NHKスペシャルドラマ「坂の上の雲」 第9回 広瀬、死す

カテゴリ:坂の上の雲
日時:2010/12/20 00:44

日露戦争における超有名エピソードの1つ「杉野はいずこ」の回です。ただ、広瀬の死は分かりきっていることとはいえ、終盤に向けて死亡フラグを立てまくる脚本にやや興がそがれた面も否めません。

第9回最初のシーンは、第8回終盤の封密命令受領の場面から。そのつもりで見ていたら、ちゃんとダンカン(三笠艦長 伊地知彦次郎)もいましたね。続いて各隊司令官と艦長を集めたシーン。ここでは後に島村速雄(舘ひろし)に代わって連合艦隊参謀長になる加藤友三郎(草刈正雄)もいました。しかし、配役を事前にチェックしてないとスルーしちゃいますねぇ。 戦艦三笠好きにとって、三笠甲板上のシーンが増えたのはうれしいところです。あの三笠の甲板縁を巡っている手すりを見ていると、エッチングパーツの取り付けに苦労したことを思い出します。

さらに感動したのは、この手すりのチェーンを外して倒し、さらに艦橋などにマントレットを設置している様子を描写していたことです。マントレットとは、いわゆるハンモックのことで、戦闘時にはこれを艦橋の周りに巡らせて砲弾などの破片よけにしました。模型などでは、のばしランナーを細かく切って再現したりします。手すりの件も含め、このシーンは三笠が臨戦態勢に移行したことを意味しています。こんな細かい描写を入れてくるとは思いませんでした。

そして、日本海軍の駆逐艦群による旅順艦隊(ロシア第一太平洋艦隊)への奇襲攻撃。攻撃前の緊張感の盛り上げ方はよかったのですが、ロシア艦の派手な爆発など、攻撃が大成功だったかのように見えるのが気になりました。その後のナレーションで「貧しい戦果しかあげられなかった」とフォローが入っていましたが、あの駆逐艦群のヘタレっぷりを知らない人は混乱してしまうのでは。

開戦時については、仁川沖海戦も開戦前後の緊張感を伝える面白いエピソードだと思うのですが、やっぱりカットですね。残念。

そして旅順港閉塞作戦。第一次閉塞の実施部隊を送る軍楽隊による螢の光吹奏が何ともいえません。第二次閉塞時は、軍艦行進曲(マーチ)。現代の、聞き慣れた曲調ですね。大正8年録音のものは、とんでもなくテンポが早く感じるのですが。Wikipediaによると
当初は変ロ長調であったが、音が高すぎて(男性の軍人が)歌うのが難しかったためト長調に編曲され、さらに大正時代末期にはヘ長調へと改訂され、現在の曲となった。
とのことで、時代によって変化しているようです。私は音楽に疎いので「何とか長調」だとどうなるのかさっぱり分からないので、日露戦争時の軍艦行進曲がアレでよかったのか、ちと分からないのですが。

第二次閉塞が失敗に終わり、戦死者の報告と自身の責任を明言する有馬良橘。そこで、恐らくは自分の責任も口にしようとした秋山真之を手で制した有馬がカッコ良かった。さまざまな想いが感じ取れる名シーンでした。

今回で第2部も完結。続きは1年後となります。どうにも不安感がぬぐいきれない江でも見ながら、第3部を待ちたいと思います。願わくば、江が天地人よりもマシでありますように……。

キャスト(配役)については、NHKスペシャルドラマ「坂の上の雲」キャスト(配役) 第2部補完版にまとめています。

12月25日追記:日露戦争タイムテーブル
第2部終了時点までの日本軍の動きです。作中では海軍しか描写されていませんでしたが、陸軍も黒木の第一軍が既に動き出しています。































月日政府・軍連合艦隊
東郷平八郎
第一軍
黒木為楨
第二軍
奥保鞏
第三軍
乃木希典
第四軍
野津道貫
2月5日 出撃命令受領動員令   
2月6日国交断絶通告連合艦隊出撃    
2月8日陸軍先遣隊
仁川上陸
旅順艦隊への奇襲
仁川沖海戦
    
2月9日    
2月10日宣戦布告     
2月16日  第12師団仁川上陸   
2月24日 第一次旅順閉塞作戦    
3月14日  主力鎮南浦上陸   
3月27日 第二次旅順閉塞作戦
広瀬戦死