大河ドラマ「おんな城主 直虎」 第20回 第三の女 感想

カテゴリ:おんな城主 直虎
日付:2017/05/21 22:01
高瀬の出現を軸に、直虎としのの和解と、第3クールのために物語の視点を井伊谷から東海道に拡大する下地作りをやってのけた第20回。今後、高瀬を生かせるかどうかも楽しみなところです。

亀之丞の娘と称する、高瀬の出現に動揺する井伊直虎さん。が、去ろうとする高瀬を引き留めます。

井伊直親が子をなしていた。このことをしのに伝えるかどうかと相談していたら、虎松から高瀬の話を聞いたしのが乗り込んできます。が、意外に冷静な対応。

しのを気遣う直虎ですが、逆に「おいたわしや」と哀れまれるしまつ。高瀬ができたのは直親と結婚する前なので私はノーダメージ。裏切られてたのは直虎だし、と。イラっとする直虎が笑えます。

こうした動きに新たな一石を投じたのが政次さん。武田の間者説を提唱します。これで直虎にも疑念が芽生え、崖をよじ登って花を摘んできた高瀬の身軽さにも反応してしまいます。

亀之丞が身を寄せていた松岡からのメールでも、高瀬が直親の娘であるという確証は得られず、直虎はあらためて政次に相談を持ちかけます。政次が着座していた卓上には赤の算木。正数の3、6、6か。さすがにこれだけでは何の数字やらさっぱり分かりません。

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大河ドラマ「おんな城主 直虎」 第19回 罪と罰 感想

カテゴリ:おんな城主 直虎
日付:2017/05/14 22:01
今回は、盗人を不当にも助命するために、直虎が権力を乱用して暴走するという、非常に見苦しいお話です。全く共感できない狂った主張を繰り返す主人公を見るのはつらい。

最初の場面は綿を巡る井伊直虎と甚兵衛のやりとりから。ドラマでは場所が不明瞭でしたが、ノベライズによると甚兵衛が直虎の館を訪ねてきた、とのこと。

綿の生産だけでなく、それを布にするところまで手掛けたい。つまり二次産業化で富の増大を図りたい、と。人手が足りないと不平をもらし、自分たちの農地を放り出して徳政を要求していた連中が。いやいや、直虎様のご尽力で人手も増え、モチベーションがアップしてイノベーションが生まれたということでございましょう。めでたいことでございます。

そんな井伊に近藤康用がアポなし訪問。井伊の者が近藤領の木を盗んだとクレームを付けます。井伊に流入した新参者の仕業であると、偏見で直虎を責める近藤。盗みを働く輩はいないと、根拠もなく反論する直虎。どっちもどっちの無内容な応酬の結果、協同で山狩りすることに決定。そして近藤と井伊両方の木が盗まれてることが判明します。

そんなこんなでついに賊が捕まるも、よりによって頭の龍雲丸。すぐに斬ろうとする近藤ですが、優先権を主張して直虎が龍雲丸を引き取ります。ここから、直虎の支離滅裂な暴走がスタート。

盗人は死罪。当たり前の処分に動揺し、助命しようとする直虎。駿府から戻ってきた政次も打ち首を主張すると、むちゃくちゃな理由で助命を命じます。政次につかまりさらに問い詰められると、理屈にもなっていな戯言を並べ立てる直虎。うぜぇ。

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大河ドラマ「おんな城主 直虎」 第18回 あるいは裏切りという名の鶴 感想

カテゴリ:おんな城主 直虎
日付:2017/05/07 21:47
今回は、直虎が政次の真意にようやく気付き、協力関係を構築するターニングポイントです。

種子島の購入・生産は謀反の証拠と主張し、井伊直虎に後見辞退を迫る小野政次。そのまま駿府へ直虎らを連れていきます。が、瀬戸方久は直虎のことよりも種子島が未完成でることに嘆きます。やはり薬室後部のボルト部分がネックになった模様。

直虎一行が駿府に到着するも、先着した方久が今川氏真に目通り願い。「直虎の指図」で種子島を氏真に売り渡し、謀反の証拠を処分してしまいます。要は、価値のない未完成品を売り払ったというわけです。

そこへ、武田義信幽閉のお知らせ。というわけで、今が永禄8年(1565年)10月であることが判明。足利義輝が三好三人衆に襲われて殺された永禄の変の年ですね。このドラマを見ていると、世の動きにどうも疎くなってしまいます。

