大河ドラマ「花燃ゆ」 第20回 松陰、復活! 感想

カテゴリ:花燃ゆ
日時:2015/05/17 23:00

場面は敬親臨席の御前会議から。ポンコツ玄瑞の説得力皆無な大言壮語をなぜか採用した周布さんは、説得力に富んだ「航海遠略策」を廃して藩是を破約攘夷に転換します。もう、「え、何で?」って感じです。「今さら何を言われるか!」と反論する長井以上に、全くもって意味不明です。

ドラマはスタッフが無能ぞろいなのか、異常に造りが雑なのでこんなことになっているわけですが、残念な出来の脚本はいささかマシだったようで、ノベライズには多少まともなことが書かれています。

久光が藩兵を率いて上洛。彼や慶喜春嶽ら公武合体派の発言力が強くなった。が、同じく公武合体を掲げる「航海遠略策」は穏健な内容だったので、影響力を失っていた、と。この説明もかなり大ざっぱではあるものの、これすらすっ飛ばしていきなり「破約攘夷ね!」って……。今年のスタッフは、幕末物に向いてないんじゃね?

周布「今こそ破約攘夷を掲げ、広く諸藩に呼びかけて異国に立ち向かうときなのでございます」

ポンコツらの大活躍により、長州だけが孤立することになる大間違い方針「攘夷」が採用されてしまいます。あ~あ。 春風ちゃんは上海からあっさり帰国、上海土産を部屋に並べてご満悦。雅が欲しがったピストルは、龍馬にプレゼントされるSW(スミス&ウェッソン) 32口径6連発銃かな。

そこに怒鳴り込んでくる小忠太。軍艦購入エピをねじ込むも、これだけで終了? ……だろうなぁ。

小忠太から逃亡しつつ、そのまま京に向かう春風ちゃん。

晋作「一刻の猶予もならん」

と言われても、この時点では彼が「上海で見たもの」が描写されてないので、視聴者は彼の焦燥に共感できず置いてけぼりです。

で、京で敬親への目通りがかなった春風ちゃんは上海の現状を報告。さらに攘夷を先鋭化させます。こうして、海外を見て多少は視野が広がった春風ちゃんと、国内でうろちょろしていただけのポンコツで対立が発生。

ポンコツ「決死の思いで長井を倒そうとした。そのために亀太郎は死んだ」

「長井を倒す」という内ゲバ的発想がまず残念だし、亀太郎を犬死にさせたのはポンコツのせいだし。実際は、亀太郎は「包丁で特攻」なんて馬鹿げたことはせず、何もせずに悲憤のあまり切腹しただけですが。

晋作「亀太郎を殺したんはお前じゃ。お前のつまらんやり方が亀を追い詰めたんじゃ!」

その通り。

相変わらず煽り耐性がないポンコツは、1人でブチ切れているところを辰路に目撃されます。ノベライズには「どこかあどけなさが残る芸妓が」とあるのですが、今の鈴木杏は……えっと、あどけなさは残ってないな。

こうして、ポンコツのを産むことになる辰路が登場。

杉家に入り浸るようになった雅は、松陰の著作を藩オフィシャルにして、松陰の本で学ぶように命じてもらおうと提案。が、我らがヒロイン様はご不満のご様子。「お殿様の命令で読めというんは何か違うような」と、何だかめんどくさいことを言い出します。文様のお気に召すようにするのは大変です。

ポンコツは、料亭に三条実美をご招待。が、料理に箸も付けなければ口も聞かない実美の態度にクヨクヨするポンコツ。そんなポンコツに、辰路がアドバイス。映像ではナスと梅干しで何をしているのかよく分かりませんでしたが、ノベライズによると「黒焼きにした梅干しとなすのへたを口の中のおできに貼り付け」てふたをしたとありました。こんなんでいいのか分かりませんが、とにかく楽になったようでよかったね。

