大河ドラマ「花燃ゆ」 第33回 花となるために 感想

カテゴリ:花燃ゆ
日時:2015/08/16 22:11

ついに、美和さま vs. 椋梨直接対決第2回戦が実現。淡々と信念をかたる椋梨に対し、美和さまは相変わらず自己中心的な主張を繰り返します。彼らの考えややり方が間違っていたという発想はどうしてもできない美和さまなのでした。

元治2年(1865年)、俺たちの美和さまの大活躍により梅太郎の拝謁がかないます。さすがは美和さま。毛利敬親に拝謁した梅太郎は椋梨の排斥を訴え、敬親が受け入れたことで春風ちゃんのクーデター成功が確定します。

失脚した椋梨は、敬親に直訴するため奥御殿へ。が、目通りかなわず、広敷御錠口に座り込みます。さらに、閉門のため退出を求められると、奥に向かって暴走。強行突破を図るものの、都美さんに阻まれます。

そしてなぜかなぜかなぜなのか、美和さまが椋梨を送る役を仰せつかります。奥御殿の人々は、どうしても美和さまに活躍してほしいようです。

こうして、椋梨家での発狂事件以来となる、椋梨と美和さまの直接対決スタートです。 美和「私の兄をおとしめ、夫を追い詰め、多くの方のお命を奪った」

君の兄は、子ども数人を捨て駒にして間部詮勝暗殺テロを企てたけどな。

君の夫は、長井を切腹に追い詰め、外国の民間船を無差別攻撃し、京で騒乱を起こし、他藩だけでなく多くの長州人の命を奪ったけどな。

と、うっかり美和さまの逆恨みに乗ってしまいましたが、考えてみたら松陰とポンコツ玄瑞は自爆。椋梨は関係ありません。ドラマでは来島のやる気スイッチを押して暴走させてましたが、ポンコツ自身、藩兵を率いての上京を主張していたので来島だけをせめるわけにはいかない。というか、松陰を貶めているのはこのドラマ自体だし。

また、幕府に恭順し、無難に過ごす保守的な椋梨の一貫した言動の中で、来島のやる気スイッチを押す部分だけが異常でした。来島の暴走は、どう考えても若手の問題にとどまらず藩の存亡に関わるレベル。実際そうなった。このキャラの椋梨とは思えない愚策です。それもそのはず、来島のやる気スイッチを押す部分は無能な脚本家のでっち上げ。創作部分だけが浮いてしまうのは、物書きとして明らかな失敗の証拠。実にみっともない話です。

美和「それほどまでして椋梨様が守らねばならぬものとは何だったんでございますか」

椋梨「政とは、変わらぬ営みを守ることじゃ」

やりかたはともかく、これは1つの見識として理解できます。

美和「久坂も同じでした」

同じじゃねーよ。

美和「同じように政に志を抱き、その道を生きたのでございます」

長井も同じでした。政に志を抱き、その道を生きたのでございます。お前の夫が追い詰めて切腹させたけどな。だから、志があれば許されるという問題ではない。「どんな志なのか」「その志を実現するためにどう行動したか」が問題なのであって。久坂の行動は褒められるものだったの?

美和「何も持たぬということが、私には力でございました。おごらず、ただ目の前の者をうやまい、出会う人たちから学び」

え?

ごめん。悪いけど、そうは見えなかったな。たかがおにぎり娘の分際でおごり高ぶり、兄や夫、椋梨らを敬わずなじり、出会った人たちから何も学ばず口をへの字に曲げて「分からん」と言い、偉そうに自分の薄っぺらい考えを押し付けてきませんでしたか?

「おごらず、ただ目の前の者をうやまい、出会う人たちから学」ぶようなヒロインだったら、応援できたんですがね。残念です。

数日後、銀姫が興丸(毛利元昭)を出産。椋梨失脚のタイミングなどから考えて、史実通り2月7日生まれでよさげです。すると、第30回の「羊羹でラブラブファイヤー」作戦をやっていたころ、銀姫は普通に妊娠7カ月。美和さまとは無関係にお世継ぎはできていたというわけです。

興丸誕生でハッピームードの奥御殿に、亀が訪問。美和さまに百合りんの見舞いを依頼します。そんなことはどうでもよくて、亀と潮の遭遇に期待したのですがニアミスならず。

興丸を自分で育てたい銀姫は、美和を守り役に選定し、都美姫の度肝を抜きます。ただし、この時点では決定せず。後に、「私情を捨てて興丸に尽くすなら守り役にしてもいいぜ」というありがたいお言葉を頂戴します。しかし、一方でパパの見舞いにも行きたい気持ちもあり、板挟みになる美和さま。と、この時点ではそう思ってしまいました。

ここで、ノベライズでは春風ちゃんが再登場。ドラマではまるっとカットされてましたが。

春風ちゃんは、再び下関へ。政は性に合わんとし、利助を洋行に誘います。さらに、下関を開港して武器を手に入れ、幕府を倒すというプランを開陳。大喜びの利助。そして、「萩から逃亡した椋梨のこと、聞きましたか?」と利助が春風ちゃんに問いかけ、次のシーンにつながります。

というわけで、椋梨捕縛の知らせを美鶴に伝える寿。このシーンも、ノベライズはセリフがもっとあるのですが、ドラマでは大幅にカットされていました。このシーンはノベライズ通りに膨らませた方がよかったのに。

美鶴「あの人は、逃げたのではない。己が巻き込んだ者たちを逃がしてやりたかったのです」

これは、捕らえられた椋梨が語った「私一人の罪ですので、私一人を罰するようにお願いします」(史実)を美鶴視点から語ったものといえるでしょう。次回、椋梨がこのセリフを言ったらますます「椋梨△」になりそうだなぁ。小田ムダの評判は下がる一方なのに。

日出(イマイチ目的が分からない)から美和さまの事情を聞いた潮が銀姫に事情を話し、美和さまにお宿下がりが許されます。

銀姫「これは温情ではない。命令じゃ」(キリッ)

ここで、美和さまがためらっていた理由が明かされます。グダグダと要領を得ないトークで時間を浪費していますが、用は「里心がついちゃうかも」というだけのこと。

こんな話でうるうるしちゃう潮。アンタ、すっかり美和シンパだな。

が、「それでもいいじゃん」という銀姫の暖かいお言葉で、お宿下がり決定。

というわけで美和さまが帰宅すると、家族が総出でお出迎え。屋外で出迎える必要があるの? 普通は、「さあ早く入りなさい」って感じで家に上げてくれるものですが。

美和さまと百合りんのシーンは悪くなかった。美和さま出立のシーンは美和さまと百合りんの今生の別れなのに、余計なセリフがなかったのもよかった。美和さまがもっと共感できるヒロインだったら、とてもいいシーンになったでしょうに。

奥御殿に戻り、美和まの決意を聞いた都美さんは、この場で美和さまを興丸の守り役に任命。

ここまで、奥御殿での美和さまのご活躍は全て捏造。ここから、美和さまの史実での奥勤め開始です。といっても、興丸の守り役として名前が残っているだけで、事績なんか何も残っていないのですが。

2015年 大河ドラマ「花燃ゆ」キャスト(配役)
大河ドラマ「花燃ゆ」 主要人物年齢年表(松下村塾+α)
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