大河ドラマ「江~姫たちの戦国~」 第12回 茶々の反乱

日時:2011/04/03 22:06

「茶々の反乱」。タイトルは勇ましい限りですが、何をやったかというと、わずか4日間のハンガーストライキ。戦国時代だというのに、のどかなことです。あの三姉妹は、まずは「食べない」という選択肢があることに感謝すべきですね。それもこれも秀吉様のおかげ。ありがたいことです。

低い身分から努力と能力と運で天下人一歩手前(天正11年時点)まで昇り詰めた秀吉。そのためには汚いこともやってきたでしょうが、まずは偉人と賞すべきでしょう。一方、ろくに躾もされず甘やかされて育ち、人に感謝することも知らず文句を並べ立てるしか能のない三姉妹。秀吉に養われている分際で猿・さる・サルを連呼。礼儀を学ぶ気配はありません。

三姉妹はこの時点では10~14歳の少女。この自己中心的狭量はむしろ微笑ましく見えてもよいのですが、ほうれい線が目立つおばさん+20代女優では嫌悪感をもよおすだけ。上野樹里の演技を叩く記事も散見されますが、ほかのどの女優がやっても10歳のわがまま少女を不快感なく演じるのは不可能。「ガラスの仮面」じゃあるまいし、「あの演技、まるで10歳の少女のようだ。恐ろしい娘!」なんてことはあり得ません。子役をキャスティングしなかった、あるいは少女時代を長く取ったドラマプロデュースのレベルで「詰んでいた」ということでしょう。このドラマの敗因は、女優の演技力でどうこうなるレベルを超えています。 毎回行き当たりばったりの脚本も致命的。1回1回、それらしいエピソードやセリフを羅列しているだけなので、全体としては矛盾やダブルスタンダードが発生します。

秀吉のプレゼント攻勢で、唯一籠絡された初。決め手はやはり菓子。しかも三成(秀吉)が用意した食事も躊躇なく食いつく有様。食いしん坊キャラとしてはブレていませんが、ここで思い出したいのは北庄城到着時のこと。勝家が用意した食事は拒否していました。

父、母、義父の仇で猿と蔑む秀吉の食事は受け入れ、母の再婚相手という以外に落ち度のない勝家の食事は拒否した初。意味が分かりません。

また、贈られた打掛や食事、つまり衣食は拒否するのに、住まいは受け入れる三姉妹。世話をしてくれるのは浅井家時代からの乳母たちですが、乳母たちを養っているのは秀吉です。そんなに秀吉の世話になるのがイヤならば、城を出て実力で生きていけばよいものを。親に養われている身でありながら反発するガキという、尾崎豊的な幼稚な臭いがしてきます。そういえば茶々は14歳。ああ、反抗期ですか。

そんなことを考えていたら、純喫茶利休コーナーでも同じ指摘(茶々が飲んだ茶も秀吉のもの)が。しかしまぁ、茶菓子の山盛りはわびさびに抵触しないのだろうか……。

脚本家の暴走は止まりません。ハマグリを扇ぐ三成に向かって、「命じられれば何でもするのか」と侮辱する茶々。

いや、命じられれば何でもしなければならない時代だから

拒否権のない三成にあのセリフ。秀吉と同じレベルで、茶々の三成に対する態度はパワハラものです。主君の命令とあらば敵将の子どもを磔にした時代。家臣の本音はどうあろうと、汚れ仕事もしなければならなかったのです。そう思えば、子どもを殺すよりハマグリを扇ぐくらいどーってことないでしょう。

ま、確かに武士の仕事としてはどーよってレベルのしょぼさですが。

それにしても、あのハマグリはおいしそうだった。誰も食べなかったけど。やはり、後でスタッフがおいしくいただいたのでしょうか。

大河ドラマ「江~姫たちの戦国~」キャスト(配役)
大河ドラマ「江~姫たちの戦国~」 三姉妹年齢年表
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