大河ドラマ「真田丸」 第44回 築城 感想

カテゴリ:真田丸
日時:2016/11/06 22:44

ついに真田丸&赤備えが登場。ちらつく内応者の影。秀頼の成長。見どころはあるものの、今回も話自体は抑制気味です。次回以降、この真田丸のセットを生かしたシーンがどれくらい見られるのか……。

いつもオープニング曲から始まる『真田丸』ですが、今回はドラマからスタート。ほう、アバンから始まるとは珍しい。

……このアバン、長すぎないか?

いつもと違う始まりに混乱しつつも、ドラマスタートです。

前回真田信繁が苦労して野戦で意思統一を図ったものの、トップのひと言でひっくり返され牢人たちが腐っていたころ、籠城決定の知らせは早くも徳川家康の下に到着。

家康「これで勝ったのう」

もう完全に、家康の意を受けて籠城に仕向け、情報を垂れ流してる内応者がいますね。

これまでの動向で、どうみてもアイツだろうって感じですが三谷がミスリードしてる可能性もあって余談を許しません。こんなうがった見方ができるなんて、今年は実に楽しいではありませんか。 籠城に決まってプランの練り直しを迫られた信繁は、大坂城の南が弱点と見て、出城の構築を考えます。早速大野治長に築城の許可を求めると、後藤又兵衛が同じプランを出してきたと言う。で、又兵衛に担当者交代をお願い。

ここは真田丸の機能を信繁に説明させるために作ったエピって感じですね。

さらに、城全体の布陣をプランニングして牢人五人衆で意思統一。

豊臣秀頼も「見事な布陣じゃ」とご満悦ですが、またも織田有楽斎と大蔵卿局が反対して台無しにします。

治長「牢人たちをそろそろ信じてやってもよいのではありませぬか」

まともな治長ですが、大蔵卿局はもうどうしようもありません。「作り直しじゃ」と布陣図をグチャグチャに。

治長「ああ~」

まぁ、乳母ごときが軍略に口を挟むような腐った家は滅んでも仕方がありません。

出城も布陣も反故にされ、ついにキレる毛利勝永と又兵衛。又兵衛あたりはむしろ、よくここまで我慢したなという感じです。そこで信繁が茶々との直接交渉に出ます。

茶々「ようやく秀頼殿も成人し、今は全てあの子に任せています。もちろんたまに意見は言いますが」

ここ、笑うところ?

茶々との交渉も不調に終わり、退出した信繁を待っていたのは治長と木村重成。そして歴史創作物の中で恐らく最も善人な治長が「腹はくくった。戦をするのはそちらだ。思うようにされよ」と言い出します。

おお、治長かっこいいぞ。

こうして治長の独断で出城作りが決定。

徳川秀忠本隊も京に到着し、それを追っていた松も真田の陣の近くまで到着。が、女人が陣に近づくことは許されず立ち往生。

すると何ということでしょう。実に実に都合良く、何か稽古をしている女性の声が聞こえてくるではありませんか。そして何ということでしょう。出雲阿国の一座ではありませんか。

で、かみ合わない会話の結果、松を拾った阿国は先代と判明。服部半蔵といい、そっくりな二代目が好きなドラマだなおい。松のビジュアルが大して変わらないだけに、阿国は見た目年齢的にツライものがありますが。「幼心に何となく覚えてるわ」とか、必要なエピか?

で、二代目阿国一座に偽装入団して真田の陣に潜り込み、真田信之からのメッセージを伝えるお使い完遂。

場面は切り替わり、通に語る信之。「思えばわしの人生はずっと耐える毎日だった」

信之「妻に内緒で九度山の父たちに仕送りを続けた」

蕎麦の実ばかり……。

そして屋敷に戻った信之は、稲に「城から戻った」と息をするようにウソを吐きます。が、すれ違った稲は眉をつり上げて何かに感づいたご様子。まあ、通が「心が穏やかになる香」を焚いていたから匂いかな。

場面は再び大坂城。出城作り現場をなぜか通りがかる有楽斎。「大河ドラマ・ストーリー」によると、「有楽斎が大坂城内を巡回」していたご様子。真田丸は本丸からかなーり離れていて、意図的に行こうとでも思わないと通りがかるような場所じゃないんだけど……有楽斎の行動範囲は恐ろしく広いなぁ。

