大河ドラマ「軍師官兵衛」 第24回 帰ってきた軍師 感想

カテゴリ:軍師官兵衛
日時:2014/06/15 22:57

アバンは籠城中の三木城から。兵糧攻めの効果をちらっとだけ描写。が、ノベライズには官兵衛がお使いに行く前の羽柴軍の軍議の場面があります。

宮の上の砦を落としたら深追いせず、敵を本丸に逃げ込ませようぜ。そうすれば三木城の士気は落ちるし、兵が増えて兵糧攻めに効果的。で、長治に開城を迫るぜ! 開城しなければ、皆殺しにしようぜ。荒木一族のようになりたいかと脅すぜ!

とプランを開陳する官兵衛。こうして、三木城に軍師軍使に赴いた、というわけです。

まだまだ毛利の援軍に期待するベンガル賀相ですが、この人は相変わらず学習能力ゼロですな。ブラザー櫛橋も荒木も、毛利の援軍するする詐欺に引っ掛かって滅んだというのに。ノベライズでは、この人もう1回やらかします。 こうして、ドタキャン野郎長治が開城を承諾。官兵衛は、三木城に酒肴を恵んで織田の評判をageようぜと提案。官兵衛の一連のプランを聞いていた一同、

「あいつ変わったよな」

天正8年1月17日、長治一族自害。三木城開城。ドラマではあっさりしていましたが、ノベライズではベンガルが暴れる一幕があるのですが、バッサりとカット。

ノベライズでは、官兵衛の開城勧告を長治が承諾したとき、ベンガル賀相は承服しかねる顔をしており、開城目前のあるとき城内に油をまき始め、火をつけようとします。

賀相「わしは腹など切らぬ。この首は渡さぬ!」
家臣「あなたの首がなければ、われらの命がないのだ!」

で、家臣たちに無理やり首を落とされるベンガル。最後の見せ場がカットされてお気の毒です。

その後、長治が子と妻をその手で「送った」後、一族の切腹を見届けて自刃する場面があるのですが、ドラマではカット。ま、「このドラマの」長治は「必ず行きます→ドタキャン」を繰り返すただのバカだったので、一族の自害をしっとり描写されてもぜんぜん同情できませんが。

残るは小寺のみ、というところで小河親子が姫路城訪問(ノベライズでは、三木城開城前)。ここは、俺たちの政職さんの様子を黒田&視聴者に伝えることと、KRD24メンバーの小河ジュニアを登場させておくことが目的という感じです。わざわざここで出すくらいですから、小河信章の見せ場を作る気があるのでしょうか。利高とか、出てるのにモブ扱いなのを見ていると、あまり期待は出来そうにありませんが。

御着城では、江田に見限られた俺たちの政職さんが遁走。

一方、信長は有岡城で戦勝パーティー。ノベライズによると、3月1日。本願寺と和睦した日の夜、となっていますが、ドラマでは時系列が変更されていますね。長治が切腹した1月からどれくらい時が流れたのか不明瞭だったため、あの桜の花びらは何だという感じでした。

そしてある日、俺たちの政職さんが太兵衛らにゲットされちゃいます。

職隆の抑えた怒り、無音&抑えめのBGM、ライティングなど、ここの演出は珍しくよかった。盛り上げどころになるとムダにBGMをガチャガチャ鳴らす最近の大河にしては、BGMなしの時間が長かったのも珍しい。役者ががんばって演技しているときは、BGMなんか本当はいらないんですよね。

鶴太郎は……まぁこのクソ脚本&演出的にはがんばっていたかな。このドラマでは、とにかく小物で見苦しい「だけ」という薄っぺらいキャラでしたから、役者としてはこれ以上どうにもできなかったことでしょう。

『太平記』の名作回「鎌倉炎上」の名演をした鶴太郎の退場場面がこれですか、と思うと残念ですが、この脚本じゃねぇ……。やっぱりネックは脚本だな……。

で、ドラマではここで本願寺との和睦成立。オープニングで近衛前久がクレジットされていましたが、顕如と佐久間盛政が同席しているシーンで上座に座っていた人です。最初は気がつかなくて、後で見直してしまいました。

ドラマではナレのみで処理していましたが、ノベライズでは

前久「帝の思し召しにございます。この石山から退出なされよ」
顕如「……」
盛政「顕如殿、かくなるうえは和議を結ぶほかあるまい」

と、一応セリフあり。

信長&家臣ズが天王寺城に集まっていた場面は、8月2日。最後まで石山に残っていた門徒が退去した日です。ドラマではまたまたカットされていましたが、信長入室前に、家臣ズが信盛をねぎらう一幕あり。

長秀「信盛殿が5年もの間、本願寺を囲んできたご苦労、ようやく報われましたな」
秀吉「上様もさぞお褒めくださるでしょう」
信盛「皆が助けてくれたおかげじゃ。改めて礼を申す」

ありがちな、「悲劇の前の和気藹々シーン」ですが、ここのニコニコワクテカな信盛は必要だったのでは。

で、信長登場。光秀、秀吉、勝家を激賞! そして呼ばれた信盛。一応ワクテカ感は伝わってきましたが、やはり直前の信盛グッジョブシーンのカットはもったいなかった。

そして始まる、有名な折檻状。本来は19カ条もあるのですが、さすがにドラマでもノベライズでもダイジェスト版。まぁあのダイジェスト版だけでも死にたくなります。あの調子で、みんなの前でフルバージョンを読み上げられたら死にたくなるどころか心臓が停止しますね、私なら。

9月1日、秀吉による論功行賞。官兵衛は1万石が与えられ、大名に。はて、これを「大名」と呼んでいいものか、一瞬考えてしまいました。ちと後の時代になりますが、江戸時代の大名の定義は、[1万石以上の徳川の直臣」(1万石未満は「旗本」)で、1万石という知行はクリア。が、この場面では秀吉から1万石を与えられているように見え、秀吉の家臣という扱いだと、「大名」なのかなぁ、と。

調べてみると、この時点で官兵衛は織田の家臣で秀吉の「与力」という身分(つまり織田の直臣)ということなので、大名と呼ぶのは変ではなさそうです。

こうして晴れて大名になった官兵衛の下へ、祝いに駆け付けてきた黒田家臣たち。が、官兵衛の帰還時よりも大幅に減少。あのときわき出てきた大量の家臣たちは何だったのだろう……。

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