大河ドラマ「おんな城主 直虎」 第30回 潰されざる者 感想

カテゴリ:おんな城主 直虎
日付:2017/07/30 20:55
史実の隙間を見事なフィクションで埋めてきました。方久と政次をうまい具合に微妙な立場に追いやったところはお見事です。

ではドラマスタート。今川配下の国人領主が集められ、戦支度を命じられます。控えの間では、寿桂尼のさよなら面談がヤバいとウワサに。

このタイミングで今川氏真に呼び出される瀬戸方久。何かと思えば、井伊を取りつぶして今川直轄領にするから協力せよ(徳政令を受け入れろ)というお話。おお、いつの間にか、徳政令拒否→永禄11年の徳政令受け入れという史実の展開になりました。これを今後のなんやかんやにつなげるようで、うまいこと料理したものです。

ここで、小野政次の面従腹背が寿桂尼にバレていたことも判明。政次の「今川の目付」プレイは無駄だった!

そして井伊パート。中野直之、奥山六左衛門の前で今川の犬として振る舞う政次も、こうなると滑稽です。ノベライズでは、氏真と方久の会話シーンは井伊での評定シーンの後でした。ドラマではシーンの順番を入れ替え、政次と井伊直虎の演技の無意味さ、直之と六左衛門の困惑ぶりの滑稽さを際立たせています。

» 続きを読む

大河ドラマ「おんな城主 直虎」 第29回 女たちの挽歌 感想

カテゴリ:おんな城主 直虎
日付:2017/07/23 20:41
今回は、かなり重要なシーンやセリフがバッサバッサとカットされていました。かといって無駄なシーンも特になく、尺に収めるのは大変だったことでしょう。

ではドラマスタート。遠江の弱小国人にすぎない井伊直虎が、調子に乗って大名同士の外交戦に介入を図るものの、永禄11年(1568年)3月の寿桂尼様の死亡で事態は急転。

井伊に松下常慶がやってきて、大井川を境界として今川領の東西を徳川と武田で分割する協定が結ばれたことを知らされます。で、井伊はどうするの? と。

徳川に味方すると答える直虎ですが、徳川家康に送ったメールが今川家臣としての立場から書かれていたものだったため足元を見られ、虎松の母を人質に要求されてしまいます。

ノベライズには、家康と瀬名が直虎に提案された上杉同盟案について検討するくだりがあります。武田に加勢して今川に攻め入った場合の展開、織田への不信感、上杉と結んだ場合のメリットなど、徳川の立場をうまく表現した場面になるはずでしたが、サクっとカットされていました。

その後、三河からの返事がなくて気をもむ直虎たちの描写もカット。

武田との今川領分割案を推す酒井忠次と上杉との同盟に傾いていた家康の応酬も大幅にカット。

そして常慶との交渉時のセリフもカットされています。特に、人質を要求された直後。

» 続きを読む

大河ドラマ「おんな城主 直虎」 第28回 死の帳面 感想

カテゴリ:おんな城主 直虎
日付:2017/07/20 21:31
久しぶりに大河ドラマを見た感じです。ベテラン勢が実在の人物を演じるだけで画面がしまること。デスノートへの急展開も面白かった。寿桂尼様が主人公なら面白かったのになぁと改めて思わされた回でした。

ではドラマスタート。今回は武田義信の自害が今川に伝えられた場面から。おや、何やら今回は大河ドラマみたいじゃないですか。小汚いオリキャラまみれの創作時代劇だったのに、山県昌景やら北条幻庵やら武田信玄やら……まさかのマツケン!?

で、病身で甲斐に乗り込んできた寿桂尼と信玄の直接対決。2人とも、決してうまい役者ではないのですが、存在感があるので見応えがあります。やー、まるで大河ドラマみたいなシーンでした。

駿府に戻った寿桂尼様は、次に北条を動かします。そして語りながら崩れ落ちるのですが、その直前に口ぶりが徐々に乱れていくところはお見事。前言撤回。ルリ子さん、うまい!