で、出城作りと牢人の布陣も上層部にバレてしまいます。「左衛門佐を信じてやりたいのだが」という秀頼に、大蔵卿局と有楽斎が毒を注入します。

大蔵卿局「下知に従わぬのは秀頼公に背くこと」
有楽斎「あれの父親は裏切りに裏切りを重ねて生き残った男でございます」

有楽斎さん、あなたの父親の信秀も結構やらかしてますよ(褒めてます)。

こうして、築城中止が命じられます。わざわざ現場までやってくる有楽斎、結構マメですな。本丸からここまで来るのは結構大変だと思うんだけどな、途中に谷もあるし。

有楽斎「誰も許しておらん。大野殿、許したのか?」
治長「何のことやら」

そして、信繁にささやく治長。「ここでやめればおとがめなしと秀頼公は仰せられた。すまぬ」

治長、「すまぬ」とわびを入れるあたり善人なんですが、独断で許可しておきながらトップに突っ張り通して下を守る力が足りないところが残念。ちゃんと欠点を作ってあるところが三谷らしい。

工事を中止させられ、高台に一人たたずむ信繁の下に、又兵衛と勝永がやって来ます。2人は信繁に一緒に城を出ようと誘いますが、信繁はそれを断ります。

信繁「豊臣を見捨てるわけにはいかぬ」

その様子を秀頼は見ていた!

秀頼「豊臣を見捨てぬというのはまことだな?」
信繁「私は亡きお父上、太閤殿下にお誓い申し上げました」
秀頼「この出城、仕上げよ。私が許す。私はそなたらを信じておる」

が、秀頼から報告を聞いた茶々は反対。「なりませぬ」

そんな母を「この城の主は私です」とはねのける秀頼。おお、大人になられましたな。

一方、徳川の本陣も何やら騒がしい。「これは何をやっておる?」と、大御所様御自ら視聴者の疑問を代弁してくださいます。すると、盾や竹束を用いて仕寄せの仕方を確かめていると言います。しかし、最後の戦(関ヶ原)から14年。兵の平均年齢が20代だとすると、「ほとんど戦場を知らぬ者たち」(信繁談)ということになります。大坂城に籠もったのは関ヶ原の結果あぶれた牢人たちとすると、ほとんどが実戦経験者(その代わりおっさんぞろい)ということになります。

大御所様、仕寄せ練習の有り様が気に入らず、御自ら熱血指導開始。本多正信も年甲斐もなく張り切っちゃって、何やら楽しそう。徳川方にもさすがに実戦経験のある古参兵はいるはずで、大御所が出張らなくても戦の作法を心得てる人はいそうなものですが。

そんな大御所に大坂城内からのメールが着信。何と布陣図です。さて、内応者は誰だ?

家康「これは?」
正信「急ごしらえの出城のようでございますなあ」
家康「あー、いらぬ所に造りおって」

そして、守将が真田左衛門佐と聞いて「真田、また真田か!」。

場面は信繁&内記。ついに真田丸&赤備え公開です。胸が熱くなるな。

信繁「ようやくこれで城持ちになった」
内記「城の名は何とします?」
信繁「決まっているだろう。真田丸よ」

そしてタイトル「真田丸」。これがやりたかったんだと言わんばかりの演出です。こういうの、嫌いじゃないぜ。あらためて、このタイトルバックが「ばこーん」と吹っ飛ぶところが暗示的ですが。そして実は44回分が、長い長いアバンタイトルだった。ドラマ本編は残りの5回のみということか……。

「ドラマのラストにオープニング」という、何か間違ってる感あふれる文字列もさることながら、文字列化すると「ラストに流れるオープニングのラスト」としか表現できない赤備え騎馬隊の突撃シーンで歓声やいななきが入るという演出。アニメでも最終回だけ主題歌に効果音が入ったりすることがありますが、あんな感じ。今回だけの演出なのか、これからっは効果音入りなのか、来週が楽しみです。

ここ3回ほど、恐らくあえて動きを抑えて地味目な話を続けたので、そろそろ話も人も大きく動かしたいところですね。

2016年 大河ドラマ「真田丸」キャスト(配役)
もご利用ください。