大河ドラマ「真田丸」 第41回 入城 感想

カテゴリ:真田丸
日時:2016/10/16 23:03

父と兄の影に隠され、特に目立った功績もなく配流生活を強いられるという人生を強いられ、活躍したと思ったら死んでしまう。まさにセミの一生を体現するかのごとき真田信繁が、ついに長い土中生活から這い出るときがやってきました。

信繁、一同に大坂城入城を発表。そのころ大坂城では、後藤又兵衛(基次)、毛利勝永らの牢人たちが続々と入城。その様子は駿府の徳川家康にも伝わります。家康は信繁を警戒し、九度山の見張りを増やすことを命じます。信繁の名前を忘れてたり、すっかりジジイになってしまった家康さんでした。最終回で信繁に突撃されたとき、シリアスな演技演出になるのか、伊賀越えの再来のような味付けにするのか、この家康は最後まで目が離せません。

江戸の真田屋敷で、病床の真田信之を堀田作兵衛がお見舞い。さらに、すえの婿として加藤諒もとい石合十蔵を紹介。

信之「こないだまで作兵衛の乳を吸っておった赤子がなあ」

ですねぇ。信幸(之)の「あまり吸わせない方がいいと思うがのう」という冷静なツッコミが懐かしい。 家康の大坂出陣の知らせに胸を痛める信之。彼には、嫡男を真田信政真田信吉のどちらにするかという悩みもあります。その信政と信吉は、庭で剣術のお稽古中。明らかに劣勢な信吉。一気に攻めた信政が順当に勝利します。が、勝った信政が、信吉の木刀を遠くへ払いのけて信吉を辱めます。

それを見とがめた稲が信政を叱責。

稲「あなたには兄への礼というものがありません」

一方、脛を打たれてアザができた信吉は、こうに叱責されます。

こう「後で信政様におわびを申しなさい。(中略)全てはあなたの不覚が招いたことなんですから」

正室・側室がいがみ合わず相手の息子を尊重し合うという、ちょっとできすぎのような麗しさです。小松姫の逸話から連想するイメージとしては、確かにこうしたさっぱりとした潔さがあるので違和感ないのですが。

三十郎とヒゲ誠が語り合っていると、信之がやってきて息子たちの後見を依頼します。今回は珍しく信之パートが長い。

その夜、語り合う信之と稲。まだ信之パートが続くとは。実に珍しい。

稲「敵の大将の首、いくつ取ってくるか、楽しみです」

もちろん、稲さんはまともですから「戦は嫌じゃ」とか「信政を戦になんか行かせない」などと口走ったりはしません。そして、あらたまって信之に願い事があると言い出します。

稲「よい機会でございます。信吉を正式に嫡男とするというのはいかがですか?」

驚く信之ですが、稲は幼長の順を理由に我が子ではなくこうの子・信吉を押します。

稲の進言により決断した信之は、こうにも大坂攻めの真田の大将を信吉とし、さらに嫡男とすることを伝えます。

信之「稲のたっての願いである」

感涙にむせぶこうさん、よかったね。しゃもじも持てないゴホゴホ嫁だったのに、日に日に元気になるという珍しいパターンを見せてくれました。

が、沼田藩を継いだ信吉は信之より先に死んじゃうんですよねぇ。信之のライフが異常に長かったせいですが。

慶長19年(1614年)10月7日。場面は再び九度山村。長兵衛の屋敷では、真田紐大ヒット祝賀パーティーが大盛況。都合良く?なのかどうかは不明ながら、このタイミングで竹本が番人を増やすお達しを伝えにやってきます。そして、信繁の誘いで竹本もパーティーに合流。

余興として、内記やきりらが雁金踊りを披露。信繁も加わって座を盛り上げながら、1人2人と宴席を退場。最後に信繁がさりげなく退場すると、竹本もひとさし舞うと言い出します。雁金踊りか……まだゴホ嫁だったこうさんが舞って「姉上がですか!?」と信繁を仰天させていたなぁ。

ここで不可解な展開が始まります。竹本のとっくりが空になり、長兵衛のとっくりから酒をつぐのですが、これが米のとぎ汁。で、それを飲んだ竹本が「これは酒ではない。米のとぎ汁じゃ」と叫び、謀られたことに気付きます。

さて、長兵衛のとっくりだけとぎ汁だったのか。他の連中は確かに酒を飲んでいる様子。なぜこのとっくりだけとぎ汁だったのか。このために策略が露見したことを思えば、全て酒にしておかなかったのは不可解です。

