大河ドラマ「真田丸」 第12回 人質 感想

カテゴリ:真田丸
日時:2016/03/27 23:10

第12回は、人質・信繁の視点で上杉景勝直江兼続主従に萌える回です。弱さを見せつつ信繁の理想の主君像になる景勝。それをしっかり支えつつ、微妙に人間性も露呈してきた兼続など、この2人から目が離せません。小賢しい信繁は、正直どうでもいいくらいです。

ではドラマ開始。冒頭はどうでもいいので飛ばします。

天正12年(1584年)、不覚人・織田信雄羽柴秀吉の関係悪化が引き金となり、秀吉と徳川家康が軍事衝突。小牧・長久手の戦い始まり始まり~。

が、真田には関係ないのでナレで終了。阿茶に靴擦れならぬ鎧擦れを手当させていたので、帰還直後か。4月の長久手の戦いで実質的には決着が付いていたのですが、家康が三河に帰国したのは11月なので、このシーンもそのころでしょうか。

「真田には関係ない」とは書いたものの、長久手の戦いでは信繁との会話シーンがあった森長可の討死(直前のメールがまた感慨深い)し、6月の蟹江城合戦には滝川一益が参加しているなど、天正壬午の乱関係者のその後も絡んでいるので見たかった気もするのですが……。

家康的には名が上がったものの、秀吉の主力は無傷。徳川領の西側は全然安心できない状態。沼田問題がこじれて北条との関係まで悪化するのは避けたい。こうして真田が家康の頭痛の種になります。 実は、思考的には昌幸と同類の家康。真田が上杉につく危険性に気付いてビビります。「真田は上杉を裏切ったばかり」と、本多正信ですら楽観視しているところに気付く家康はやはり優秀です。

もちろん、真田昌幸は図々しい。上杉にお友達リクエストを送信していました。これにはまたまたまたまた信幸ビックリ。

信幸「えっ!?」
昌幸「真田を上杉の家中に加えてくれと」

が、リクエスト拒否されてしまいました。

信幸「当然でございましょう」
昌幸「いや、意外であった」

おい……。

こりない昌幸さんは再び「何でもするから(ハート)」と、お友達リクエストを送信。そこで景勝は信繁を人質として要求し、昌幸を試します。

信繁がノリノリで人質に出掛けた後の上田城では、梅が妊娠に確証を持っていなかったことをきりにゲロします。怖いよこの女。ちらちら見え隠れしていたしたたかさがどんどん露わになります。まあ、もうすぐ退場だからどうでもいいのですが。

そして、信繁と三十郎は春日山城到着。義父に案内されて林泉寺と春日山城を回ったなあなどと思い出に浸ってみたり。

信繁たちが控えの間に通されると、庭には大勢の領民。何やら景勝に訴えに来たらしい。おいおい、兼続の有名なエピでもやらかす気ですか? 妻夫木兼続はともかく、本作の兼続は普通にやりそうだし。

が、普通に景勝が直訴を聞いているだけで一件落着。訴えた相手が兼続じゃなくてよかったね。まぁ落着してないことが後で分かのですが。

夕方になるころ、ようやく景勝に目通りがかなった信繁。

景勝「会いたかったぞ、源次郎」

信繁をすっかり気に入っちゃった景勝さん。前回、泣いてたもんなあ。目がうるうるしすぎてて、花粉症なのかな? と思ったものですが。

信繁を仏間に通し、あらためて信繁に上杉のポリシーを語る景勝。この景勝が「上杉の義」を語ると説得力があります。『天地人』で、「上杉の義」の価値はシャープ株並みに暴落してましたからねぇ。

信繁「義を忘れ己の欲のためだけに生きると人はどうなりましょう?」
景勝「死にざまは、生き方を映す鏡。己に恥じぬよう生きるのみじゃ」

信繁……ひょっとして、パパのことを言ってます?

「死にざまは、生き方を映す鏡」か……。昌幸の最後を暗示しているかのようです。

『ドラマ・ストーリー』によるとそれから2、3カ月後。兼続からの沼田城返還依頼が昌幸に届きます。早速、信繁に丸投げ。

信繁が景勝にお願いすると、兼続にかけやってやると快諾する景勝。沼田問題があっさり解決しそうな感じがまた怪しい。

案の定、雲行きが怪しくなります。景勝に直訴していた治兵衛と又吉が再訪。何と、景勝が吟味すると約束した件が進捗していない様子。え、3カ月も?

