大河ドラマ「真田丸」 第14回 大坂 感想

カテゴリ:真田丸
日時:2016/04/10 23:12

数正出奔や天正地震を盛り込んだり、男ドラマは相変わらず面白い。そして舞台は大坂へ。信繁視点ゆえに、何がどうなっているのか分からない展開です。

上田合戦後、メロスのごとく春日山城に戻った真田信繁。そんな信繁に、しばらく上田にいろ。お主の好きなときに戻ってこいと言い出す上杉景勝

それ、もはや人質じゃないよね?

実のところ、歴史上に登場する人質は現代人が考える人質とは異なります。日本の武家だと幹部候補生という側面があります。ヨーロッパの事例はもっとメチャクチャ。オーストリア公に捕まったイングランド王リチャード1世は、イングランドに帰って(おい!)、自分を解放するための身代金を工面するためにロンドンを売り払ってしまいます。

徳川家康は敗戦に激怒。本多忠勝に出陣を命じます。

家康のやる気スイッチが入っちゃったことを知り、困る真田家の面々。こんなとき、真田信尹なら何とかしてくれる! 信尹さんは浜松城の牢の中。その信尹に会いにやって来る石川数正。何と、数正の出奔を信尹による調略にしましたか(数正出奔の理由は諸説あり)。

こうして数正が豊臣秀吉の下へ出奔(史実)。これには冷静な本多正信も大慌て。徳川の内情や軍法が秀吉に筒抜けになる事態に家康も愕然。西への備えとして真田問題から手を引かざるを得なくなります。

実際のところ、数正出奔の原因が信尹ということはないはず(この時期、信尹は徳川の家臣になっているから)ですが、ドラマとしては予想外で面白かった。

数正の出奔により、秀吉が攻めてくるとビビりまくる家康。そのとき、地震発生。タイミング的に、天正13年11月29日に発生した「天正地震」ですね。実際、これが1つのきっかけとなって秀吉の対家康戦略は強硬路線から融和策に転換していきます。

牢の中で数正を調略した信尹の手腕を高く評価した家康は、信尹が真田の利益のために動く可能性すら飲み込んだ上で召し抱えます。信尹を無言で見つめる家康。「それでは断る理由がありませんな」と誘いに乗る信尹。芸ができるおっさん同士のシーンって大好き。
天正14年(1586年)春。ついに秀吉が前面に出てきました。

この時点で、秀吉は四国も平定(総大将:羽柴秀長、軍監:黒田孝高)し、関白に就任済み。

ナレ「豊臣と名乗るまでになった」

といいますが、実は豊臣姓を賜った時期ははっきりしません。天正13年説、14年説などなっど。天正14年説の場合、9月9日説、12月25日の太政大臣就任と同時説など。14年説に従うなら、天正14年春の段階では「豊臣と名乗るまでにな」ってはいないことになります。ここは取りあえず、13年説をとったということにしておきましょう。

こうして全国の大名に上洛を命じた秀吉。大名たちの反応は?

まずは北条氏政さん。取りあえず汁をかけます。

会いたければそちらから来い、来たら首をはねると、早くも小田原征伐フラグを立ててきます。分かりやすすぎていっそすがすがしい。

次は真田昌幸さん。大名でもないのになぜ?

信幸「大名でもないのに」×3
昌幸「うるさいな!」

織田に臣従した直後にはしごを外されたトラウマから、躊躇しちゃう昌幸さん。問題を先送りして様子を見ることにします。

最後は景勝。彼は速攻で上洛を決断。

信繁「それは秀吉に下るということですか?」
景勝「そうではない。上杉は秀吉と親しかった。それを崩さぬための挨拶じゃ。上杉は何者にも屈することはない」(ドヤ)
と言いつつ、兼続の様子をうかがう景勝。しかし兼続は目を閉じたまま。何かあるなという感じを表情だけで表現するエンケンすごい。

景勝の態度の謎は、直江兼続が解説してくれます。
兼続「先ほどのお屋形さまの話、真に受けたのではなかろうな」
(回想)
景勝「秀吉の家臣になるということか……」
兼続「上杉家を守るためでござる。秀吉につけば、徳川や北条もすぐに攻めてくることはございません」
(回想終)
信繁「また見栄を張られましたか」
景勝の切なそうな顔を見てしまうと、ちょっとかわいそう。

場面は再び上田城。信繁が景勝のお供で大坂に行くと知り、大喜びの昌幸。それが不満な信幸さん。「誰か」に膝枕されながら、グチりまくります。おーい、女性の顔が映ってないぞ、信幸~。いつ気付くんだ~?

