大河ドラマ「軍師官兵衛」 第42回 太閤の野望 感想

カテゴリ:軍師官兵衛
日時:2014/10/19 21:44

官兵衛「黒田が支えねばこの国が滅びる」

という、過大な自己評価で視聴者の失笑を買った前回。ドラマスタッフはあらためてこのセリフを繰り返して自分たちの作品のダメさをアピールします。もはや羞恥プレイの域です。ちなみに、ノベライズは「誰かが支えねば」となっており、ドラマより若干マシ。無能な現場スタッフの暴走でしょうか。

で、天正19年(1591年)12月28日。天から降ったか地から湧いたか、突然現れた秀次が関白に就任。秀吉は前関白たる太閤にクラスチェンジ。この唐突っぷりからして、本作の秀次は秀吉の狂気の象徴という「機能」だけを負わされているのでしょう。実に雑な脚本です。『江』のときはクソ脚本ながら北村有起哉が強引に存在感のある秀次にして、最後はあのクソドラマ唯一ともいえる感動シーンにしちゃいましたが、若手ではダメ脚本&ダメ演出という圧倒的劣勢を覆すのは難しいでしょう。 メイキング中の名護屋城に三成&長盛登場。

三成「黒田殿はこたびの出兵にしきりに異を唱えておられましたな」

ま、唐入りに説得力のない反対をするのは大河主人公のお約束ですから。『秀吉』も晩年までやっていたら、秀吉本人が「本当は唐入りなどしたくないのじゃ」と口走ったんじゃないでしょうか。別に侵略が無条件に悪とはされていなかった時代なんだから、分裂国家が統一されたら普通に考える海外進出という視点で唐入りを捉えるパターンがあってもいいと思うんですけどね。朝鮮も元寇のときはノリノリで攻めてきたんだし。

前回もある程度白髪があったものの、今回一気に総白髪化した秀吉。前回から10カ月しかたってないのに。黒く生えた髪が白髪になることはなく、白髪は白髪として生える必要があります。髪は1日0.35~0.4mm、1カ月で12mm伸びるので、10カ月なら12cm。生え替わって髷が結えるほど伸びるのはちと無理っぽいんですが。

文禄元年(1592年)4月、出兵。5月3日、漢城落城。最近の大河にしては、まともな描写かな。総大将が戦もせずに朝鮮の子どもたちと遊んでたりしないし。

さらに官兵衛と三成が海を渡り、着陣。軍議へ。シビれるくらい、嫌われ役の三成。

文禄2年(1593年)正月。明軍と衝突して行長敗走。官兵衛、早速和睦を提案。やめたくて仕方がない感が分かりやすすぎです。それをあっさり受け入れる秀吉。よかったね。

ここで挿入される、光とおねのガールズトーク。内容があるなら別にいいんですけどね。「女性から見た唐入り」も面白い。が、要は

おね「官兵衛殿のおかげですね」

か。芸のない脚本です。

が、前線はまだ困ってます。無理難題な申し条にまたまた涙目の行長。その申し条をあっさり火にくべて握りつぶす官兵衛。

漢城を放棄して釜山まで退くことになった日本軍。「一緒についてきて」という三成に従い、官兵衛は一足先に帰国します。で、名護屋城に上がった官兵衛ですが、秀吉激おこ。三成によって無断帰国に仕立て上げられ、蟄居させられます。

三成「殿下のお怒りをすべて黒田殿に向かわせることができました。これで、われらにお咎めはない」

私心ありまくりの三成です。

忍城は落とせず、唐入りでは諸将に嫌われ、家康が上杉と戦闘状態に入る前に挙兵しちゃうなど、官僚的な能力以外まるでなし、武将としては無能(関ヶ原は一発屋だろ)な三成。私心のなさが唯一の救いだったというのに、このクソ武将の数少ない美点まで奪われてしまいました。何とひどい脚本でしょう。ま、このドラマに限らず三成は嫌いだから別にいいんですが、主人公の敵役が小物ばかりってのはつまらないな。能力的にも人格的にも偉大な人物が敵だからこそ、主人公も輝くんじゃないのかい?

敵がカスばかりだから、官兵衛も霞む霞む。

2014年 大河ドラマ「軍師官兵衛」キャスト(配役)
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