大河ドラマ「花燃ゆ」 第40回 二人の母 感想

カテゴリ:花燃ゆ
日時:2015/10/04 22:43

今回は、大人の都合で子どもを振り回し、「よかれと思って」を免罪符に理不尽な仕打ちで子を泣かせた揚げ句、元の鞘に戻って何も進展しないという徒労感を隠れ蓑に、横取モトピコちゃんへの称賛をさりげなくぶち込んでくるという恥知らずなお話でした。

晩年のグチっぽさとか、木戸孝允にはナニな面もありますがまごうかたなき維新の功労者。彼を横取モトピコちゃんアゲに利用するのは不快感しか残りません。横取モトピコちゃんを顕彰するなら、横取モトピコちゃん自身の功績でやるべきでしょう。そんなものがあるなら、ですが。

では、お話スタート。京にいるはずの秀次郎が突然杉家の庭に出現。何がなにやらと思ったら、品川弥二郎の差し金でした、と。

秀次郎が久坂家を継ぐまでの経緯ははっきりしない面が多いのですが、「久坂玄瑞にそっくりだから久坂の子だ」と証言したのが品川。そこで、ドラマでは品川が秀次郎を探すという役回りが振られたのでしょう。

障子紙をぶち抜きまくる秀次郎のフリーダムっぷりに、「しつけも何もなっちゃおらんですね」と嘆く品川ですが、高杉家に押しかけて「晋作ぶっ殺す」とか叫いていたヤツに言われたくありません。

さて、秀次郎をどうするか。杉家の家族会議の始まり始まり。

亀「わたしならほかの人が産んだ子どもを育てるなんて耐えられませんと言いたいんです!」 亀さん、開明的ですね。武家の気風もまだまだ色濃く残る明治初頭の時期に、現代的な倫理観をお持ちとは! けど、妾の子といえど正妻が育てるのが当然、跡継ぎ候補ともなれば正妻が引き取る権利を持っていた時代では、単なる残念なダメ女にしか見えません。さぞ生きにくかったことでしょう。

美和「あの子を育ててみようと思います」

何だ、このお試し感。

滝「ならそうしたらええ」

犬でも飼うかのようなノリですね。

で、秀次郎に文字を教える美和さまですが、フリーダムな秀次郎に苦戦。


わしはこんなとこ
きとうはなかった!
   __
  /三人
  /三/ハソヽ
 /三ノ・ω・)>
 /////yミミ
  し─J

を地で行く秀次郎です。

文之進「よし。わしに任せろ」

お前はダメだ!

案の定、竹刀を片手に講義する文之進。吉田松陰という大失敗作を作った反省は皆無のようです。しかし、文之進を翻弄する秀次郎。すげえ。一方的に虐待されて狂った松陰の立場がありません。

文之進「ナスを踏むな!

は笑った。フツーに、このセリフは面白かった。まさかお粗末先生に笑わせてもらえるとは思いませんでした。

文之進も何かの野菜の茎を蹴散らしてたけど……。

ため息をつく美和さまに、滝が個性を伸ばす育児を勧めます。開明的な方ですね。

ここで、取って付けたような政局ターン。木戸は、不平等条約の改正がうまくいかず焦燥感からイライラ。

木戸「こねなとき、あの人がおってくれたら……」

出た! あの人のことかー。

木戸「日本のかじさえ取れる人間が百姓じゃと!?

さすがお粗末先生。今回はギャグが冴えわたります。またまた笑わせていただきました。横取モトピコちゃんが日本のかじとりですか! 笑いが止まりません。

関東の秘境グンマーの前橋出身の私としては、そもそも学校でも習わず、上毛かるたにも入っていない横取モトピコちゃんは、グンマーでは忘れ去られたどうでもいい存在。グンマー人としては、上毛かるたで取り上げられている新島襄や関孝和の方が遥かに重要人物です。初代前橋市長の下村善太郎は学校で習いますけどね。少なくともグンマーにいるときは横取モトピコちゃんなんて知らなかった。彼については、長州モノの小説に時々出てきて初めて知ったという感じです。『世に棲む日日』にも1行くらい出てきたかな?

また、個人的には高崎に何の思いもないけど、どうやら前橋と高崎は県庁問題で確執があるらしい。ホントにそんな確執があるとしたら、その原因を作ったのは横取モトピコちゃん。グンマーのかじ取りすら満足にできなかったカスが、日本のかじ取りですか。横取モトピコちゃんが総理大臣にでもなっていたら、日本は100個くらいに分裂して第2次戦国時代に突入してたんじゃないでしょうか。

それから、どさくさに紛れてお百姓さんdisってんの?

そんなある日、秀次郎が失踪。家族のひょんな一言にショックを受けて、子どもがいなくなる。よくある展開ですね。

で、屋内を完全に探すこともせず、外に探しに出る美和さま。わしらも探そうと美和さまに続く文之進と小太郎。これで3倍の捜索力! と言いたいところですが、3人で固まって行動しているので全く意味がありません。またまた笑わせてくれます。

こんなバカたちでは捜索もままなるまいと思いきや、提灯を取りに行った小太郎が秀次郎を発見。実は家にいたという定番展開。

美和さまは、激しく叱って「心の底から心配したんだからね」と母性をアピール。この事件をきっかけに絆が深まり「母」と呼ぶようになるという定番展開。

お粗末先生、手垢で黒光りしていそうなあるある脚本を恥ずかしげもなく使います。その厚顔っぷりには驚きを禁じ得ません。お粗末先生、恐ろしい娘!(白目)

秀次郎が杉家に馴染んだタイミングで、辰路が秀次郎の様子を見に来るという、やっぱり予想が付く展開に。ここまで母子ものあるあるを投入されると、予定調和の海に揺られて安心感が出てきます。面白くはありませんが。

辰路は、未練タラタラなオーラをまといつつ、秀次郎を美和さまに託して去ります。それを見て、やっぱり辰路に返そうと思ったらしい美和さま、突然秀次郎につらく当たり、出ていけと言い出します。

秀次郎「これからはちゃんとします」

美和さま「いいえ! ダメです。もう母上ではありません」

もうメチャクチャです。知らない家に無理やり連れてこられ、やさしくされたので心を開き始めたら、難癖を付けられて出ていけとなじられる。秀次郎視点だと、理不尽きわまりない仕打ちの数々です。お粗末先生としては頑張って「どらまちっく」にしたつもりでしょうが、別に美和さまがヒールを気取る必要は全然なく、普通に辰路を連れてきて会わせてやれば済んだこと。美和さまのガンバリは、秀次郎の心に傷を付けただけの空回りでしたね。

そして、秀次郎は美和さまが引き取るかと思いきや辰路のところに戻るという、無意味なエピソードとなりました。秀次郎を探しに行って見つからず戻ってくるととか、秀次郎がからむとムダに右往左往するだけで何も進展しないという、無意味な回になりがちです。

そして、突然時間が進みます。明治6年(1873年)、木戸と伊藤俊博文が帰国。徴兵令発布。士族の反乱が多発、と。

佐賀の乱は華麗にスルーして、イッセー前原が萩の乱フラグを立てて今回は終了。秀次郎がらみで文之進が妙に頑張ったりションボリしたりする様子をプッシュしてたのも死亡フラグだったのかなぁ……。

2015年 大河ドラマ「花燃ゆ」キャスト(配役)
大河ドラマ「花燃ゆ」 主要人物年齢年表(松下村塾+α)
もご利用ください。