大河ドラマ「真田丸」 第18回 上洛 感想

カテゴリ:真田丸
日時:2016/05/08 22:20

今回は、真田昌幸の上洛のお話。昌幸を上回る豊臣秀吉の政治センスが光ります。昌幸の悲哀も見所。

では物語スタート。いまだ上洛を拒否し続ける昌幸さんの下へ、真田信繁からメールが到着。真田を大名に取り立てるというのに、昌幸さんは「気に入らん」と反発し、上洛を拒否し続けます。

直江兼続まで上田城にやってきて、上洛を勧める始末。それでも動かない昌幸がどこで折れるのか?

こんなときは、やはりとりさん。武田と縁もゆかりもない秀吉の家来になることに納得できない昌幸に、処世術を諭します。

とり「うそでもいいから頭を下げなさい」
とり「秀吉の勢いが衰えたら寝首をかく」

さすが、真田幸隆とともに生きたおばば様です。昌幸もこれでやっと踏ん切りがつき、延々と引っ張ってきた昌幸の上洛問題が決着します。

ここまでの端々に、純喫茶利休で唇に茶を付けたまましゃべる信繁、飯がよそえるようになったこうなどの小ネタを挟んできます。こうさん、だんだん元気になってくるな。なのに正妻の座を奪われてしまうとは不憫だ……。 次の課題は、松の記憶喪失という割とどうでもいい問題。まあ、ここは単なるサイドストーリーなので気楽に流せばいいでしょう。

前回、明らかに突出して踊りがヘタクソだったのに、「阿国の次に踊りがうまい」と言い放つ藤。え、実はそうだったの? と思ったら阿国からあっさり厄介払い扱いされます。最初は、陳腐な「突き放すようなことを言って身を引く」パターンかと思いましたが、特に阿国関係のフォローもなかったのであれが本音だったのでしょう。

こうして藤を引き取った信繁、藤の記憶を呼び起こそうとしますが……。

藤「姉上ってのやめてくれない。せめて妹に……」
信繁「そればかりは……」

きりとともに寧に仕えることになった藤。そこへ秀吉が飛び込んできて、太政大臣就任が決まったと大はしゃぎ。

秀吉「信長公もなれなかった太政大臣じゃ。わしはついにあのお方を超えたんじゃ」

事実関係としては間違っていないのですが、「なれなかった」というと微妙な感じです。理由はもちろん、「三職推任問題」。提案したのが朝廷なのか信長なのかハッキリしないのですが、右大臣辞任以来、官職についていない信長が
・征夷大将軍
・太政大臣
・関白
のどれかに任官するという話が持ち上がったのです。その直後に本能寺の変が起こったので、確かに「なれなかった」のですが、本能寺の変直前の信長は何にでもなれる状態だったともいえます。

ニッコニコの秀吉ですが、カットが変わると途端に暗い表情。

秀吉「さほどうれしゅうはない」

えっ。

何かと思えば、寧と茶々では全く別の言動をしていると。

秀吉「官位が何じゃ。わしはそのようなものが欲しくてここまでやってきたわけではない。信長公が果たせなかったことを引き継ぐ。望みはただそれだけ」

なるほど、寧には本音でうれしさを発露し、茶々にはクールにキメたわけですね。

そして天正15年(1587年)2月。昌幸が大坂に到着。信繁、兄・父と久々の再会。信繁のほおをぺちぺちと叩く昌幸。

真田信幸に秀吉について聞かれ、信繁は秀吉について「戦国の世を終わらせようとしている」と語ります。

信幸「ということは源次郎。戦場で暴れまくる日はもう来ないのか」
信幸「われらは生まれてくるのがいささか遅すぎたのかもしれんな」

手を洗いながら大坂城天守を見上げる昌幸もまた、同じ感慨を抱いているのか。堀田作兵衛は戦はない方がいいと言っていましたが……。

そして拝謁の日。昌幸がいそいそと献上品をチェックしていると、石田三成片桐且元が献上品の検分にやってきます。が、彩りが悪い、毛皮が臭いと邪険な扱い。

いざ拝謁の段になると、上座に座ったのは何と豊臣秀次。三成から本領安堵の旨が伝えられ、拝謁終了。

あまりの扱いに激怒する信幸。すっかりしょんぼりする昌幸。確かにかわいそうな扱いでしたが、なかなか上洛しなかった連中に対する扱いが悪いのは仕方がありません。

信繁は茶々に取りなしを依頼し、秀吉に直訴する機会を得ます。そこで何と真田が敵に回るぞと恫喝します。実際問題、信繁の恫喝が秀吉に利いたとは思えないので、天下人を堂々と恫喝する信繁が気に入ったのか。ここでの秀吉の真意は想像するしかありませんが、再拝謁が実現します。

ここで、例の臭い毛皮を着て登場するあたりが秀吉らしい。さらに、昌幸の手を取って懇ろな言葉をかけます。さすが人たらしの秀吉。

しかしこれだけでは終わりません。昌幸は、史実通り徳川の与力大名になることを命じられます。徳川家康の顔を立てて真田攻めを許し、家康の真意を探るために真田攻めに待ったを掛けた秀吉。次いで真田を与力とすることで、真田に対する徳川の優位を公式化。「駿府に立ち寄って挨拶をせよ」と命じることで、真田に遺恨がある家康の留飲を下げさせて徳川を立てる、と。

史実に感情という要素をうまく当てはめたものです。

裏切り裏切られながら生き抜いてきた昌幸は、この事態に再びしょんぼり。

昌幸「たどり着いたのは、秀吉の家来となった徳川のそのまた家来。こんなに面白いことがあるか」
昌幸「源三郎、源次郎、わしはどこで間違った? 教えてくれ。わしはどこで間違った」
草刈昌幸は、適当なことをほざいているところもいいのですが、弱さを見せたときがまた特にすばらしい。この場面もまた、痛々しくて見ていて実につらい。

ここでようやく藤というか松のことを父・兄に伝える信繁。正直、記憶喪失ネタはどうでもいいし、単なるサイドストーリーだし、適当にスルーしようと思ったのですが、藤を皆で囲んで語る松の思い出話がまた、どれもこれもろくでもないことばかり。これらには全く反応しないのに……。

えー、思い出すきっかけがきりのかかと?

あまりにもひどい結末に、思わず笑ってしまいました。

そして昌幸、信幸は駿府城に到着。家康と対面し、頭を下げる昌幸。そんな昌幸を見てご満悦の家康。嬉しそうに高笑いしてますが、この真田が原因になって小田原征伐が始まるわけですから面白い。

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