余談ながら、日本の歴史上、生前に「正一位」に叙されたのはたったの6人。その最後の1人が三条実美さんです。

長井は萩で謹慎させられることに。長井をポンコツらの論的として活用すれば、白熱した議論シーンを作ったりポンコツらの思想を浮き彫りにしたりできたでしょうに。長井の扱いがあまりにも雑だったために、逆に論理的に対抗できなかったポンコツや周布、伊之助のバカっぷりが際だっただけでした。

春風ちゃんに静かに語る長井がカッコ良かったのが救いというか、まともに中ボスとして活用できなかった言い訳を見せられているようでした。

一方、伊之助は岩国へ。支藩だの「岩国藩主」(ノベライズ)だのと扱われていましたが、毛利家は岩国を藩とは認めていなかったはず。「吉川家は諸侯ではない」というのが毛利家の立場なので、椋梨が吉川経幹を「岩国侯」と呼ぶのもヘン。こんな基本的なことも、大河関係者にとってはどうでもいいことなんだろうなぁ。長州が舞台なのに。さらに、ノベライズは「岩国侯」と書いた次のページでは「岩国候」と誤植(194ページ3行目)しているあたり、本当に雑です。

萩では、松陰の思想が子どもたちに感染。というか子どもたちを汚染。保菌者がどんどん増えていきます。大変だ、テロ思想がパンデミック。

そこで文さまは、身分が高い雅に無礼にも塾の手伝いをしろと依頼します。「江戸に行くから」と断られると、変な理屈で江戸行きを批判し、手前勝手な理屈で手伝いをさせようとします。

春風ちゃんにのそばにいるため江戸に行くのは「晋作のしたいことで雅のしたいことではない」と。その理屈だと、塾を維持して松陰のテロ思想布教だって「松陰のしたいことで文さまのしたいことではない」では。

結局、文さまって松陰のイタい活動のサポートを自己実現にすり替えてただけ。とはいえ文さまには内省といったものはなく、「塾の運営」という実にどうでもいいことに固執して独善的に他人を批判し、自身の考えに同意させようとする。まあ、あの兄にしてこの妹あり。他人の考えを否定して独善的な考えを押し付けるところはそっくりです。

京では、辰路がポンコツに猛烈アピール。が、実はその背後に薩摩藩士の影。なるほど、ポンコツを対象としたハニートラップ役にしましたか。これはちょっと面白いかもしれない。この設定をヘッポコ脚本&スタッフが活かせるか、注目です。

伊之助は、長州だけでなく岩国と長府を攘夷という間違った方針に引き込むことに成功。この功績をネタに松陰の復権を願い出ます。こうして、松陰の名誉回復と吉田家再興がなり、涙に暮れる杉家の面々。感動すべきシーンなのかもしれませんが、残念ながら全く何も感じるものはありませんでした。

江戸では、井上聞多が唐突に登場。一方、ポンコツと春風ちゃんはまたも対立。コイツら、「攘夷攘夷」とスローガンを叫いているばかりで、これまでそのための戦略も戦術も全く出てきません。何がしたいんだコイツら。異人を斬るか斬るべきではないかというレベルの話を今頃しているあたり、本当に攘夷のプロセスについてはノープランなんだな。こんなバカぞろいが好き勝手にコトをやらかすから長州征伐なんて有様になるわけで。

で、異人を斬るのはヤベーけど無人の公使館焼き討ちならOK(笑)という、妙に腰が引けた小物感に溢れる決定が下されます。攘夷攘夷と口では威勢がいいものの、ビビってるじゃねーか(笑)。

で、英国公使館焼き討ちテロを決行。ポンコツも合流して颯爽と歩き出す面々。なんだかカッコいい演出してましたが、やってることは無人の建物に忍び込んで放火(笑)。時々ニュースに出てくる「放火の疑いで逮捕されたXXX容疑者(40歳・無職)」と同レベル! しかも残念なことに史実なんだから恥ずかしい。それがが君たちの「志」ですか(笑)。

何だろう。この、私の胸にわき上がってくる軽蔑感は。

2015年 大河ドラマ「花燃ゆ」キャスト(配役)
大河ドラマ「花燃ゆ」 主要人物年齢年表(松下村塾+α)
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