北条幻庵の仲立ちで武田と手打ちとなったものの、武田に誓詞を要求されて今川氏真激おこ。

寿桂尼「泣き言を言うた者から負けるのです」

これまた名言いただきました。胸に刺さります。

» 続きを読む

大河ドラマ「おんな城主 直虎」 第27回 気賀を我が手に 感想

カテゴリ:おんな城主 直虎
日付:2017/07/09 20:45
「大沢に代わって井伊が気賀をゲットしよう」。何やら駆け引きの妙が楽しめそうな香りがしましたが、気のせいでした。大した苦労もなく、お願いすればOKしてもらえるというラッキーの連続でした。

ではドラマスタート。「ユー、気賀の城主になっちゃいなよ」という瀬戸方久の進言に井伊直虎が戸惑っていると、何ということでしょう、ジャストタイミングで気賀の町衆がやってきたではありませんか。そして、直虎に気賀城主就任を要請。いやはや、まさに天の配剤。

こうして、「無欲で野心などないけど、皆が望んだので仕方なく応えてあげました」という薄っぺらい草食系主人公のためのお膳立てが整いました。

任された方久は、あっさり関口を抱き込みます。そして今川氏真に願い出ようとしたそのタイミングで、何ということでしょう、ジャストタイミングで火急の知らせが来るではありませんか。そして、武田義信自害(永禄10年・1567年10月19日)の知らせに氏真激怒。いやはや、何という運命のいたずらか。

» 続きを読む

大河ドラマ「おんな城主 直虎」 第26回 誰がために城はある 感想

カテゴリ:おんな城主 直虎
日付:2017/07/02 20:27
今回は、井伊が気賀をゲットする前フリ回。その機能は十分に果たしていたのですが、細かいところで理屈に矛盾や齟齬があるような気がしてなりません。

ではドラマスタート。材木奪還で忠義を示し、いつもの通り申し開き成功。材木はそのまま駿府にとどめ置くということで、今川はちゃっかり材木をゲット。まぁ、この辺り誰も頓着していませんでしたが。

さて、あの材木をどうするのか。

気賀の中村屋では、武家と町衆がミーティング。堀江城の加藤保憲もとい大沢基胤が気賀に城を築いて治めると聞き、町衆激おこ。

それを聞いた龍雲丸は、井伊に怒鳴り込んできます。筋違いも甚だしい文句を並べ立てます。まともに相手をするのも馬鹿馬鹿しい主張ですが、ちゃんと相手してあげるのだから小野政次も優しいことです。

まぁ、「文句があるなら駿府に言うことだ」(政次)ですよねー。

案の定、龍雲丸たちを気に掛ける井伊直虎さん。

政次「お前は一体どこの当主なのだ!」

» 続きを読む

大河ドラマ「おんな城主 直虎」 第25回 材木を抱いて飛べ 感想

カテゴリ:おんな城主 直虎
日付:2017/06/25 21:23
何が災いするか分からぬもの、というところでしょうか。塩留により今川の商人が気賀に流れ、今川が気賀に目を付けることになります。これにより、井伊の動きが今川に補足される。今川と武田の関係から生じたことが、井伊と徳川の内通疑惑発覚につながるという構造はなかなか面白い。解決方法がワンパターンですが。

小野政次は、寺で子どもたちに囲碁の手ほどきをすることになります。政次に負けた虎松は、負けた原因となった自分の手を検討中。これを優しく見守る政次の顔に、彼の本来の心が表れているようです。

井伊の面々は売れた材木に井伊の焼き印を入れ、材木ビジネスの成功に大喜び。

そんなハッピーな日々は、政次が駿府に呼び出され、関口氏経と共に戻ると一変。井伊直虎は、三河と内通した疑いで駿府に呼び出されます。まあそれはいいんだけど、

» 続きを読む

大河ドラマ「おんな城主 直虎」 第24回 さよならだけが人生か? 感想

カテゴリ:おんな城主 直虎
日付:2017/06/18 22:15
久しぶりに実在の人物が増え、単なる時代劇ではなくて歴史ドラマらしさをやや取り戻した第24回。このドラマを見ていると庵原助右衛門も小野政次も瀬戸方久もオリキャラに思えてくるから恐ろしい。

別に井伊家の話でなくても成立しそうな時代劇が続きましたが、久しぶりに「永禄10年(1567年)」と具体的な年号が提示され、これが歴史ドラマであったことを思い出しました。

駿府に行っていた小野政次から、新野親矩(左馬助)の娘・桜に縁談が持ち込まれます。相手は庵原助右衛門。これまた久しぶりに実在の人物、庵原朝昌です。劇中でも言及されていた通り太原雪斎の一族ですが、庵原氏のどこに位置する人物なのか、イマイチはっきりしません。新野親矩の娘を妻にしたことは史実で、今川滅亡後、紆余曲折を経て井伊直政に仕える(後、出奔)ので、井伊とは関係が深い人物といえます。

ちなみに、庵原といえば『風林火山』序盤のアイドル、「武者震い侍」こと庵原之政(元政)もいます。いや全く、武者震いがするのう。

そして場面は唐突に岡崎城。織田海老長が徳川家康にプレッシャーをかけてさっさと退場。顔見せがてら、織田と徳川の力関係をサクっと描写したというところでしょう。海老長のネトネトしたセリフ回しは不快でしたが、「戻る!」と言ったときは普通だったので、あのしゃべり方は圧迫面接用かな?

