大河ドラマ「軍師官兵衛」 第46回 家康動く 感想

カテゴリ:軍師官兵衛
日時:2014/11/16 22:34

秀吉が死に、終盤戦スタート。が、ドラマは関ヶ原前夜の有名エピを特に工夫することもなく並べただけで、可もなく不可もなし。が、本ドラマのノルマである「さすが如水」はきっちりこなして笑わせてくれます。

アバンは、前回カットした臨終シーン。秀吉のラストシーンがおねとのツーショットだけになって良かった、ドラマスタッフグッジョブと思ってのですが、台無しです。やっぱりセンスないな。

ともかく秀吉の死で唐入りは終了。慶長3年(1598年)11月に長政らが帰国します。三成が出迎えに来ていたとプンスカな長政。

一方、行長は清正らの行動を三成に告げ口。似たもの同士、仲が良さそうで何よりです。君ら、早く斬首されちゃいなよ。と視聴者に思わせる、安っぽい脚本ですなぁ。 佞臣三成の大活躍により分裂必至の豊臣家。三成のおかげで滅亡一直線です。まぁこれは史実だから仕方がない。この状況にアゲアゲの徳川家臣ズ。が、家康は「気になる男」を警戒。ああ、如水さんですね。

12月、如水、長政上洛。糸はメンタルが不安定。離縁に向けて、「仕方がなかった」感をやすっぽく醸し出します。この女は最初から魅力がなかったから、こんな演出入れなくても大丈夫だと思うけどな。というか、早く消えてください。

慶長4年(1599年)1月10日。秀頼、大坂城へ。ここで唐突にわき出てきた利家が家康と緊張感のある腹芸を繰り広げます。脚本的には見るべきものは何もありません(ノベライズも、ここはもの凄くあっさりしている)が、横内正と寺尾聡の演技で表面的には見応えのあるシーンになりました。が、それも利家の価値を史実で何とか補完しながら見てのこと。利家をあまり知らない人から見れば、「誰だこのじいちゃん」って感じでしょう。

しかし、この利家と家康が並ぶとスゴイ違和感があります。この2人、4歳差の同世代なのに利家だけ頭真っ白。人物造形、間違ってません?

家康の伏見逃亡、四大老らによる家康糾弾により事態はさらに進展。使者の生駒親正の糾問をノラリクラリとかわします。このままタヌキ親父を通すかと思いきや、秀吉の遺言を盾に恫喝。こうして徳川(伏見)と前田(大坂)の対立が先鋭化し、家康が望む武力衝突の一歩手前に。このあたり、三成がいいように踊らされている感があります。

伏見に行く準備をしている長政の軽挙を諫める如水ですが、「黒田の当主はそれがし」と主張する長政に押し切られます。城井谷の件といい、このドラマでは長政の方が結果的に如水より黒田にプラスの働きしてますしね。周りに流され三成に騙されているだけの如水より頼りになります。

如水、全然役に立ってない! これはマズイ状況です。この役立たずのハゲを何とか活躍させねば。

というわけで、佞臣奸臣三成に使嗾されて何となく武力対立のトップに立たされた利家を恫喝説得する如水。強引に如水を史実にねじ込みました。実際は、如水も長政と共に徳川方についてるんですが。

マグダレナ「さすが如水様。見事に戦の種を摘み取られました」

かくして、今回の「さすがは」ノルマ達成です。

おね「大老がたがあらためて誓紙を交わし、徳川殿も前田殿も矛を収めたそうですね」

すごい説明セリフで笑えます。

ちなみに、この時点では徳川に大谷吉継、前田に細川忠興や清正がついているなど、関ヶ原の時点とは勢力図が異なります。この時点で戦闘になっていたら、どうなっていたことやら。

家康は相変わらずドラッグ作り。そこに、明らかに「顔見せ」のためだけに栄姫が登場。忠勝康政へも懇ろに挨拶するなど、礼儀も見事な姫っぷりです。父の同僚の嫡男を公然と侮辱し、次に会ったら色目を使う頭のおかしいどっかの姫とは大違い。この脚本家は、誰かをアゲたり美化するためにはもう一方を徹底的にサゲるという、実に安直な描き方しかできないようです。

栄姫が長政の継室として文句なしのデビューを飾る一方、最初から変な女だった糸はメンタルの病をますます悪化させ、ついに育児放棄。そういえば、(全然同情できない)悲しみのあまり育児放棄したヒロインもいましたねぇ。

こんなさなか、利家死亡。武断派の七将(清正、正則、長政、輝政、忠興、嘉明幸長)は早速三成家を家庭訪問。三成は家康の下へ逃亡。いやらしく笑う三成。徹底的に三成を憎まれ役にしたいんですね。もともと三成はキライですが、このドラマの描写はひどすぎるような気がします。

蚊帳の外の如水が唐突に伏見を訪問。家康の腹を探ります。が、家康の真意に気付いたのはツーショットが終わった後。家康の方が上手というところでしょうか。そもそも、如水を一方的にやりこめている三成を踊らせているくらいですしね。このドラマの知力値は、
家康 > 三成 > 如水

って感じです。

如水とのトーク中にまたまた右目開眼ですが、このギミックに何の意味があるのかさっぱり分かりません。実に独りよがりな演出です。

ラストは、天下取りを決意した如水。やはり関ヶ原では野心ありの方向でやりますか。個人的にはこの解釈は無理があると思うのですが、ドラマ的には確かに盛り上がりますよね……。まともな脚本と演出なら。

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