で、あらためて見直すと、画面上では向かって左から「竹本、長兵衛、信繁」の順で座っていました。そして信繁が雁金踊りに合流したため長兵衛の左隣、画面向かって右側が空席となります。長兵衛は自分の正面ではなく左側、つまり信繁が座っていた席からとっくりを取って竹本についでいたのです。

つまり、逃亡を意図していた信繁は酔わないように酒を飲まないようにしていた。竹本はそれに気付いて「謀られた」と悟ったというわけです。1回見ただけでこの程度のことにピンとこないとは、我ながら情けない。

長兵衛「村外れの森に寂れた寺がある。落ち合うとすればあそこです!」

寂れた建物に信繁が入ると、一同勢ぞろい済み。そこに九兵衛がやってきて連れて行ってくれと要求します。

一方、竹本は長兵衛の案内で村外れの寺に到着。「いかにも信繁ピーンチ」な演出を経て踏み込む竹本の手勢ですが、寺はもぬけの殻。

長兵衛「あ~ここではなかったか~」

長兵衛さん、そんなわざとらしい言い方すると信繁に味方したのがバレますよ。とぎ汁を飲ませちゃったあたり、脱出計画にかんではいなかったのでしょうが。

そして、恐らくその場にはいない信繁に向かって送別の一礼をする長兵衛。

信繁は、九兵衛の同行を許し、脱出開始。そして彼もまた、長兵衛と九度山村の一同に別れの一礼。

九度山村に入った直後のギスギスした関係を思うと、目の前にいない相手に礼をしあうシーンは感慨深いものがあります。

そして大坂城の近くまでやってきた信繁一行。夜には到着できるところのようですが、信繁は翌日、白昼堂々と入城すると宣言します。そして、戦が始まる前に春たちは逃がすと言います。

春「私も戦います」
信繁「それはならぬ!」

いつになく語気を荒らげる信繁。無意味に戦場をウロウロして犬死にした女のことが脳裏をよぎったのでしょう。

信繁らの宿所で、さりげなく働いている男を佐助が見とがめます。案の定、服部半蔵。そして、芸人同士のカット切り替えまくりでスピード感も迫力もないバトル開始です。が、信繁らが合流してあっさり終了。

佐助「あの動きは伊賀者」

父・服部正成ですら忍者じゃなかったというのに、この世界の服部半蔵はいつまで身分が低い忍者扱いなのか。ちょっと不憫になります。

佐助や信繁のよって壁際に追い詰められた半蔵、さてどうする?

半蔵「我に秘策あり。全力で……押し通る! うわ~! うわ~!」

お前もかよ!

信繁ポカーン。

服部半蔵、笑わせていただきました。

翌日、総白髪に歯抜けの特殊メイクで得体の知れないじじいになった信繁、この姿で堂々と入城します。大坂城入城時、信繁は白髪交じりで歯が抜け落ちており、腰も曲がっていたという伝承に寄せたものでしょう。ドラマでは「油断させるため」として辻褄を合わせていましたが。伝承を史実と仮定すると、この時点で我らが主人公はビジュアル的にかなり残念なことになってしまいます。

若々しいすがたのまま、さらに伝承も取り込むとするならば、一時的な仮装とするドラマの解釈は面白いと思います。とはいえ、信繁はこのとき48歳。長い配流生活なども考えれば、かなり老け込んでいた方が自然ではありますが……。

で、大坂城に配流と厠に寄って特殊メイクを取りさり、当時の48歳とは思えぬ若々しさにチェンジ。

豊臣秀頼に目通りを願い待っていると、大野治長がやってきて歓待します。

信繁「ちなみに今、兵の数はどのくらいでございますか?」
治長「雑兵も加えればおよそ10万。その全てが真田殿の兵とお考え下さって結構」

実際は、すいぶんと信繁の足を引っ張ってなかったか? 治長くん。

そして秀頼登場。秀頼は、信繁に上田合戦について尋ねます。

治長「それは左衛門佐の父、真田安房守……」
信繁「私でございます。世間では父安房守が采配を振るったことになっておりますが、実を申せば徳川を打ち破ったのは私。父は黙って見守るのみでございました」

思い切ったハッタリをかましてきたのには驚きました。

このついでに、信繁は兵糧について秀頼に尋ねます。代わって治長が答えると「それでは足りませぬな」と、さらなる兵糧ゲットプランを提示します。秀頼は大喜びですが、治長は早くも隔意を見せ始めていて、ゴチャゴチャする感を漂わせています。

そして茶々と再会して今週はここまで。

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