今川と姻戚関係にある義信の幽閉は、甲相駿三国同盟を揺るがす大事件。動揺した氏真は、「今夜が山田」状態の寿桂尼に泣きつきます。まあ、寿桂尼様が死ぬのは永禄11年なので、今回死ぬことはないのですが。

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大河ドラマ「おんな城主 直虎」 第17回 消された種子島 感想

カテゴリ:おんな城主 直虎
日付:2017/04/30 22:05
今回は、種子島導入とそれにつけ入る政次の話と負け犬虎松の再生が同時進行。中野直之は種子島導入推進派、方久は消極派、井伊直虎はコスト高を理由に反対派になります。

そこで、購入ではなく井平での自主生産を思い付く直虎さん。早速井平に行き、刀鍛冶の五平に依頼します。五平さん、表面的に見えている部分はすぐさま工法のめどをつける有能っぷりを示します。

が、種子島生産のネックはバレル後部のボルト。火薬の爆発によって生じたガスを後ろに吹き出さないように食い止め、そのエネルギーを全て前に向けなければなりません。ネジというものを知らなかった日本人が最も悩んだ部分。これを五平さんがクリアできるか?

直之が種子島打ち方講座のときに撃った弾は亥之助に拾われ、政次の下へ。政次は、一目見ただけで種子島の弾であることを見抜きます。

直虎がまた何やら始めたと見当を付けた政次は、早速探りを入れます。その際、六左衛門の様子をうかがう政次、それを見越して六左衛門には伏せておいた直虎など、心理戦の描写はなかなかよかった。

一方、手習いを始めた虎松が皆に手加減されていることを見とがめた直虎は、手加減無用を宣言。結果、虎松はフルボッコされて登校拒否。

虎松の教育方針に悩んでいると、またも龍雲丸に遭遇。虎松のことを相談すると、「とにかく何かで一度勝たせてやったらよい」という龍雲丸。で、またも水筒を受け取らずに走り去る直虎。落ち着きのない人ですなぁ。

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大河ドラマ「おんな城主 直虎」 第16回 綿毛の案 感想

カテゴリ:おんな城主 直虎
日付:2017/04/23 21:57
今回も、浜松が綿の栽培地であったという以外は完全な創作エピ。直虎が投げたブーメランがザクザクと直虎自身に突き刺さります。

寿桂尼に井伊の当主と認められて井伊谷に戻った井伊直虎は、方久から綿栽培を提案されます。浜松といえば、遠州木綿。直虎が綿栽培に関与したかどうかは全く知りませんが、綿栽培自体はそう突飛な話ではないでしょう。

で、井伊谷経済特区の瀬戸村に栽培を持ちかけますが、人手不足で大規模な栽培はできないと言われます。

直虎「人ばかりは、増やせと言ってすぐ増やせるものでもないしのう」

中野直之が、戦のときは借りてくるといったことから、百姓レンタルを思いつく直虎さん。直之にそんな珍妙な話は聞いたことがないと反対されます。

直虎「さようなこと、やってみねば分からぬではないか」

やってみなくても分かることも多うございますが……。

早速、鈴木重時に百姓のレンタルを申し入れるも、サクっと断られます。「百姓が耕した土地はそのままその百姓のものとするし」って、百姓が井伊領に永住しちゃうじゃん。人口=国力なのは古今東西不変の原則。これまでのごとく、百姓を奪われる鈴木の立場は全く考えない直虎さんでした。

鈴木さんにとっても、人はすぐに増やせるものではない以上、大切なのですよ。

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大河ドラマ「おんな城主 直虎」 第15回 おんな城主対おんな大名 感想

カテゴリ:おんな城主 直虎
日付:2017/04/16 22:23
今年の大河は本当に評価に困ります。「架空の女領主のドタバタ奮闘記」としてはまあまあ面白い。が、「井伊家のドラマ」としては全く面白くありません。井伊直親謀殺などの史実は一応やったものの、なぜかノホホンとした雰囲気がただよっていてイマイチ危機感も戦国感も伝わってきません。

