大河ドラマ「花燃ゆ」 第10回 躍動!松下村塾 感想

カテゴリ:花燃ゆ
日時:2015/03/08 22:35

今回は、能力の有無は誰も論じず、たまたま居合わせたお偉いさんに直訴したら都会への留学が認められちゃったという、まさに「無理が通れば道理引っ込む」事案発生。塾視点では理不尽をはねのけてめでたしめでたしでしたが、実は全然理屈が通っていない、けど割と面白かったという珍妙な回でした。利助が良かった一方、やはり文はいなくても話が成立したという残酷な事実が浮き彫りになります。

安政4年(1857年)秋、文さまは数え15、ポンコツ玄瑞は同18、春風ちゃんは同19、総理大臣は同17。

初代総理大臣が松下村塾入り。志は「立身出世」と、結果から逆算したような答えには失笑。すると、焦り出す稔麿。要約すると、「東京の大学に行きたいが、家が貧乏で学費が出せない」という、昭和のころならありふれたお話です。

ちなみに、みんな普通に「稔麿」と呼んでいますが、彼が稔麿と改名するのは松陰の死後なんですが。 これを聞いた文さまは、案の定、稔麿の江戸行きを画策します。ただの小娘を話に絡ませるため、とにかく他人の事情にくちばしを突っ込ませます。年齢的にも能力的にも(時代的に)性別的にも無理があるということに、頓着していられません。こうして文さまの大活躍っぷりを見ていると、やたらと銃を撃ちたがる以外は普通に畑仕事を手伝っているだけだった八重が普通に思えてきます。史実上に残した功績は八重が圧倒的に上なのですが。

松陰に「天下の苗を助けて長ぜしめざる者寡なし」(おせっかいはその者のためにならない)と言われても諦めない文さまは、次に文之進を利用しようとします。あの文之進が小娘の言に耳を貸すわけがない……と思ったら、あっさり口車に乗せられてしいまいます。文さまに関わると、なぜみんなアホになってしまうのか。いやいや、文さまが賢すぎるだけなのかもしれませんが。

松下村塾では、フグ食ディベート開催。実際、松陰は『河豚を食わざるの記』という一文で食わない理由を述べているなど、割と重要なテーマだったりします。

後にフグ食を解禁する初代総理大臣はどっちつかずの回答。

そして、稔麿の江戸行きのため文さまが暗躍していると聞き、いちいち反応するポンコツ玄瑞。とんでもない棒だけど、ギャグパートは意外にハマってます。

稔麿の江戸行きプランを聞いた春風ちゃんは、塾生たちを引き連れて色町へ。ポンコツ玄瑞のギャグパートを挟みつつ、飲み会開始。そこに現れた酔っぱらい周布。稔麿の江戸行きをあっさり否定。

利助「酔った周布様が口を滑らせまして」

まあ、周布は酒癖の悪さで問題起こしまくりな人だから……。

再び塾シーン。いちいち「誰じゃ」と聞かれる利助。ここは普通に笑わせていただきました。

イラつく春風ちゃんを飲みに誘う敏三郎。君、数え13歳(満11~12歳)だろ。一番悪いのは、小学生に飲酒喫煙を教えた春風ちゃんなわけですが。

松陰に志しを突っ込まれた稔麿は、登校拒否して周囲を心配させます。が、絶妙なタイミングで利助の目撃情報をゲット。利助を便利に使ってるなぁ。序盤は普通に「利助から見た松陰」にすれば面白かったのに。

目撃情報を基に行動する文さま、色町に続いて浜崎港に突撃。船着き場をうろつき、みなさんの仕事の邪魔をなさいます。誰か、この小娘を本当にちゃんと叱った方がいい。

そして大乱闘。インネンを付けてきた他校の生徒と悶着を起こす、学園モノの定番エピですね。

で、校長先生もとい文之進が大激怒。そこに届く、伊之助から電報。

「サクラチル」

「江戸へ行きたいんじゃ。頼む」と土下座して頼む稔麿ですが、ここには江戸行きメンバーを選ぶ権限を持った人は誰もいませんしねぇ。

すると、なぜか元気になっちゃった松陰先生。

松陰「諸君、狂いたまえ!」

天性のアジテーターです。本人が一番狂ってるし。すると、塾生が一斉にダッシュ。このあたりの展開は唐突感が否めません。

そして、よりによって敬親ご視察の日に、塾生が明倫館に乱入。

椋梨「松陰の弟子をお家の大事に就かせるなど、金輪際あってはならぬ!」

という絶妙のタイミングで敬親登場。

伊之助「そういえば、殿も吉田松陰に学ばれましたな」

と、キラーパス。そこに付け入る塾生。

敬親「そうせい」

で一発逆転。若干あざとさは感じるものの、カタルシスが得られるいい展開でした。

ただ、妨害派の椋梨にしても支援派の塾生&伊之助にしても、江戸に送る人選に際して能力の有無を誰も論じないのはどうしたことでしょう。松下村塾出身者はダメという椋梨も、松下村塾から出したいという塾生&伊之助も、この点では同レベル。また、稔麿の志、いわゆる「意識の高さ」だけが論じられてますが、明倫館にも稔麿より意識も能力も高い人がいたかもしれないじゃん。塾生が殿にゴリ押ししたせいで、明倫館の有望な人材が江戸行きを阻まれたかもしれないと思うと胸が痛みます。

塾生が一丸となって何かをなしたそのころ、みんなと一緒に走り出してすぐにコケ、ねんざしていた利助。彼が劇団ひとりってどうよ?と思ってたのですが、何かこのキャラ好きかも。

ここで松陰のふぐ論が決着し、利助の志も松陰によって肯定されて序盤からの宿題が解決。

利助「けどうまいんじゃけどね」

だから解禁したんですね、博文さん。

塾生の奔走によって江戸行きをゲットした仮面ライダーキバは、文さまにほのかな恋心を臭わせつつ旅立ちます。史実では不細工せっていの文さま、モテモテです。さすが。

11月、塾生が杉家の納屋を魔改造。今回、例によってドタバタと奔走した割に何の役にも立たず、にもかかわらずモッテモテだった文さまの前に、前原一誠が登場して今回はおしまい。何だこの花より男子的なノリは。

2015年 大河ドラマ「花燃ゆ」キャスト(配役)
大河ドラマ「花燃ゆ」 主要人物年齢年表(松下村塾+α)
もご利用ください。