大河ドラマ「軍師官兵衛」 第27回 高松城水攻め 感想

カテゴリ:軍師官兵衛
日時:2014/07/06 23:10

「さすが官兵衛じゃ」と秀吉に言わせるためだけの安いアバンの後、本編スタート。

毛利との決戦に士気ageageの羽柴陣営。ここで秀吉が、信長にヘルプ要請する旨をやたらと説明くさく宣言し、「さすがは殿」と称賛する官兵衛。ドラマを見ているときは気付きませんでしたが、あらためて文にしてみると褒め合う主従……何かキモいなぁ。

が、この秀吉の保身術、使うのは二度目。第15回でも同じことをやらかしてます。普通、信長へのヘルプ要請といえば高松城攻めのとき。で、中国へ向かう信長が京に立ち寄った際に本能寺に宿泊して……という流れがスタンダードなので、第15回の出馬要請は明らかに冗長。どうもこの脚本はムダが多い。いいところもなくはないのですが。 坂本城では、光秀が(俗説では)本能寺フラグの1つになっている家康の接待準備。ここで、倫が唐突に登場。ノベライズにはこのシーン自体が存在しないので、演出レベルででっち上げて挿入? 何にせよ、倫の登場には何の意味も見いだせず、単に倫を出したかった(出さざるを得なかった)だけの時間の無駄シーンでした。まぁ、この倫を除けば女優陣はシワシワの年増ばかりですしね……ってことでしょうか。

光秀の娘を出すなら、今後の使い道が終わった倫よりお玉(ガラシャ)なんじゃないかなぁ。村重あらためウンチ君と村次が今後どれだけ絡んでくるのかにもよりますが。

5月15日、パルム家康が安土城訪問。骨董品店のような安土城に、三河の田舎者も「わお」。

さあ、失敗が約束された家康接待スタート!

まずは、能の完成度にケチをつける信長。次に、京風の味付けが気に入らないと料理に難癖。「京風薄味」説は、接待料理にまつわる俗説の1つですね。他は、「魚がホントに腐っていた」「鮒寿司だった」(納豆よりクサイ)などなど。

料理を拾う光秀はなかなか痛々しくてつらいシーンでした。接待失敗エピは手垢が付きすぎていて、陳腐ではありましたが。

その後、織田骨董品店で信長、家康、光秀のスリーショット。光秀しょんぼり。

信長、またまたまたまたまたグローバルなオポチュニティに胸を膨らませ、「日の本は徳川殿、おぬしにまかせる」と気楽に任命しちゃうワールドワイドなノブ。あれ、以前は「信忠に任せる」って言ってたのに(今回、あらためて「織田を任せる」とも言っていたけど)。複数人に後継指名したりしたら、ノブがグローバルに羽ばたいた後、日の本はデアドコイ戦争になってしまうのですが。

そこへ、秀吉からのメールを受信。水攻め中という戦況「報告」「連絡」、そして総仕上げプリーズの「相談」。ホウレンソウを欠かさない、社員の鑑です。

で、水攻めに驚く信長。

信長「城を水に沈めるだと? そのような奇策、聞いたこともないぞ」

智襄子の晋陽の戦いという、紀元前からある戦法だし、「沈竈、蛙を産すれど民叛意なし」という有名な故事もあるのですが……ノブは南蛮にうつつを抜かして中国の歴史には暗いようです。もっと勉強しましょう。

信長「考えたのはあの男に相違あるまい」

相変わらず、なぜか妙に官兵衛を高く評価するノブ。さらに、家康まで噂を聞いているありさま。まだそこまでの活躍はしていないのでは。

一方、姫路では又兵衛が突然帰参。が、薄っぺらいので省略。

5月19日、堤完成。早速、足守川の堤が切られて高松城水浸し。『のぼうの城』だと大迫力の見せ場シーンだったのですが、こちらは大した迫力もなく、何となく水浸しになった感じだったのが残念。『のぼうの城』のあのシーンは、あれはあれでやり過ぎ感がありましたが。

