大河ドラマ「真田丸」 第27回 不信 感想

カテゴリ:真田丸
日時:2016/07/10 22:31

今回は、秀次事件に通じる重要回。豊臣秀次を疎んじるどころか、かわいがり、支えてやろうとする豊臣秀吉。それが全て裏目に出て、どんどん追い詰められていく秀次。これまでに見た秀次事件の中で最も切なく、秀逸な展開でした。

真田信繁は再び関白付きを命じられます。今回も辞退したものの、秀次を支えてほしいという秀吉の強い思いにより許されません。さて、が生まれた今、この秀吉は秀次をどう思っているのかと思ったら、「孫七郎はかわいい甥っ子」と言います。あいつをどうにかしてやりたいと笑顔で話す秀吉。おや、これは本心っぽい。

秀次がご機嫌伺いにやってくると、秀吉がツーショットに誘います。九州だけ拾にやってほしいという秀吉。秀吉に他意はなさそうですが、ビビってる秀次は信じてもらえていないとさらびビビる始末。両者の気持ちが微妙にすれ違い始めます。

そのころきりは、信繁を別室に連れ込みます。この時代、こんなことをしているとあらぬうわさが立ちますよ?

きりが側室話を打ち明けると、間髪入れず祝福する信繁。止めてほしいきりとよろこぶ信繁で全く会話がかみ合いません。ついに部屋を飛び出したきりですが、信繁が追ってくるのを待ちながら去るあたり、ウザかわいいことです。 秀次の不安は秀吉もご承知のご様子。秀吉の次の一手は拾と秀次の娘の縁談。

秀吉「そうすればあいつ(秀次)も少しは安心するはず」

拾と秀次の娘の縁談はよく知られているエピソードですが、多くは拾への継承に必死な秀吉の、あの手この手の1つという文脈で語られがち。これを秀吉の好意という視点で語ると全く風景が変わってきます。ニッコニコの秀吉の思いは秀次に伝わるのか?

残念。

「なぜこれほどの大事を一存で決めてしまうのか」と憤る秀次。「叔父上はそこまでわしを信じておられぬか」と、ますます追い詰められます。

事態の打開を図るため、豊臣秀俊が能を披露しようと提案します。関ヶ原以前から存在感を発揮する金吾とはまた珍しい。

こうして、能の名人・宇喜多秀家の指南をあおぐ秀次、秀俊、豊臣秀保。秀家、気合い入りすぎです。秀吉のために死ぬと言い切る秀家は、ビビりブレまくりの秀次の対極。何となく、関ヶ原に向けて秀俊と秀家の感情の流れを作り始めているように感じます。

自らの提案で始まったレッスンですが、身が入らない金吾ちゃん。それはなぜかと尋ねたら、小早川家に養子に出されることになったと言います。うん、知ってた。

もともとは秀俊を毛利輝元の養子にしてはという豊臣側からの提案で、毛利を一門に取り込むためのかなり重要な役割。毛利本家を守るために小早川家が引き受けることになったとはいえ、この養子縁組が重要であることは変わりません。が、疑心暗鬼にかられた秀次にはそうは思えません。

秀次「始まったぞ。厄介払いが」
秀次「次は私の番だ」

ますます追い詰められちゃいます。

そして春。吉野 吉水院で能を披露するときがやってまいりました。が、秀保が発病して戦線離脱。信繁が代役に引きずり込まれます。これは気の毒。

が、表情がだんだん険しくなる秀吉。信繁とちりまくりだし、能のデキにイラついてる?
秀吉「孫七郎、お前は何をやっているのだ。関白は他にやるべきことがいくらでもあるだろう!」

