大河ドラマ「軍師官兵衛」 第48回 天下動乱 感想

カテゴリ:軍師官兵衛
日時:2014/11/30 22:36

全体的には(やっと)面白くなってきた第48回。ドラマが面白というより史実が面白いだけなのですが。逆に、ドラマとしては細かいところに変なところ多数。史実に合わせるため、これまでドラマで積み重ねていたものをブン投げた感じです。大した物は積み上がっていなかったからどうでもいいってことかもしれませんが。

慶長5年(1600年)7月、三成が挙兵して大坂城入り。この時点で家康が江戸城にいたのは確かですが、江戸城で三成の挙兵を家康が知ったというドラマの描写は非常に疑問です。一般的には、小山で三成の挙兵を知るはず。ドラマ的に史実を改変するのは構いませんが、それなら史実より面白し、かつ説得力を持たせるべき。三成の挙兵を知りつつヘロヘロと中途半端に小山まで進み、そこで評定を開催して西に戻るという動きは不自然きわまりない。何でまた、江戸城で知るなんて変な改変したんだろ。それによって話が面白くなったわけでもなし。

三成は淀&秀頼と久々のご対面。「亡き太閤殿下の大恩に報いることができます」といいつつ、人徳無しパワーで豊臣恩顧の大名をグダグダにして豊臣を弱体化させちゃいます。コイツがいなければ、正則らが東軍に付くことはなかったんじゃないかなぁ。

さらに、悪名高き大坂の妻子人質策で小物っぷりを炸裂。ガラシャには自害されるわ山内や黒田の妻子には逃げられるわ、この策は恥をかいただけでした。 先週の予告で光と栄が長持っぽいものに入っているシーンがあったのでどうなることやらと思ったのですが、ちゃんと史実?通り俵に詰めて太兵衛が担いだので一安心。光が俵に入るのをちょっと楽しんでたり、太兵衛の「重い」に光がムッとするとか、現代的なお約束あり。このあたり、全体的に緊迫感がなく、ユーモラスな演出です。ま、史実として助かるのが明白な場面で変に緊迫感演出にがんばられてもウザいので、ここはこの程度で十分でしょう。

で、ぬる~く納屋小左衛門の蔵にたどり着いた一同。なぜか、俵に入っていただけなのに顔が激しく汚れている光と栄。何で? 炭俵だったの? 俵に入るときは俵の中キレイだったんですけど。何で? また、斜め上にズレた方向でがんばっちゃったの?

光たちが抜け出した黒田屋敷には、奉行所の役人が家庭訪問。光たちに会わせろ、せめて遠目だけでもとがんばります。わざとらしく渋々承諾するホビット。この後の展開もおおよそ読めてきます。

で、予想通り、ホビットが覗かせた先にいたのはお福と宇宙人。

役人「長政殿のご正室は確か十六とのことだが、少々お年を召しているようにも見えるが……」

正しくは、「~確か地球人とのことだが、少々宇宙人ぽく見えるが……」

ではなかろうか。何にせよ、奉公人には若い娘もいるだろうに、何でよりによってあんな年増を影武者にするかね。こういうところがバカっぽいんだよな、この黒田家。

ノベライズによると、納屋小左衛門の蔵で何日か経過。相変わらず顔が汚い光と栄。いや、この演出イラナイから。全然意味ないから。顔くらい拭いてやれよ>黒田家臣ズ&納屋小左衛門の妻

そこに戻ってくる、別に顔も汚れていない太兵衛。ホント、光たちの顔を汚す意味が分からん。そこへ、忠興の屋敷から火があがったという知らせで、ガラシャ死亡。別にガラシャを出してほしいとは思ってませんでしたが、やっぱり脚本のバランスの悪さが気になります。

突然官兵衛に話しかけてグダグダ愚痴ったり、ノベライズにすらないシーンを作ってもらって強引に出てきたのに、死ぬところはスルーされたお倫(光秀の娘)は何だったんだ。適当に出てきて適当にフェードアウトする人物が多すぎるなぁ。

火事のどさくさに紛れて大坂脱出を謀る太兵衛たち。が、結局槍で脅して強行突破。このあたりはもう少し知略がほしかったところですが、この脚本家じゃ無理か。

三成の挙兵を知っちゃってるのに、不自然なことに小山まで無意味に進軍しちゃった家康は、何を思ったかここでミーティングを開催することに。史実だから小山でやるしかないんですけどね。普通に小山で三成の挙兵を知ったことにすれば何の矛盾も生じないんですけどね。

家康に呼び出された長政は、先に正則を調略。これで家康&家臣ズも大喜び。こうして7月25日、小山ミーティング開催。このシーンは、山内一豊によるお城プレゼントエピがスルーされた以外は史実というか定説通りの展開。正則と長政が家康の手の平でダンスダンスダンスです。

中津では如水がホビット、オリーブ、苦労右衛門とミーティング。このシーンは、ノベライズと全く異なっており、その意図が気になるところ。個人的には、ドラマの演出はちとクサくて好みに合いませんでした。

ドラマは、如水の意図を三家老が全て理解しており、如水が説明するまでもなし。さらに、絆を再確認してお涙ちょうだいという安い演出。

ノベライズは、普通に如水が三家老に戦略を開陳し、それに感動した三家老がモチベーションアップ! そこに大坂からメールが届き、三成が大友を動かしたことを知る、という部分があります。

如水の戦略自体はドラマもノベライズも同じなので大勢に影響はないのですが……。

如水「こたびの大戦、決着がつくまでしばしの時を要するであろう」

またも読みを外しちゃった如水さんでした。残念!

そんなさなか、おねの下にやってきたのは金吾秀秋。西につくか東につくか、いまだに決めかねておねに叱責されます。家老の平岡頼勝(後に大名になります)に冷めた目で見られてましたが、ノベライズの平岡は、「肩身がせまそうに聞いている」という描写で、ドラマとは態度が異なっています。

おね「私が最も信用している者に書状を出します」

また如水か(なぜここで如水が絡む?)と思っていたら、メールの相手は何と長政というご都合主義。そりゃ、秀秋を調略したのは長政なんだから、長政が秀秋に絡まなきゃ変でしょう。しかし、こういうときは、何が何でも強引に官兵衛を頼っていたのでは? あれだけ失敗続きなら如水は頼れないと思っても不思議じゃないですが。

この2、3回、史実に合わせるためにこれまでの脚本との整合性は放棄しちゃった感があります。あまり着地点を考えずに適当にテンプレ通りの安くてヌルい脚本を書き殴ったツケが回ってきたようです。

2014年 大河ドラマ「軍師官兵衛」キャスト(配役)
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