前回も史実を基にしているとはいえ実質的には架空のお話でしたが、今回から完全に史実とは無関係のお話になります。

史実では、今川に要求された徳政令に2年も抵抗したとはいえ結局従ったのに、今回の話は今川の下知に背いた件でのお呼び出し。もう、完全に史実など関係なくなってしまいました。話自体は、リアリティはともかくまあ面白いものの、井伊である必要は全然ありません。顔がガンダムなだけで、ガンダムである必要性が(バンダイ以外には)全くないガンダムみたいな感じです。

ちゃんと史実に即しつつ、国人(国衆)が周りの大名たちに翻弄されつつ生き残っていくハードな話がお望みであれば、『毛利元就』がお勧めです。大内と尼子に挟まれた毛利の悲哀が実によく描かれております。しかも、後半はその境遇から脱して中国の覇者になるというカタルシス付き。今年の直虎はというと、要は「家康の家来になった直政を育てました」というだけのお話ですからねぇ……。

ドラマに話を戻すと、今回から政次の本意が漏れ出てきます。寿桂尼様に井伊直虎呼び出しを銘じられると、明らかに動揺して直虎の出頭を回避しようとします。

そんな政次の本意など知らない直虎は、農政ミーティング中。が、「荒れ地を耕した者のものとし、3年は年貢を取らない」という、墾田永年私財法が頭をよぎる「三年荒野(あれの)」を方久が提案するも、上の空の直虎。

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大河ドラマ「おんな城主 直虎」 第14回 徳政令の行方 感想

カテゴリ:おんな城主 直虎
日付:2017/04/09 22:22
今回は、井伊直虎の数少ない史実エピを何やらいい感じに改変して、美談に仕立て上げました。次回以降も、まあこんな感じで出だしは直虎の短慮で失敗するも、持ち前の行動力でいい感じに解決するというお話が続きます。

井伊直虎の施策を阻むため、中野直之と奥山六左衛門を抱き込んだ小野政次は、瀬戸村、祝田村の旧所有者であるしのとあやめに、曲解ぎみに直虎の意向を伝えます。

一方、直虎は今川対策への協力を南渓に依頼します。今川の分国法「仮名目録」の条項を利用するつもりなのですが、この時点では詳細は明かされません。

相変わらずキレっぱなしの直之は、政次を後見に推薦します。しかしコイツ、反抗期の中学生がわめいているというか、子犬がキャンキャン鳴いているようにしか見えません。脚本はともかく、この俳優に魅力を感じません。

あー、この小物俳優ウゼえと思っていたら、政次登場。やっと場が締まりました。で、今川からの徳政令発布の下知を差し出します。

ここで、直虎と瀬戸方久による猿芝居開始。もっとわざとらしい演技くさーい演出をしてくるかと思いましたが、割とあっさり演出。要は、瀬戸、祝田村を龍潭寺に寄進してしまった。寺の領地は守護不入、つまり公権力は手出しができない。龍潭寺領になった瀬戸、祝田村には今川といえども徳政令を迫ることはできません、というわけです。

もちろん今川からの下知をかわすための方便であることは明らか。これをもって今川が「じゃあしょうがない」と言うわけもなく、時間稼ぎにしかなりません。

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大河ドラマ「おんな城主 直虎」 第13回 城主はつらいよ 感想

カテゴリ:おんな城主 直虎
日付:2017/04/02 22:12
今回から、直虎による「井伊谷ほんわか経済振興物語」編スタートです。今回以降、架空のオリキャラがゾロゾロ出てきて、徳政令問題以外はほぼ史実エピもなく、村の興業に奔走するクールとなります。

ではドラマスタート。「謀反を疑われた井伊家当主直親は」って、このドラマの井伊直親は、松平元康と手を組もうとしていたので完全に謀反確定じゃないですか。バカだったから何もできぬうちに殺されちゃっただけで。

で、間抜けな先代に代わって虎松の後見(実質的には当主)に推挙された井伊直虎ですが、中野直之が激しく反発。今後直虎の家臣団として話を回していくのが、このやたらとわめく直之と奥山六左衛門なのですが、まあいろいろな意味でショボい。高橋一生とムロツヨシがいるのが救いか……。

そして翌日、いきなり領主になって右も左も分からない直虎と、「恥ずかしながらそれがしあまり政のことは明るうなく」という六左衛門。直虎を侮って嫌みを言うしか能のない直之という無能3人組による井伊統治スタートです。そこへ、唯一実務能力がある政次が書類の山を持ってくるのですが、幼稚に反発する直虎さん。

