大河ドラマ「功名が辻」 第21回 開運の馬

カテゴリ:功名が辻
日時:2006/05/28 21:35

「功名が辻」というか山内一豊とその妻の話として最も有名な、名馬購入イベント。基本的なプロットおよびセリフは、原作とほぼ同じ。濃姫のプチ家出は原作にないけど。

ただし、原作の千代はかなりしたたか。一豊に「情の強い女よ」「心が何室にも分かれている」となじられると、千代は「泣くにかぎる」と考えて泣きまくり、「この辺でかんべんしてやろうかしら」と思ったりする。こんな感じだから、一豊が見下されていると感じるのも無理はない。だが、ドラマの千代は原作の小賢しさがカットされて天然度増量だったため、一豊が「見下している」と怒る部分には違和感があった。

ばくろうとのシーンは、セリフこそおおむね原作どおりだったが、それを口にする人物はやや変更されていた。まぁ、藤堂高虎や杉原治右衛門(光秀の使い)を出す意義はないので、あの変更は妥当だろう。加藤清正は原作どおり。 しかしなぁ、やはり名馬購入のエピソードはムリが多すぎるな。当時の一豊の知行と名馬の値段のバランスも不自然だし、織田の評判にかかわるとなれば、近江長浜20万石の秀吉あたりが無理をしてでも買っていただろう。また、坂本城主の光秀ですら買えない額を不破市之丞ごときが用意できただろうか? ま、フィクションエピソード by 新井白石作に突っ込んでも仕方がないのだが。

また、最後に濃姫から砂金をもらってしまったら、ヘソクリ話が台無しなのでは……。しかも、考えようによっては原作よりも褒美が減ってしまったともいえる。原作では、一豊の壮挙に喜んだ信長が「馬代(うましろ)に200石を加増」してやるのである。「毎年200石分の収入」と「1回だけ砂金をもらう」を比べたら、前者の方が絶対オ・ト・ク。

1年の折り返しを目前に控えた今回で、全4巻の「功名が辻」の1巻目、つまり1/4が終了。