新蔵「そこはほれ、何事にも格好をつけられるお方だから。できない約束ばっかりなさるから、全部こっちにしわ寄せが来る」

アグレッシブな家臣だな。

景勝「格好をつけてばかりですまなんだな」
兼続「斬り捨てますか?」

うわ、聞かれてた。これは死にたい。

こうして、信繁は領民を助けてやりたいが何もできない、上杉家の実情を知ることになります。「わしには話を聞いてやることしかできぬ」と、己の無力さを自嘲する景勝が切ない。

信繁「正直、昨日まで、私はお屋形さまを尊敬しておりました」
景勝「今はそうでもないか?」
信繁「今はそれ以上に慕わしく存じます」

信繁「ひょっとして、沼田城の一件も?」
景勝「あ……」

「ヤベッ」て感じの景勝、不審そうにのぞき込む兼続。表情と間だけで、この微妙な空気を作るとは、芸達者な役者の演技は楽しいなぁ。

信繁が「沼田城は渡せない」と言うと、「上杉は真田とは手を結ばぬ」とバッサリな兼続。何も言えない、後ろめたそうな表情の景勝がまたいい。

景勝は、信繁たちを伴って浜へ出発。すると、鉄火起請の現場に出くわします。盟神探湯の流れをくむ神事ですな。

「大河ドラマの主人公」らしく、口を挟んじゃう信繁。奉行・斎木と意見が真っ向対立した信繁は、斎木に鉄火起請を挑みます。焼けた鉄が信繁の手に載る直前、チキンレースに負けた斎木。ここでお屋形さま登場という様式美。浜の使用権を交代で行使することで解決。よかったね。

上田では梅がすえを出産。阿菊のことかな。それとも娘はオリキャラ化かな。

そして季節は夏。兼続が信繁を呼び出し、景勝から真田を許してやれてと口利きがあったと伝えられます。昌幸が沼田を手放すと言ったら、逆に疑っただろうと言う兼続。こうして真田が上杉に従属することが決定。これが天正13年7月、つまり夏です。

信繁が上杉の人質になったのもこの時期らしいのですが、ドラマは諸々のエピを入れるためタイミングを少し前倒ししたのでしょう。景勝にやる気スイッチが入っちゃって、忙しくなったと信繁に苦情を呈するところもいい。

するとすかさず、徳川に手切れメールを送信する昌幸。真田は上田城に立てこもるだろうと予想する正信と石川数正

阿茶局「では、我が殿は敵のためにわざわざ城を造ってさしあげたということですか。殿も人がおよろしい」

阿茶のセリフで余計にイラっとする家康。

阿茶局「お潰しになったらいかがですか」

阿茶局も怖い怖い。

こうして天正13年8月、鳥居元忠が7000の兵で上田城に向けて進軍開始。

さて、上杉の援軍を期待したいところですが……。このシーンは兼続大活躍。

兼続「援軍をすぐにでも出したいところだが、当家には無理だということはお分かりのはず」
景勝「何とかならぬか?」
兼続「なりませぬ」

この兼続、やはりいい! 出てくるたびに好きになる存在感があります。

景勝「わしは真田を助ける!」
景勝「そうおっしゃると思い、領内から戦える者をかき集めました

最後がちょっとイヤミっぽいところがまたいい。そういう口の利き方をしても揺るがない景勝との絆を感じさせます。

するとさらに甘える信繁、援軍に加わりたいと言い出します。

兼続「戦のために人質を返すなど、聞いたことがないわ」

美声・やたらといい滑舌の兼続が、ついに声を裏返らせました。この兼続、やはりいい!

景勝「許そう」
兼続「お屋形さま!」

まあ、この景勝は甘過ぎなので兼続の気持ちもよく分かります。

景勝「存分に戦ってこい。そして、戦が終わったら、必ずまた戻ってこい」

景勝はいい人だなぁ。

史実の信繁はこのとき何をしていたかというと、実ははっきりしません。兼続が言うように、戦のために人質を返すことはないので、第一次上田合戦時は春日山城に人質として留め置かれたという説が主流ですが、第一次上田合戦に参加していたという説もないではない。要はドラマとして面白いかどうかなので、「第一次上田合戦に信繁が参加したなんてありえない」とか騒ぐ必要はないでしょう。つまらなかったら批判すべきですが。

さて、序盤の山場である第一次上田合戦、どうなりますやら。梅とか、どーでもいい要素は最小限にして、ちゃんと上田合戦していただきたいものです。

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