» 続きを読む

大河ドラマ「おんな城主 直虎」 第23回 盗賊は二度仏を盗む 感想

カテゴリ:おんな城主 直虎
日付:2017/06/11 21:32
犯罪者グループを匿い優遇する、犯罪支援国のお話です。

小野政次の屋敷に乗り込んできた近藤康用さん、菩提寺の本尊が盗まれた、木を盗んだ賊を井伊が囲っていると激おこ。政次、驚いてむせたという体で、わざとらしく咳き込みます。

で、政次は近藤を連れて井伊直虎の屋敷へ。近藤の主張に、「井伊で使うておるのは、あのときの賊ではござらぬ」と、息をするように嘘をはく直虎。が、口を滑らせて言質を取られます。

どう見ても、井伊が、というか直虎が一方的に悪いのでどうにもなりません。が、引き渡しに同意する振りをして、直之に先回りさせて逃がそうとします。何と腹黒い。とはいえ、直之が急行するも、間に合わず。が、龍雲丸一味は逃亡済み。政次の指示でなつが知らせたわけですが。

ここで、近藤の菩提寺に寄進して、大人の対応をしようぜ、と言う南渓。不満そうな直虎ですが、そもそもコイツが全ての元凶です。

» 続きを読む

大河ドラマ「おんな城主 直虎」 第22回 虎と龍 感想

カテゴリ:おんな城主 直虎
日付:2017/06/04 21:32
不良っぽい転校生がクラスに溶け込めるように奔走する直虎先生という、中学生日記レベルのお話。グループワークと飲ミュニケーションであっさり解決という、えらく安っぽい展開です。

井伊直虎が龍雲丸一味を独断で引き入れたため、井伊では早速もめ事発生。これを反面教師として、われわれは根回しの重要性を胸に刻むことにしましょう。

さらに、見慣れぬよそ者に不信感を募らせる村人。井伊は最近大量に移住者を受け入れた割に、よそ者耐性低すぎませんか? 永住者は受け入れるけど非正規雇用の季節労働者は差別するってことですかね。

さらに、続発するトラブルの原因を全て龍雲丸一味に追わせて破局寸前。井伊の連中は非正規雇用の出稼ぎ労働者なんかいつでも切れると思ってるし、龍雲丸一味は「俺たちバイトなんで」って調子だし。

» 続きを読む

大河ドラマ「おんな城主 直虎」 第21回 ぬしの名は 感想

カテゴリ:おんな城主 直虎
日付:2017/05/28 21:34
今回は、いろいろあった割に話はスカスカで、要は盗賊団に材木伐採をアウトソースしたとうお話。あるいは、放送開始前に発表済みだった「龍雲丸」とう名前を直虎が知ったというお話。別に面白くないとはいいませんが、面白いわけでもありません。

ではドラマスタート。綿布の販売チャネルを求め、気賀の中村与太夫に相談を持ちかける井伊直虎一行。その後、気賀の活気に浮かれて緊張感を欠いた直虎は、子どもに銭入れをすられます。

「その銭は、井伊の民の汗のにじんだ銭じゃ!」と、何だかいい感じなことを言う直虎さんですが、その大切な銭の管理を怠ってすられる直虎もいかがなものか。そして、アジトまで追った揚げ句、周囲を警戒するのを怠ってサクっと捕まります。で、龍雲丸と再会。

自力で脱出を試みた直虎は、子どもを人質に取って解放を要求するも、あっさり失敗。さらに、「領主は大泥棒」という、「権力者=収奪者」的な実に凡庸な龍雲丸の捨てゼリフに直虎は困惑します。

直虎をもてあました龍雲丸一味は、井伊に身代金を要求。身代金受け渡し場所に向かった中野直之らは、倒木に阻まれ徒歩での移動を強いられます。そして、指定された場所で眠らされた直虎を発見。で、身代金の引き渡しは? って、刀抜いちゃってるし、お前ら払う気最初からないだろ。

» 続きを読む


関連コンテンツ

ページの先頭
に戻る