大河ドラマ「江~姫たちの戦国~」 第6回 光秀の天下

日時:2011/02/13 22:12

毎回毎回、「今度はどんなトンデモ展開をやらかすのか」が気になって、つい見てしまう妙な魔力がこのドラマにはあります。天地人には腹が立って見続けることができなかったのに、江は不思議と怒りは湧いてきません。質の低さでは大差ないと思うんですけどね。本当に、なぜだろう……。

今回も引き続き天正10年(1582年)、本能寺の変の直後から。光秀の謀反を知らされた市&シスターズ。兄の死に愕然とする市、ホストクラブ森閉店を悲しむ初。君たち、何か忘れてないか?信長はともかく、普通は森ブラザーズより先に妹を心配するよな?>初

そして伊勢上野城退去の支度で大わらわの一同。「もしや」と思ったんですが、やはり、やはりやってくれましたよ彼女は! 初の荷物はといえば、やはり菓子です。期待を裏切りません。最初はアノ安いヤンキーみたいな声が耳障りで「出てくるな」と思ったこともありましたが、ここまできたら最後まで突っ走っていただきたい。いいぞ、初! 転じて備中高松城を水攻め中(というシーンは皆無でしたが)の秀吉本陣。またしても部屋を転がり回っているので「攻囲に飽きた」とか言っているのかと思ったら、どうやら本能寺の変を知って嘆いている模様。ここは、「信長の死を毛利に知らせる明智方の伝令を羽柴方が捕らえて知った」という部分を脳内補完する必要があります。

ここで中国大返しに転じる流れとしては、主に2つのパターンがありました。

悲嘆に暮れる秀吉に、黒田官兵衛が「チャーンス」とささやいた
 この一件で秀吉は官兵衛のキレっぷりに警戒心を強め、功績の割りに大封を与えなかったとか
秀吉は光秀の謀反をある程度予知(期待)していて、動揺も少なく初動が早かった
 この延長線上にあるのが秀吉黒幕あるいは共犯説(←これらの説には信憑性を感じませんが)

今回の秀吉は、どちらでもなく、

悲嘆に暮れて柱をヘディングしたらアホが直り、切れ者になった

です。本当に、突然まともになってしまいました。山崎の戦いでも「戦は数よ」などと、極めて正しいことを言っています。実に不思議ですが、まあドラマですしね。

前回の予告で、信包が城主かのように登場していましたが、信包は本能寺の変の2年前、天正8年(1580年)に居城を伊勢津城に移しています。伊勢上野城は分部光嘉が城代を務めており、本来であれば市や三姉妹も1580年には伊勢津城に移っていたはずです。

蘭丸からのメールで信長の真意と大きさを思い知る光秀ってのは陳腐ですが、「この光秀には誰もついてこようとせぬ」というセリフは良かった。この時期の明智陣営のダメダメっぷりを実によく表しています。けど、江の「明智様が天下を取ったら、世に泰平をもたらしてください」はどうだろう。あんなに大好きだった伯父を殺した相手に、えらく理性的です。光秀の死を知らされた後、嘆きながら馬に乗るなど、どうも感情にリアリティがないんですよね。人ってそんな風に考えられるもの?

そして、江に世の泰平を託された光秀はというと、落ち武者狩りの竹槍に刺されるという非常にスタンダードな展開の果てに切腹。彼の胸に最後に去来するのは……またしても江!妻子や家臣、そして運命の相手信長でもなく、ほとんど無関係な9歳の小娘、江……。

大河ドラマ「江~姫たちの戦国~」キャスト(配役)
大河ドラマ「江~姫たちの戦国~」 三姉妹年齢年表
も第6回に合わせて更新しました。よろしければご利用ください。