大河ドラマ「軍師官兵衛」 第23回 半兵衛の遺言 感想

カテゴリ:軍師官兵衛
日時:2014/06/08 22:12

天正7年11月、有岡城が落城し、官兵衛救出。玉松&わんこも無事救出。

前回ラスト、ノベライズには官兵衛が「玉松という子がいる……探せ」と命じるくだりがあるのですが、岡田准一が「不自然」と意見してこのセリフを削除したとのこと。で、玉松については今回、うわごとでつぶやいていたということにされていました。結果的に、元の脚本よりも自然になっていました。岡田准一グッジョブ。

一方、有岡城の南蛮寺にこもっていただしは織田方に捕らえられます。

だし「きっとデウス様がお守りくださいます」

残念ながら、イエスによる伝道時代から、神は守ってくれたことなどありませんが。でなければ「殉教」なんて言葉は生まれないでしょ。まぁ、魂は救われるのかもしれませんが(信者じゃないので知らね)、守ってはくれません。 で、落城&一族捕縛の知らせは早速村重の下へ。報告を聞きながら小刀で茶杓を削る村重ですが、刃を手前に動かすというあり得ない削り方。案の定、指を負傷。ここは動揺を伝えるシーンなのですが、刃物の使い方が分かっていない間抜けがミスっただけに見えてしまいます。

場面は再び官兵衛の病床。秀吉が乱入し、半兵衛の死が伝えられます。ここは割と重要な場面のはずなのですが、あっさり演出であっさり終了。さらに、信長の下へゴー。

ここも重要な場面なのですが、「軍師官兵衛」の脚本と演出は私の好みではありませんでした。もちろん、「私の好み」が正解というわけではなく、個人的な好悪の問題に過ぎませんが。

私の好みは、官兵衛を見て松寿を殺したことを大いに悔やみ、生きていたと知って大いに喜ぶという感情の振れ幅が大きいパターン。このドラマのこの場面では感情の揺らぎがほとんどなく、官兵衛&松寿登場によるどんでん返しの効果が非情に薄い。ノベライズでは、半兵衛の策であったことを知った後、「苦笑し、やがて見事に騙してのけた半兵衛に喝采を送るように笑った」という1文があるのですが、ドラマでの演出はここすらも抑制気味。個人的に、実につまらないシーンでした。このドラマの脚本家&演出家と私はつくづく相性が悪いのでしょう。

ノベライズでは、信長の退場後、松寿の生存を事前に知らせなかったのは半兵衛の策で、

官兵衛「それがしも半兵衛殿に……」
秀吉「たばかられたということじゃ」

と種明かしするシーンがあるのですが、カット。

続いて、ノベライズにはない、長浜城のシーン。おねに次第を報告する秀吉。

秀吉「心配ご無用じゃ」

コレ、言わせたかっただけだろ。

おね「官兵衛殿を手放してはなりませぬぞ」

そこまで評価する理由が分からん。このくだらないシーン追加する前に、やるべきことがあるんじゃないか?

次いで、官兵衛は有馬の池坊左橘右衛門屋敷に逗留してで湯治開始。が、PTSD発症。これは有馬の湯でも草津の湯でも癒やせそうにありません。ま、ドラマ的に何か1つのきっかけだけで直っちゃいそうですが。

12月13日、尼崎城近くに刑場を設営。磔&押し込め焼き殺しを荒木勢に公開。さらに荒木の一族も根絶やしにするという信長に、屈託が強まる金髪豚野郎。ドラマ的に本能寺フラグを立て始めたというところでしょうか。が、このパターンは村重の場合と同じで、脚本家の引き出しの少なさをまたも露呈することに。今後、パルム家康の接待(わぉ)&叱責というお約束フラグも用意されていますが……。

12月16日、六条河原の処刑シーン。うむ、ここの演出は良かった。

村重の下へ、一族処刑を伝えるメール。誰から来たんだ? どうやって送信されてきたんだ? という謎なメールですが、ノベライズによると矢文とのこと。

だしらの死をしって泣きわめく村重ですが、泣くくらいなら連れて逃げるなり、降伏勧告が来た段階で降伏するなり、村重には選択肢があったわけで。降伏を拒否した時点で一族も見捨てたのは村重さんなわけで。泣くにしても、涙を流しつつ「わしは負けぬ」とつぶやき続け、一族の処刑すらも一線を越えちゃった村重の心には届いていない、という感じの方が納得できたな。

というか、錯乱した村重が茶器をぶちまけたたき割り始めたので、銘器「荒木高麗」がとっても心配。

リハビリとPTSDですっかりすさんだ官兵衛に、松寿が半兵衛の軍配を渡します。常識的に考えれば、官兵衛と再会してすぐに渡ししそうなものです。なぜこのタイミングで!? もちろん、ドラマ的に一度官兵衛をどん底に落ち込ませてから、再生させる都合のため。という大人の事情が透けて見えて笑えます。

で、実に不自然なタイミングで半兵衛の遺言を伝える松寿丸。案の定、官兵衛復活。

官兵衛、縁側に立つ

天正8年正月、官兵衛、姫路に帰還。ノベライズでは、まずパパ黒田と酒を飲むシーンがあり、半兵衛の意志を継ぎ、そのために

官兵衛「これまでのやり方を改め、情を捨てる覚悟」
官兵衛「非情に徹してでも、勝ちを得る。勝つためには、ときには鬼にもなります。それでこそ、まことの軍師」
官兵衛「これまでの私とは違います」

と語る場面があるのですが、なぜか全面的にカット。代わりに、天から降ったか地から湧いたか、急に増殖した家臣と絆を確かめ合うというクサイ場面に。まぁ、この場面の方がこの薄っぺらいドラマには合っているような気がします。

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