ちなみに、関係ないけどJR西日本の「官兵衛の水攻め弁当」(PDF)。出汁で水攻めですか(笑)。

猿掛城では、毛利スリーアローズと恵瓊が緊急ミーティング。アイコンタクトで恵瓊による和睦交渉が決定。

5カ国割譲を飲む恵瓊。が、宗治の首は拒否。史実通りの展開です。ここで官兵衛、隆景の本陣にお使い。毛利の動き自体は史実通りですが、官兵衛のお使いは創作かな。

官兵衛「それがしも清水殿を助けとうございます。本日はそのために参りました」

で、毛利の動きを官兵衛の手柄にしちゃう、と。

これを受けて、恵瓊が高松城にお使い。官兵衛の策として、宗治に「織田への寝返り」を勧める恵瓊。織田と毛利の顔を立て、宗治の命を救う、一見いいとこ取りのような茶番を演出します。この場合、宗治には「裏切り者」の汚名が付いちゃうわけですが、その点は都合良くスルーする恵瓊。

ともかく、宗治を救おうとする恵瓊の説得は失敗。最後まで毛利に準じる覚悟の宗治というか宇梶がすがすがしい。また、それを見る恵瓊・山路和弘の表情がまたいい。2人ともグッジョブ。

また、ほとんど切腹シーンくらいしか出番がない清水宗治をまともに書いた脚本もよかった。やればできるじゃないか。どうして荒木村重と清水宗治以外の場面はダメダメなの?

坂本城には、またまた吉田兼和がおしかけ三職推任問題を愚痴ります。5月に、朝廷が信長に、征夷大将軍、太政大臣、関白のどれかに任官するよう提案するも、シカト中という問題です。さらに、光秀にウワサを吹き込んで本能寺フラグをまた1本立てます。君、分かっててわざと煽ってるでしょ。

兼和から聞いたウワサ(丹波、近江召し上げ)に仰天した光秀は、安土城に押しかけて信長に真意を問いただします。これは、出雲、石見切り取り次第とセットで本能寺原因の1つに挙げられる説ですね。ドラマでは、これは単なる国替えということで深入りせず。何だか、「本能寺の変の原因の諸説は一通り勉強していて、ちらちらと盛り込んでますよ」という脚本家の声が聞こえてきそうです。はいはい、今回の本能寺の変も「分かった上でやってる」っていいたいんですね。

ここでついに、「金髪豚野郎」を謀反に駆り立てた決定的な一言を信長が口にします。

信長「日の本に王は2人もいらぬ」

さて、後はお約束シーンの連続。単なる本能寺の変テンプレに成り下がります。

光秀、愛宕山参拝。ということで5月27日。「時は今 雨が下しる 五月哉」という有名な発句とともに参拝。この発句は、参拝時ではなく連歌会で詠んだものですが。

で、テンプレに忠実におみくじで凶を連発。このおみくじ、凶しか入ってないんじゃないかってくらいの連発っぷりで、むしろスゴイ確率を引き当てまくります。

5月29日、信長、本能寺入り。6月1日、信長、ひれ伏す公家たちにドヤ顔を披露。

信長、濃、信忠という微妙なメンツで内輪ノミ。とうの昔に家督を譲ったはずの信忠に、あらためて「織田家の全てをお前に任せる」と後継指名。織田家を信忠、日の本を家康に任せる? 絶対もめるだろ、これ。

ノベライズでは、影も形もない土田御前。ドラマでは信長ママが軟化して歩み寄る姿勢を見せるなど、信長死亡フラグを立てていました。

6月2日、未明。金髪豚野郎最大の見せ場です。

光秀「敵は本能寺にあり」

さて、どんな本能寺の変になることやら。

2014年 大河ドラマ「軍師官兵衛」キャスト(配役)
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