で、顔を上げたらやっぱり母上。

前回、「すえは私が育てる!」と言い切ったきりは、やはり挫折。まだ徳川兵の生き残りがいるかもしれない寺に赤ちゃんを連れてきちゃったり、育児宣言しちゃったりするなど、実に残念なエピの結末がこれか。別にきりや梅が男の言いなりにならなくてウザいのは構わないのですが、不自然だったりつまらなかったりするのはツラいな。女がらみだと、明らかに好き嫌いとは別次元で話としてのクオリティが低い。

景勝一行が大坂に出発する日、春日山城にきりが出現。NIKIや昌幸の思惑あっての指示だろうから、きりが来るのはいいんですがね、景勝の御前で信繁ときりがキャッキャウフフってナニコレ。きりがKYなのはいいとして、景勝の前だから控えろと叱らない信繁もどうなのさ。女がらみだと、明らかに好き嫌いとは別次元で話としてのクオリティが低い。

『真田丸』への評価を下げ始めた私ですが、直前にお供を拒否られた三十郎が完全に「乙女の顔」で見つめてるのに笑ったので、今回は大目に見ることに。

木曽義仲の古戦場、倶利伽羅峠近くで、景勝一行を石田三成がお出迎え。信繁を豪快にスルーするなど、早くもキャラ立てしてきます。こうやってムダに敵を作るのって、「すっごく頭悪い」と思うんですよね。

自分の立場にすっかり屈託してしまった景勝さんは、信繁を散歩にお誘い。

景勝「源次郎、お主はわしのようにはなるな。この世に義があることを己自身の生き方で示してみせよ。わしに果たせなかったことをお主が成し遂げるのだ」
景勝「さすれば、わしは安心して秀吉に頭を下げられる」

さまざまな出会い、それぞれの生き方、託されたもの。これらが「大坂の陣で信繁が戦う理由」を形成していくのでしょう。一発逆転を狙ったのか、死に場所を求めたのか、徳川への反感か、豊臣(の誰か)への忠義か。それとも父とは違う生き方・死に方を追求したのか。まだ信繁が戦う理由は見えてこない。

景勝一行、入京。三成、一行を残して大坂に出発。

信繁「人を不快にさせる何かを持っている」
兼続「堅苦しいところはあるが実に頭が切れる。ああ見えて熱い男よ」
きり「見えませんけどね」

きり、人を不快にさせる何かを持っている。

兼続は既に三成を高評価。この2人の華麗なコラボレーションが関ヶ原の戦いを成立させて豊臣に大ダメージを与えることになるわけです。結構、この2人の責任って重いと思うんだけどなー。

大坂に着いた景勝ご一行様ですが、秀吉のドタキャンで対面は翌日にリスケ。宿舎として、信繁は三成の屋敷にご招待。そしてその夜、言い争う声が聞こえてきます。

清正「関白がどれだけえれえか知らねえが、俺は殿には似合わねえと思う。(中略)そんなの返上しちまえばいいじゃねえか」
三成「だったらお前が先に返上しろ。従五位下主計頭」
清正「あれは返したくないなあ。気に入ってんだ」
三成「言ってることがおかしいだろ」

この加藤清正、微妙に面白い。

翌日、いよいよ景勝がお目見え。しかし信繁は置いてけぼり。すると、茶々が乱入。天真爛漫で頭が悪そうなキャラです。信繁に会うのを秀吉が楽しみにしていると言い残して去っていく茶々。まだ信繁のことは殿下の耳にいれておらんという三成。さて、どっちがホント? 両方本当という可能性もあるけど、すると信繁が来ていることを三成以外の誰から聞いたのか?

分からないことだらけですが、1つ分かったこと。竹内結子も年取ったな……。

片桐且元が迎えに来て、いよいよ混乱する信繁。どこかの部屋に1人取り残され、ますます意味不明。片桐は心配事でもあるのか、胃腸が不調っぽいし。

そこへ駆け込んでくる秀吉。2人で屏風の裏に隠れて、何が何だか分からないまま終了。きっと、次回は秀吉のひとたらしっぷりが炸裂するんだろうなぁということ以外、先が読めなくて楽しみです。

2016年 大河ドラマ「真田丸」キャスト(配役)
もご利用ください。