大河ドラマ「花燃ゆ」 第48回 富岡製糸場の危機 感想

カテゴリ:花燃ゆ
日時:2015/11/29 22:31

架空の「学び場」、グンマー初「ではない」女学校開校、26kmも離れた富岡から5時間もかけて前橋に学びに来る健脚女工、カタルシスのない富岡製糸場存続獲得。無意味に挿入される花の写真。「だからどうした」と言いたくなる40分。目を背けたくなるドラマがここにあります。

明治14年(1881年)。架空のありもしない「女の学び場」にて、無価値な会話が展開されます。当然、スルー。

一方県庁でも、県令閣下の偉大なる判断で生糸を気前よく底値で売ってあげたリチャードソンからの再発注に大喜び。おめでてーな、このビジネス音痴どもは。

そこで突然、セミが鳴くシーン挿入。これまで季節感なんて気にしなかったくせに、一体どうした? と思ったら、俺たちの美和さまがアイスクリンをお作りになられているではありませんか。アイスを食うからには夏だね、と。薄っぺらい演出です。 そこへ、富岡製糸場の女工がやってきて、時間の無駄としか思えない自己紹介を始めます。これからメインキャスト入りするならともかく、一人一人アップで映す意味も感じられません。お前らただのモブだろ。今回を入れても残り3回だというのに、どうでもいいことに時間を使うこのスカスカ感! よほど描くことがないのでしょう。

富岡製糸場の女工さんたち、向学心は見上げたものですが、既に存在する富岡製糸場の夜学はスルーして、美和さまの学び場に通う気ですか? 富岡から、前橋まで?

では、神君伊賀越え以来恒例となったGoogleマップの出番です。あの架空のでっち上げのインチキな学び場がどこにあるのか分かりませんが、便宜上群馬県庁と仮定して、富岡製糸場までの距離を求めてみましょう。3ルート出てきますが、ともに距離は26kmほど。歩くと5時間20分かかります。前橋から高崎までは平地(関東平野ですしね)ですが、高崎から富岡までは山道です。舗装もされていない時代のこと、もっと時間がかかったことでしょう。この娘たち、なんで富岡製糸場の夜学に通わないの? バカなの?

さすがお粗末先生。「富岡市」が前橋市内にあると思っておられるようです。「沼田市」すら前橋市内にあるようですしね。

こうして、強引に美和さまと富岡製糸場を結びつけたところで、政府が官営工場を民間に払い下げ始めた(史実)話を横取モトピコが始めます。すると、「では富岡製糸場も?」という展開に。えっと、富岡製糸場が民間に払い下げられると何か問題でも?

ここで突然、西郷従道登場。明治政府も、木戸孝允の死により「木戸独裁」体制(笑)が崩れ、突然人数が増えていて笑えます。

ここで突然、場面は萩に。民治が松下村塾を再開したよ、と。だから何? 最先端を行く松下村塾では、学級崩壊も先取りしていたと?

亀さんはすっかり赤マフラー化。亀さんは何年も前に死亡し、民治は今ごろは「亀の妹」と再婚しているはずですが、このまま亀さんで押し通すつもりですね。本筋とは関係ないので登場人物を整理するのもアリですが、この腐りきったドラマではつい深読みしてしまいます。「妹と再婚」という、当時としては当たり前の「順縁婚」を「モトピコと美和さまだけのスペシャルなもの」だとミスリードしたいがために、民治の再婚を闇に葬ったのでは……。

そして、場面は再び架空のインチキのでっち上げの嘘八百の学び場へ。船津が女性たちに炊飯ライフハック講座。講師というより実演販売のおっさんみたいです。これを見て、グンマー初の女子学校作りを思い立つモトピコくん。

初めての学校?

グンマーでは、明治11年に女児小学校が開校してるんだけど? 美和さまご発案の学び場(明治14年開校)よりも先に。まあ、モトピコくんが思い付いちゃったのはタイミング的に明治15年開校の女学校のことだと思いますが。

美和さまは、まるで妻のような顔で県庁にやってきます。県庁では、取って付けたようなわざとらしさで忙しさを演出するモトピコくん。普段は暇そうなのに。そして、そんなモトピコについてのんきに解説する暇そうな中原。お前も働け。

やっと手が空き、美和さまと話し始めるモトピコ。それを見た阿久沢がお似合いだと言い出します。2人の再婚の肯定化に必死ですね。ありもしない外堀を一生懸命埋めようとしている脚本が実にイタイタしい。実にくだらない。

美和さまとモトピコの関係前進に、阿久沢夫妻がからみ始めます。くだらない。

先妻が姉だからダメだろうという阿久沢。姉が願っている気がするというせい。いや、順縁婚ってそいういうものじゃないんだけど。2人とも、現代から来た人ですか?