で、瀬戸村の百姓がやってきて、瀬戸村に来てくれと言う。行ったら徳政令を出してくれと言う。シロウトの直虎は、あっさり安請け合い。恐ろしい話です。

直虎が館に戻ると、六左衛門により井伊家が瀬戸方久から多額の借金をしていることが判明。山のような証文に驚愕していると、な、何と、実にタイムリーにその瀬戸方久が訪ねてくるではありませんか! うわーすごいぐーぜんだなー。

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大河ドラマ「おんな城主 直虎」 第12回 おんな城主直虎 感想

カテゴリ:おんな城主 直虎
日付:2017/03/28 12:09
第1クールのラストを飾るのはタイトル回収回。見所は、吹越満みたいな高橋一生の演技です。演出はマズいけど役者の演技で強引に名場面にしちゃうという瞬間が、大河ではたまに生まれます。

ではドラマスタート。井伊直親の最後は、彼を案じて水ごりする次郎法師とシンクロして展開。朝比奈の兵に囲まれ、ひとーり(孫一郎)、ふたーり(藤七郎)と討ち取られ、最後に直親がさくっと殺られます。

「戻ってくるのじゃ」という次郎の声がよみがえり、井伊谷に戻ろうとするも力尽きて直親絶命。

井伊谷で水ごりを続ける次郎に手ぬぐいを差し出す直親の幻……。

まぁ、悪くはなかったのですがノベライズの処理の方が好きかな。ノベライズの場合、11回ラストと12回冒頭に直親襲撃シーンがありません。11回ラストは、「わずかな共を連れ、駿府へ向かった」で終わり。そして、12回は水ごりしている次郎に直親が布を差し出し、次郎気絶。次のシーンで直親の従者が戻ってきて直親の死が伝えられる、という流れです。まあ陳腐ではあるのですが、ドラマの演出はそれ以上に工夫が足りないという印象です。

そして、知らせを受けて直親を迎えに行く南渓たち。普段ニッコニコな傑山の咆哮、そして「ここは寒かろう……。井伊に帰ろう」という南渓に泣かされます。このシーンも演出に疑問があるのですが、この2人の演技に救われました。

ここでノベライズに比べてダメダメなのは、遺体の位置関係。ノベライズでは、孫一郎と藤七郎の遺体から、どう戦い、どう死んだのかが南渓たちに「伝わる」ような状態でした。そして、直親の遺体は「ぽつんと離れて」いました。「一人、井伊谷のほうを向いて倒れている」「直親は井伊に帰ろうとしたのうだろう」と描写されています。それはまあ絶命シーンで伝わってきたのですが、南渓たちがやってきた方向と逆に向かって倒れていたのが気になります。直親、そっちは駿府だ。

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大河ドラマ「おんな城主 直虎」 第11回 さらば愛しき人よ 感想

カテゴリ:おんな城主 直虎
日付:2017/03/19 22:37
ノベライズは叙述トリックが冴えていてなかなか面白かった第11回。ドラマでこれを再現するのは不可能と、はなから諦めてほっしゃんを突っ込んできました。ふと、『名探偵の掟』(東野圭吾)を思い出します。

ではドラマスタート。前回ラスト、馬で乗り込んできたのは元康家臣の石川数正。後に徳川を出奔して秀吉に寝返った話はあまりにも有名。『真田丸』でもこの下りが描かれていました。

そして、鵜殿長照の2人の子どもと瀬名や竹千代(信康)の人質交換(史実)により、次郎法師の右往左往とは関係なく瀬名は助かります。瀬名と信康が死ぬのは、有名な築山殿事件です。

この華麗な人質交換作戦に感銘を受けた井伊直親は、松平元康に興味を抱きます。

一方、久々に次郎法師抜きの今川パート。桶狭間以降は空気状態の今川をちゃんと描くめったにない機会。こういうシーンも入れてくれないと困ります。

今川氏真は、崩壊中の今川の現状にすっかりやさぐれてグランドマザーに泣き言。何もできなかった無能という、従来イメージそのままの、何のひねりも芸もない氏真君です。せっかくの機会なのですから、もう少し違う氏真像を見せてほしかったところです。

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