した役がうまいね。こういうとき、すごい複雑な表情をするので見入ってしまいます。

駿府の様子を探りに行った新野が戻り、やはり直親の帰参&相続と次郎法師の還俗の二兎を追うのは断念。それをあっさり受け入れる直親。と思いきや、

直親「ここはもう死ぬしかないと思うのだ。死んで一緒になるしかない」
次郎法師「ばかなことを申すな! やっと戻ってこられたというのに何を」
直親「俺は死なぬぞ。死ぬのはおとわだけだ」

というわけで、自害を偽装して別人となることを提案。まあ、そう悪いアイデアではありません。 そんな話を今回も聞いていたのが傑山。実にドラマオリジナルキャラ然とした人ですが、何と実在の人物。イマイチ興味が持てなくてスルーしていたのですが、ドラマとは関係ない直虎の小説にも登場していてビックリ。あらためて調べてみたら実在していたというわけです。やはりちゃんと勉強しないとだめですね。

オリキャラだと思ってネット検索もしなかったのですが、検索してみると実在の人物である件はゾロゾロでてきます。というわけで希少性のある話ではないのですが簡単にまとめると、

傑山:龍潭寺三世住職(南渓の次)。弓の名手で長久手の戦いにも参戦したバトルプリースト
昊天:龍潭寺五世住職

ドラマでは昊天がナンバー2感を漂わせてますが、傑山の方が兄弟子ってことかい! と、2度ビックリ。

直親の提案に乗ったものの、複雑な思いに駆られる次郎法師。かかしを作って泣き出したり、井伊の屋敷を眺め、母を見て涙ぐむという情緒不安定状態を世間にさらします。これはこれで、淵に身投げする前フリとしては申し分ない展開です。もちろん、「こうして次郎法師は死んだと見せかけて名を変え、直親と添い遂げました」では話にはなりません。

そして考え抜いた次郎法師が出した答えは、「おとわは死ねぬわ」。

次郎法師「2つの饅頭をいっときに食べたり与えてしまってはのうなってしまう。なれど1つを取り置けばまことに困ったときにもう一度食べたり与えたりできる」

南渓との話を知らない直親にとっては、「何を言い出すんだこの女は」的な脈絡のなさですが、直親はそんなことは言いません。

直親「おとわが還俗するのは俺と一緒になるときではなく俺に何かがあったときでありたいということか」

すごい。コイツの理解力は天才的です。

次郎法師「井伊のためには死んでしまったことにするわけにはいかぬ。次郎の名を捨てるわけにはいかぬ」
(中略)
直親「一生日の目を見ることなどないのかもしれぬのだぞ」
次郎法師「それこそ上々であろ? 我がかびた饅頭になることこそ井伊が安泰である証しであろ?」

こうして、かなり強引ですが史実に対してドラマなりの結論が出されます。嫡男がいなければ、養子を娘と結婚させて後を継がせるのが一般的。しかし、直親は直盛の娘と結婚せずに井伊を継いだ。還俗は難しくない(実際、次郎法師は後に還俗した)のに、この時点ではしていない。この不可解な事実を、取りあえずドラマとして成立させてはいるな、と。

もっとも、直親が奥山朝利の娘と結婚したのは信濃に逃げていたときだったという説もあり、謎はまだまだ残ります。

「正室の座を空けておいてはまたぞろ今川より誰か押し込まれるやもしれぬ」ということで、タイミングは違えど史実通り奥山朝利の娘を正室に迎えることに。

直親「但馬もそろそろ身を固めたらどうだ? いくら待とうとおとわはそなたのものにはならぬぞ」
政次「考えたこともございませぬが」
直親「俺にはそうは思えぬがな」

口をきゅっとかみしめる政次。イラっと感がよく伝わってきます。やたらといい子ちゃんな直親より政次を見ている方が面白いから困ります。

一方、鷹はもらえぬからと雀を飼っていた竹千代さんは、雀を手なずけて瀬名を驚かせます。阿部サダヲ……さすがに前髪を落としていない少年役はつらいな。家康は天文11年生まれだから、天文23年だと……数え13歳、満11、12歳。小学生ですね。

2017年 大河ドラマ「おんな城主 直虎」キャスト(配役)
もご利用ください。