姉の死後、妹が後妻として入るのは珍しくないので、「先妻が姉だからダメ」という阿久沢のセリフはおかしい。また、これは恋愛感情ではなく家と家の問題。姉が望んでいるかどうかも関係ない。史実の美和も、母の滝が強く進めたため渋々再婚しただけの、ごくごくまっとうでドラマ性もない平凡な順縁婚なんですが。

初恋だの恋愛感情を混ぜるから悪臭が発生するのです。その悪臭を抑えるために、寿が望んでいたとでっち上げたり、架空の人物(まあ、モデルは下村善太郎でしょうが)に外堀を埋めさせたりという、無意味な香水を振りかけて悪臭を倍増させているのだから始末が悪い。そもそものコンセプトがダメだと、どうにもならないといういい例ですね。

そもそも、美和は明治14年の時点で数え39歳(満37、8歳)。モトピコは数え53歳(満51、2歳)。最近の女性は40歳でも若く美しく、大変魅力的ですが、明治初頭のアラフォーは十分オバさんです。と優香いうか、美和さまなんて、当時なら孫がいてもおかしくない歳。モトピコなんか、出てこないけど既に孫が生まれてるし。ジーサンとバーサンがイチャイチャしているという、大変見苦しい状態をなぜ見せられなければいけないのか。気持ちが悪い。

そこへ、突然秀次郎登場。美和さまにあんなひどい仕打ちを受けたのに、メールをやりとりしてたのか。そして、モトピコが勝手に久坂家の跡取りを決定。他家の家督にまで口を挟めるとは、さすがモトピコ。

そんなくだらないことをやっていたら、民間に引受先がないから富岡製糸場は閉鎖ね、との通知が来ます。それまで富岡製糸場のことなんか無視ししていた県庁職員が、突然エキサイト。官営(国営)の富岡製糸場の閉鎖について、グンマー県令にすぎないモトピコに詰め寄る職員たち。

女性たちにも同様が広がります。何だ何だ、富岡製糸場大人気だな。

美和「私たちもできることをやりましょう」

でた。さすが美和さま。こうして、壮大なテーマ曲をバックに何をやるかと思ったら、嘆願書書き。はぁ。でっち上げの学び場での読み書きが役に立ってよかったね、ですか。

意味もなく挿入される花の写真。何だこれ。ああ、今回は特に変な演出をするもじりとかいうカスか。もじり演出回は間違いなくハズレなので笑えます。

盛り上がるBGMとはうらはらに、全く盛り上がらないドラマ。実にイタい。

退屈な映像に続き、これ見よがしに桜のアップ。春になった=明治15年になったってことですか。グンマーでは、「最初ではない」女学校開校式。

県庁では、職員がやきもき。そして、またもや信じられない出来事が発生するのです。

農商務省からの電報を、なぜか美和さまに渡すのです。

何だそれ。

政府から県への通達を、真っ先に県令の「先妻の妹」にすぎない民間人に見せるとは。このドラマの関係者は、誰もおかしいと思わないの? 県庁職員ども、どいつもこいつも頭がおかしいんですが。

そして、嘆願書を持って直でお願いに行ったら閉鎖撤回。その嘆願がなぜ政府を動かしたのかはスルー。閉鎖の危機感もなければ、閉鎖撤回なるか否かの緊張感もない、カタルシス皆無な脚本・演出です。才能のない人間がドラマを作ると、こうも悲惨な物ができるのですね。実に惨めです。

阿久沢商会も機械を導入。いきなり使いこなす女工たち。優秀だなおい。

そして、阿久沢夫妻がモトピコと美和さまの再婚に直接介入開始。さあ、本ドラマで最もどうでもいいエピの開始です。

2015年 大河ドラマ「花燃ゆ」キャスト(配役)
大河ドラマ「花燃ゆ」 主要人物年齢年表(松下村塾+α)
もご利用ください。