秀吉を喜ばせようとした秀次たちですが、完全に裏目にでてしまいました。お互い、思いが空回りです。

ションボリする秀次を北政所が励まします。

北政所「あの人はね、孫七郎が堂々としとればそれでええの。ありのままの自分を見せりゃええの」

北政所、ナイスフォローです。

その夜、秀吉が信繁に官位をやると言い出します。が、辞退する信繁。

信繁「兄を差し置いていただくことはできません」

これに秀吉が激怒。兄にも与えろというのかとなじり、「金輪際、官位などやるものか」とヘソを曲げます。

ここで割って入る秀次。「官位を与えるのは関白の務め。源次郎に官位を与えるかどうかは私が決めることです」と毅然と意見します。おお、やるじゃないか。

そして、あらためて源次郎に従五位下を与え、信幸のことは知らぬので、調べた上で相応と判断したら信幸にも与えるとします。沼田裁判エピのときと同様、見事な裁定です。

秀吉「それでこそ関白じゃ!」

と、秀次の裁定に秀吉も大喜び。「お主の言う通り、これは関白の仕事であった」と自らの非も認めるなど、度量を示します。

よかったね、秀次。本当によかった。ついに両者のわだかまりが解けたかのような名場面でした。

文禄3年(1594年)11月2日、信幸が従五位下伊豆守、信繁が従五位下左衛門佐に叙任されます。やる気スイッチが入った秀次は、明や朝鮮の使節を迎えるため聚楽第を豪華にするなどのビジョンを語ります。

続いて大坂城にお礼言上に来た真田親子。上機嫌の秀吉は、今回の叙任の内幕を信幸の前で口走ってしまいます。ここで、秀吉の失言を止めようとした石田三成がすばらしい。あまり人情の機微が分からないキャラにされがちな三成ですが、この三成はこまかい配慮もできる。さりげなく三成の為人を表していました。

信幸と信繁が退出し、1人残される真田昌幸。伏見城の改築に加わることを命じられます。「明、朝鮮の使節を迎えられるようにしたい」って……。秀次のやる気スイッチに水を差すようなことを言い出します。

秀吉「本来は関白の仕事なのだが、あれも相当忙しい様子なので、わしができることは手伝ってやろうと思ってな」

またも他意はなく、秀次を支えてやろうという親心的発想なのがツライ。このまま、秀次はその必要は全くないのに死へ追い詰められていくのか……。憎み合うよりもさらに切ない展開です。

叙任の内幕を知りショックを受けた信幸は、控えの間でついに怒りをぶちまけます。返上できるものなら返上したいと言い出します。大泉洋の、感情を抑えながらやりきれなさを出す演技がすばらしい。

信幸「弟の情けでもらってもうれしくも何ともない!」
昌幸「ばかなことを言うもんではない。もらえるものは病気以外もらっておけばいいんだ」

相変わらずすっとぼけたことを言い、信幸に伏見城普請を押し付けようとしますが失敗します。すると、信繁に普請を押し付けてサクっと退出。

そこへやってきた秀次。相変わらず気さくに話しかけてきて、伏見城の絵図に気付いちゃいます。そして、「謁見之間」「評定之間」という箇所に目をとめます。この人、妙に感がいいところがあります。

秀次「太閤殿下は伏見城で政をなされようというのか。私はもういらぬということか」

予想通り、ショックを受けちゃいました。両者の仲立ちをしようとする信繁ですが、秀吉は秀次の弱さに苛立ち、会話を拒否。互いに悪意はないのに、ディスコミュニケーションが事態を悪化させます。

秀保の死が事態をさらに悪化させます。拾は3歳。鶴松が死んだ年になったことで、秀吉はナーバスになっていたのです。秀保の死をなかったことにしたい秀吉は、葬儀に冷淡な態度を取ります。

この秀吉の態度に、「叔父上にとってわれらはいらぬものなのだ」と戦慄する秀次。聚楽第から出奔します。

秀吉の仕打ちに対して秀次と同調していた金吾は、信繁たちに対して淡々とした態度を取ります。この秀吉に対する金吾の感情は関ヶ原での去就に影響を与えそうです。

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